質問主意書

第176回国会(臨時会)

答弁書


答弁書第六八号

内閣参質一七六第六八号
  平成二十二年十一月九日
内閣総理大臣 菅 直人   


       参議院議長 西岡 武夫 殿

参議院議員浜田昌良君提出電磁波による人体への影響に関する質問に対し、別紙答弁書を送付する。



   参議院議員浜田昌良君提出電磁波による人体への影響に関する質問に対する答弁書

一について

 我が国の携帯電話用基地局を保有する電気通信事業者は、イー・モバイル株式会社、株式会社エヌ・ティ・ティ・ドコモ、沖縄セルラー電話株式会社、KDDI株式会社及びソフトバンクモバイル株式会社の五事業者であり、これらの事業者が保有する基地局数は平成二十二年九月末現在において二十万四千二百二十三局である。
 PHS用基地局を保有する電気通信事業者は、株式会社ウィルコム及び株式会社ケイ・オプティコムの二事業者であり、これらの事業者が保有する基地局数は平成二十二年九月末現在において十六万八千四百八十三局である。
 お尋ねの「公衆無線LAN等」については、公衆無線LANアクセスサービス(電気通信事業報告規則(昭和六十三年郵政省令第四十六号)第一条第二項第十六号に規定するものをいう。以下同じ。)及び広帯域移動無線アクセスシステム(無線設備規則(昭和二十五年電波監理委員会規則第十八号)第十四条の二第一項に規定するものをいう。以下同じ。)がこれに該当すると考えられるところ、公衆無線LANアクセスサービスを提供する電気通信事業者は、有限会社アイシーシーライン、アイティスタッフ株式会社、株式会社アイランド・シックス・キャピタル・アンド・ディベロップメント、有限会社愛和、株式会社アルテミス、アルファ総合研究所株式会社、イースタイル株式会社、株式会社イー防災、株式会社イプリオ、株式会社インターリンク、株式会社ウィルコム、株式会社ウィンパル、株式会社ウェブコミュニケーションズ、ウェブリンク株式会社、株式会社エイスペック、株式会社エス・ティー・アール、恵那市、エヌ・ティ・ティ・コミュニケーションズ株式会社、株式会社エヌ・ティ・ティ・データ・セキスイシステムズ、株式会社エヌ・ティ・ティ・ドコモ、株式会社NTT西日本-中国、株式会社NTT西日本-兵庫、株式会社エヌ・ティ・ティピー・シーコミュニケーションズ、エヌ・ティ・ティ・ブロードバンドプラットフォーム株式会社、MBCC株式会社、株式会社オーレンス、株式会社沖縄テレメッセージ、株式会社キーポート・ソリューションズ、有限会社協和興業、空港情報通信株式会社、株式会社クラスト、株式会社ケイ・オプティコム、KDDI株式会社、廣告社株式会社、株式会社高速道路開発、有限会社コミュニケーション、株式会社コムズ、コラボレーション株式会社、有限会社シール、株式会社ジェイ・ディー・ネット、株式会社ジェイ・ビー・ネットワーク、株式会社シスコム、シャープドキュメントシステム株式会社、株式会社シリコンゲート、株式会社新和観光、スプリント・インターナショナル・ジャパン株式会社、住信情報サービス株式会社、スリーディ.コム株式会社、株式会社ソーホー、ソフトバンクテレコム株式会社、ソフトバンクBB株式会社、ソフトバンクモバイル株式会社、株式会社中央メディアネット、株式会社テレサポート、東海旅客鉄道株式会社、ドコモ・インタータッチ・ジャパン株式会社、株式会社トリプレットゲート、西日本電信電話株式会社、日本通信株式会社、日本テレシステム有限会社、日本パワーセーヴ株式会社、株式会社ネクスト、ネットクリエイツ株式会社、株式会社野村総合研究所、特定非営利活動法人Hug-Communications、ピーアールソフト株式会社、株式会社東日本システム、東日本電信電話株式会社、株式会社ビック東海、株式会社FASTER、株式会社ブイ・アール・テクノセンター、株式会社フーリエ、株式会社フォーサイトウェーブ、株式会社富士通エフサス、株式会社フジミック新潟、フレパー・ネットワークス株式会社、ブロードバンドモバイルコミュニケーションズ株式会社、ベライゾンジャパン合同会社、房総インターネット株式会社、マーシュ・ジャパン株式会社、有限会社マネジメントビジネスコンサルタント、三菱電機情報ネットワーク株式会社、有限会社メディア・ウィザード、メディアウェイブシステムズ株式会社、メディアウェイブネットワークス株式会社、山崎商事株式会社、UQコミュニケーションズ株式会社、ユニフィー株式会社、株式会社ライブドア、株式会社理経、リバンスネット株式会社、株式会社嶺南ケーブルネットワーク、ワイコム株式会社及び株式会社ワイヤ・アンド・ワイヤレス並びに九十二の個人事業者の計百八十六事業者であるが、これらの事業者が保有する小電力データ通信システムの無線局(電波法施行規則(昭和二十五年電波監理委員会規則第十四号)第六条第四項第四号に規定するものをいう。)については免許を要しないため、当該無線局の数については承知していない。広帯域移動無線アクセスシステム用の基地局を保有する電気通信事業者は、株式会社アイティービー、伊万里ケーブルテレビジョン株式会社、入間ケーブルテレビ株式会社、株式会社ウィルコム、株式会社上田ケーブルビジョン、株式会社上野原ブロードバンドコミュニケーションズ、株式会社愛媛CATV、大分ケーブルテレコム株式会社、オープンワイヤレスプラットフォーム合同会社、株式会社帯広シティーケーブル、金沢ケーブルテレビネット株式会社、株式会社唐津ケーブルテレビジョン、河口湖有線テレビ放送有限会社、株式会社キャッチネットワーク、株式会社ケーブルテレビ佐伯、株式会社ケーブルワン、佐賀シティビジョン株式会社、山陰ケーブルビジョン株式会社、株式会社CAC、シーティービーメディア株式会社、株式会社シー・ティー・ワイ、上越ケーブルビジョン株式会社、玉島テレビ放送株式会社、株式会社中海テレビ放送、東京ケーブルネットワーク株式会社、徳島中央テレビ株式会社、となみ衛星通信テレビ株式会社、株式会社日本ネットワークサービス、株式会社ニューメディア、株式会社ハートネットワーク、東松山ケーブルテレビ株式会社、光ケーブルネット株式会社、株式会社ひのき、ひまわりネットワーク株式会社、笛吹きらめきテレビ株式会社、福井ケーブルテレビ株式会社、本庄ケーブルテレビ株式会社、株式会社南東京ケーブルテレビ、矢掛放送株式会社、山口ケーブルビジョン株式会社、UQコミュニケーションズ株式会社、株式会社ラッキータウンテレビ、株式会社リアルネット東海及び株式会社嶺南ケーブルネットワークの四十四事業者であり、これらの事業者が保有する基地局数は平成二十二年九月末現在において一万三千二百八十局である。
 なお、「今後最終的に何基の増加を見込んでいるのか」については、承知していない。

二について

 お尋ねの「携帯電話の基地局等の周辺における電磁波の影響による健康被害の訴え」については、総務省に対して、電波の影響により健康を害したと訴える方から、平成二十一年度において二十四件の相談があったが、その地域については承知していない。
 「健康被害の訴えに関する窓口」については、政府として統一的な窓口は設置していないが、国民から相談や照会を受けた府省が、その所管及び当該案件の性質に応じて適宜対処していると認識している。
 お尋ねの電磁波過敏症についての疫学調査は、現時点では実施していない。今後の疫学調査の実施については、世界保健機関(以下「WHO」という。)の国際電磁界プロジェクト等、国内外の科学的な研究の今後の進展を踏まえつつ、その必要性も含め検討してまいりたい。

三について

 電波防護指針に定められている基準値は、国際非電離放射線防護委員会により平成十年四月に発表され、WHOが遵守することを推奨している「時間変化する電界、磁界及び電磁界へのばく露制限のためのガイドライン」に定められている基準値と同等なものと考えており、諸外国の基準と比べ緩やかなものとは評価していない。
 「生体電磁環境に関する検討会」においては、継続的に電波防護指針の検証を行っているところであるが、同検討会の前身である「生体電磁環境研究推進委員会」が平成十九年四月に取りまとめた報告書では、「現時点では電波防護指針値を超えない強さの電波により、非熱効果を含めて健康に悪影響を及ぼすという確固たる証拠は認められないと考える。」とされており、現時点では本指針を見直す必要はないと考えている。

四について

 携帯電話用基地局の設置に関し、携帯電話事業者と当該基地局の周辺地域の住民との間で訴訟により係争中となっているものの件数は、平成二十二年十月末現在において三件と承知しているが、それぞれの訴訟の内容については承知していない。
 お尋ねの「基地局建設をめぐる事業者と住民間のトラブル」については、平成二十一年度において携帯電話用基地局の周辺地域の住民から総務省へ四十二件の要望が寄せられ、当該要望を関係の携帯電話事業者に連絡しており、その内容は、例えば、自宅の近くに携帯電話用基地局が設置されようとしているため説明会を開いてほしいとの要望、電波の安全性に関して説明をしてほしいとの要望等である。
 携帯電話事業者に対する指導については、これまでも、携帯電話用基地局が発射する電波の安全性についての情報提供を適切に行うとともに、設置予定の携帯電話用基地局に関する事業者への問い合わせ先を周知するよう要請し、また、総務省において住民から要望を受けた際には、関係の携帯電話事業者に要望内容を伝え、住民への適切な説明を行うよう要請するなどの十分な対応を行ってきたものと認識しており、現時点ではこれ以上の対応をとる必要はないと考える。
 携帯電話用基地局の開設に当たり、「住民への説明及び住民との合意」を新たに義務付けることについては、これまでのところ、携帯電話事業者は、総務省の要請に基づき、携帯電話用基地局の周辺地域の住民への説明を十分に果たしているものと考えており、現時点で新たな義務付けが必要とは考えていない。

五について

 携帯電話用基地局の開設に当たり、「立地条件等についての基準を法令で定めること」については、既に、電波法(昭和二十五年法律第百三十一号)第三十条に基づき、人体に危害を及ぼし、又は物件に損傷を与えることがないように施設することが義務付けられており、十分に安全の確保が図られていることから、現時点で新たな法令の整備が必要とは考えていない。

六について

 御指摘の電磁波過敏症については、平成十七年十二月にWHOが、その正式見解を発表した文書であるファクトシートのナンバー二百九十六において、「EHS(電磁過敏症)の症状が電磁界曝露と関連するような科学的根拠はありません」、「EHSは医学的診断でもなければ、単一の医学的問題を表しているかどうかもはっきりとしていません」との見解を示しており、政府としては、引き続きWHOの国際電磁界プロジェクト等、今後の国内外の科学的な研究の進展を踏まえつつ、今後の取組を検討してまいりたい。
 「電磁波過敏症に対する知識の啓発」に関しては、電磁波過敏症に関するWHOの見解を含め、健康影響に関する国内外の調査研究の動向等について、関係省による講演会の開催やホームページ等を通じて情報提供を行っているところである。
 また、「相談窓口の設置」については、二についてでお答えしたとおり、国民から相談や照会を受けた府省が、その所管及び当該案件の性質に応じて適宜対処していると認識している。
 なお、我が国の医療保険制度においては、疾病ごとに保険適用の対象となるか否かを定めておらず、検査、処置等の診療行為ごとに保険適用の対象となるか否かを定めているところである。このため、お尋ねの電磁波過敏症であるか否かにかかわらず、御指摘の頭痛などの症状に対する診療行為については、当該行為が医学的な必要性に基づき疾病に対するものとして適切に行われている場合には、医療保険の適用対象となるものである。