質問主意書

第176回国会(臨時会)

答弁書


答弁書第一二二号

内閣参質一七六第一二二号
  平成二十二年十二月三日
内閣総理大臣 菅 直人   


       参議院議長 西岡 武夫 殿

参議院議員中西健治君提出日本郵政グループの運営に関する再質問に対し、別紙答弁書を送付する。



   参議院議員中西健治君提出日本郵政グループの運営に関する再質問に対する答弁書

一の1について

 お尋ねの「公益法人の業務内容」の「違い」の意味するところが必ずしも明らかではないが、御指摘の公益法人と日本郵政公社又は日本郵政株式会社(以下「日本郵政」という。)、郵便局株式会社、郵便事業株式会社、株式会社ゆうちょ銀行(以下「ゆうちょ銀行」という。)及び株式会社かんぽ生命保険(以下「日本郵政グループ」と総称する。)との取引関係に着目して、「郵政事業の関連法人の整理・見直しに関する委員会」(以下「委員会」という。)の「第三次報告(最終報告)」(以下「最終報告」という。)で言及されている平成十七年度と「いわゆる「ファミリー企業」と報じられている法人への対応について」の発表(以下「広報発表」という。)が行われる前に終了した直近の事業年度である平成二十一年度との間における、御指摘の公益法人の業務内容の主な違いを政府が把握している限りでお答えすると、旧財団法人郵便貯金振興会(現在の財団法人ゆうちょ財団)が日本郵政公社から委託を受けて行っていた郵便貯金会館等の運営業務を廃止し、財団法人簡易保険加入者協会が簡易生命保険に関する出版業務を廃止し、社団法人逓信研究会が日本郵政グループへの雑誌の販売を取りやめ、社団法人日本ダイレクト・メール協会が日本郵政公社から請け負っていた表彰関連事務を取りやめ、財団法人日本郵趣協会が郵便事業株式会社から請け負う各種切手展関係事務を開始し、財団法人郵政福祉が日本郵政公社に貸与していた約千五百の郵便局舎のほとんどを郵便局株式会社に売却したが、その他の公益法人については基本的に違いはないものと承知している。
 なお、御指摘の公益法人と日本郵政公社との間の取引額は平成十七年度において約百五億円であったが、平成二十一年度における御指摘の公益法人と日本郵政グループとの間の取引額は約六億円となっている。

一の2について

 日本郵政によると、広報発表に当たって、御指摘の公益法人を「措置をしない法人」に分類した理由は、先の答弁書(平成二十二年十月二十九日内閣参質一七六第五五号)一の1の④についてでお答えしたとおりとのことであるが、政府としては、日本郵政グループが効率的かつ健全な経営を行うことが必要であると考えており、このような観点から、日本郵政グループと公益法人を含めた他の法人との間の取引関係についても留意していく考えである。

一の3について

 広報発表に当たって、御指摘の公益法人を「措置をしない法人」に分類することについては、日本郵政から情報提供はあったが、政府としては、委員会は当時の日本郵政公社総裁が設置した懇談会であって政府の諮問機関ではなく、また、広報発表における方針については日本郵政グループの自主的な取組として示されているものであることから、政府の了解を必要とするような性格のものではないと考えている。いずれにせよ、一の2についてで述べたとおり、政府としては、日本郵政グループが効率的かつ健全な経営を行うことが必要であると考えており、このような観点から、日本郵政グループと公益法人を含めた他の法人との間の取引関係についても留意していく考えである。

二の1について

 お尋ねの「五法人の業務内容」の「違い」の意味するところが必ずしも明らかではないが、日本郵政から、御指摘の五法人と日本郵政公社又は日本郵政グループとの取引関係に着目すると、最終報告で言及されている平成十七年度と広報発表が行われる前に終了した直近の事業年度である平成二十一年度との間における、御指摘の五法人の業務内容に基本的に違いはないものと聞いている。

二の2について

 お尋ねについては、二の1についてでお答えしたとおりである。

二の3について

 広報発表に当たって、御指摘の五法人を「子会社化する法人」に分類することについては、日本郵政から情報提供はあったが、政府としては、委員会は当時の日本郵政公社総裁が設置した懇談会であって政府の諮問機関ではなく、また、広報発表における方針については日本郵政グループの自主的な取組として示されているものであることから、政府の了解を必要とするような性格のものではないと考えている。いずれにせよ、政府としては、日本郵政グループが効率的かつ健全な経営を行うことが必要であると考えており、このような観点から、日本郵政グループと子会社を含めた他の法人との間の取引関係についても留意していく考えである。

三の1について

 お尋ねについては、日本郵政から、非正規社員を正社員化することは、社員の士気を向上させ、業務運行の円滑化及びサービス品質の向上を図るものであることから、生産性の向上に資するものと聞いている。

三の2について

 日本郵政グループにおける非正規社員の正社員化の取組については、日本郵政グループの経営判断によるものである。

三の3について

 日本郵政グループにおける非正規社員の正社員化の取組については、政府としては、社員が安心して働くことができる機会の提供を拡大するものであることから、基本的に望ましいものと認識しているが、正社員化の取組による具体的な影響等を含めた事業運営の適正性については、日本郵政及び郵便事業株式会社の毎事業年度の事業計画の認可等において審査していくこととなる。

四の1について

 お尋ねの日本郵政グループにおける非正規社員の正社員化の取組に係る平成二十二年度の人件費の増加分については、日本郵政から、約三十七億円であると聞いている。

四の2について

 お尋ねについては、日本郵政から、業務運行の円滑化及びサービス品質の向上を図り、収益の拡大等に努めていくとともに、費用全般の削減方策を検討していくものと聞いている。

四の3について

 政府としては、日本郵政グループにおける非正規社員の正社員化の取組に係る人件費の増加分への対応は、日本郵政グループの経営判断により適切に実施していくものと認識しており、亀井前郵政改革担当大臣の御指摘の答弁と矛盾することとはならないものと考えている。

五の1について

 郵政事業の実施主体が日本郵政、郵便事業株式会社、郵便局株式会社等に分割され各社の業務が法律に規定されたこと等の結果、郵政事業の経営基盤が脆弱となっているのは、郵政事業の物的・人的資源が分割され、それらの複合的・効率的な活用が困難となり、収益性が損なわれているからである。

五の2について

 お尋ねの事例としては、例えば、一人の職員が郵便・貯金・保険の三業務を担当する総合担務を行うことが困難となったことが挙げられる。

五の3について

 政府としては、郵便事業株式会社(今国会に提出している郵政改革法案(以下「法案」という。)の施行後においては、日本郵政)が郵便事業を適正な利益を確保するよう能率的に経営すべきと考えている。

五の4及び5について

 政府としては、ゆうちょ銀行が銀行法(昭和五十六年法律第五十九号)等の業法が適用される銀行であることから、その資産の運用については、ゆうちょ銀行の経営責任において自主的に行われるべきものであり、また、その流動性リスクや金利リスクを含む各種リスクについては、ゆうちょ銀行がこれらの業法の規定に基づき適切に管理していくことが重要であると考えている。

五の6について

 政府としては、日本郵政が保有する関連銀行及び関連保険会社の株式のうち処分可能な株式の売却開始時期や売却完了時期については、両社の経営状況、株式市場の動向等を総合的に勘案して、株主である日本郵政が基本的に判断すべきものと考えている。

六について

 お尋ねの「郵貯の預け入れ限度額、かんぽの加入限度額の引き上げ」については、法案の成立又は施行の前においても、郵政民営化法(平成十七年法律第九十七号)第百七条及び第百三十七条の政令を同法に規定する手続に従い改正することにより、限度額を引き上げることが可能である。
 郵政改革担当大臣及び総務大臣の談話「郵政改革に関連する諸事項等について」(平成二十二年三月二十四日付け)は、ゆうちょ銀行の預入限度額及び株式会社かんぽ生命保険の加入限度額を法案の成立に合わせてその施行前に引き上げるなどの方針を表明したものである。

七について

 御指摘の会談の詳細については、先方との関係等もあり、これを明らかにすることは差し控えたいが、カーク米国通商代表からは、お尋ねの「郵政民営化見直し」に関する要求はなく、我が国の保険市場の問題を含む二国間の問題について提起があった。

八について

 内閣府特命担当大臣(金融)は銀行法等の業法の規定に基づきゆうちょ銀行に対する監督を行っているが、郵政改革担当大臣は郵政改革に関する企画、立案及び総合調整を担当しているものであって、ゆうちょ銀行の経営に携わっているわけではないことから、政府としては、内閣府特命担当大臣(金融)が郵政改革担当大臣を兼任することについて特段の問題はないと考えている。