質問主意書

第176回国会(臨時会)

答弁書


答弁書第一四〇号

内閣参質一七六第一四〇号
  平成二十二年十二月十日
内閣総理大臣 菅 直人   


       参議院議長 西岡 武夫 殿

参議院議員加藤修一君提出横浜APECと日米首脳会談に関する質問に対し、別紙答弁書を送付する。



   参議院議員加藤修一君提出横浜APECと日米首脳会談に関する質問に対する答弁書

一について

 昨今のアジア太平洋地域の情勢を考えると、日米関係は新たな安全保障環境に直面しており、日米同盟の深化は喫緊の課題であると認識している。日米同盟は、我が国の外交・安全保障の基軸であり、本年十一月十三日の日米首脳会談において両首脳間で一致をみたとおり、日米同盟を二十一世紀にふさわしい形で、安全保障、経済、文化・人材交流を三本柱として更に深化・発展させ、オバマ米国大統領から招待があった来年前半の菅内閣総理大臣の訪米の機会に、二十一世紀の日米同盟のビジョンを共同声明のような形で示すべく、日米両政府間で緊密に議論してまいりたい。

二について

 日米両政府は、在日米軍駐留経費負担をより安定的なものとするとともに、より効率的かつ効果的なものにしていく上での基本的な方針について一致したところであるが、その内容の詳細について明らかにすることは、米国との関係もあり差し控えたい。
 在日米軍駐留経費負担については、政府としては、この基本的な方針に基づき、その重要性を十分に認識しつつ、我が国の厳しい財政事情にも十分配慮し、国民の理解が得られる経費負担となるよう、米国政府と協議を行っているところである。

三について

 政府としては、普天間飛行場の移設問題について、本年五月二十八日の日米安全保障協議委員会の共同発表に基づき取り組むと同時に、沖縄県に集中した基地負担の軽減にも全力を挙げて取り組む考えであり、沖縄県を始め地元の方々からの御意見も伺いながら、誠心誠意説明し、理解を求めていく所存である。
 お尋ねの菅内閣総理大臣の沖縄への訪問については、今後、適切に判断してまいりたい。

四について

 御指摘の報道については承知しているが、お尋ねについてお答えすることは、政府の情報収集の内容等について明らかにすることになり、今後の情報収集等に支障を来すおそれがあることから、差し控えたい。
 我が国領域内で行われた犯罪に関しては、今後とも、個別具体的な事情に応じて、法と証拠に基づき適切に対処する考えである。
 御指摘の「欧米先進国が整備しているような国内法」が何を指すのか必ずしも明らかではないが、政府としては、法務省、水産庁、海上保安庁等関係省庁の連携の下、出入国管理及び難民認定法(昭和二十六年政令第三百十九号)、外国人漁業の規制に関する法律(昭和四十二年法律第六十号)、領海等における外国船舶の航行に関する法律(平成二十年法律第六十四号)等の現行法令を適切に執行することにより、我が国の領海における外国船舶・外国人等の航行等の秩序の維持と安全の確保に努めているところであり、今後とも、我が国の国内法令にのっとり取締りを行う等適切に対応してまいりたい。

五について

 検察庁法(昭和二十二年法律第六十一号)第十四条の規定により、法務大臣は、個別具体的な事件に関する「取調又は処分」については、検事総長のみを指揮することができるとされているのは、指揮権の行使の在り方に関しては、司法権と密接不可分な関係にある検察権の独立性確保の要請に十分に配慮する必要があるからであると考えている。
 その上で、お尋ねの「国家のアイデンティティに深く関わる犯罪、事件」が具体的に何を指すのか必ずしも明らかではないが、処分請訓規程(平成十七年法務省刑総訓第千四十五号)及び破壊活動防止法違反事件請訓規程(昭和二十七年法務府検務局検務秘第千五百七十号)に規定されていない犯罪に関する事件であっても、法務大臣が承知しておくべきものと認められるものについては、検察当局から適時適切に報告がなされ、法務大臣は、このような報告等を契機として指揮権を行使することができるのであり、御指摘のような処分請訓規程の改正については、その要否等につき慎重な検討を要するものと考えている。

六について

 我が国としては、人類に多大な惨禍をもたらし得る核兵器が将来二度と使用されることがないよう、平和で安全な核兵器のない世界を目指した現実的かつ着実な核軍縮努力を重ねていくことが重要であると考えている。
 かかる観点から、我が国としては、日米両政府が核セキュリティ、核軍縮及び核不拡散の分野において核リスクの低減に向けた協力及び連携を深めるとともに、本年五月に開催された核兵器の不拡散に関する条約(昭和五十一年条約第六号)の運用検討会議において全会一致で採択されたいわゆる「行動計画」を着実に実現していく努力を進めて行く必要があると考えている。特に、包括的核実験禁止条約の早期の発効並びに兵器用核分裂性物質生産禁止条約の即時の交渉開始及びその可能な限り早期の妥結については、今後の核軍縮の道筋を築いていく上で優先的に取り組むべきものと考えている。