質問主意書

第176回国会(臨時会)

答弁書


答弁書第五五号

内閣参質一七六第五五号
  平成二十二年十月二十九日

内閣総理大臣臨時代理           
国務大臣 仙谷 由人   


       参議院議長 西岡 武夫 殿

参議院議員中西健治君提出日本郵政グループの運営に関する質問に対し、別紙答弁書を送付する。



   参議院議員中西健治君提出日本郵政グループの運営に関する質問に対する答弁書

一の1の①について

 日本郵政株式会社(以下「日本郵政」という。)が平成二十二年五月七日に発表した「いわゆる「ファミリー企業」と報じられている法人への対応について」(以下「広報発表」という。)において「OBがいない法人」とされている六十四法人については、日本郵政から、平成十九年十一月六日に「郵政事業の関連法人の整理・見直しに関する委員会」の「第三次報告(最終報告)」(以下「最終報告」という。)が発表された後に「官僚OB」又は「日本郵政OB」(以下「OB」と総称する。)が退任した法人のほか、最終報告が発表された時点で既にOBがいなかった法人もあると聞いている。

一の1の②について

 御指摘の六十四法人については、日本郵政から、日本郵政、郵便局株式会社、郵便事業株式会社、株式会社ゆうちょ銀行及び株式会社かんぽ生命保険(以下「日本郵政グループ各社」という。)としては、OBの再就職のあっせんを最終報告が発表された後は行っていないが、OBが自ら就職活動を行って御指摘の六十四法人に再就職をすることはあり得ると聞いている。また、「当該法人が経営の自主性を理由に」OBを雇用した場合の対応については、日本郵政から、OBの退任をお願いするか、取引を一般競争入札とするかのいずれかの方針を採るものと聞いている。

一の1の③について

 お尋ねの二十二法人の法人名については、日本郵政から、財団法人ゆうちょ財団、財団法人全国郵便局長協会連合会、財団法人北海道郵便局長協会、財団法人東北地方郵便局長協会、財団法人関東地方郵便局長協会、財団法人東京郵便局長協会、財団法人信越郵便局長協会、財団法人北陸郵便局長協会、財団法人東海地方郵便局長協会、財団法人近畿地方郵便局長協会、財団法人中国地方郵便局長協会、財団法人四国郵便局長協会、財団法人九州郵便局長協会、財団法人沖縄郵便局長協会、社団法人逓信研究会、財団法人逓信協会、財団法人日本郵趣連合、財団法人日本郵趣協会、社団法人日本ダイレクト・メール協会、財団法人国際郵便基盤研究開発センター、財団法人郵政福祉及び財団法人簡易保険加入者協会であると聞いている。また、日本郵政から、日本郵政グループ各社は、これらの二十二法人のうち、六法人とは取引を行っていないが、残りの十六法人とは取引を行っていると聞いている。

一の1の④について

 お尋ねについては、日本郵政から、公益法人は企業としての業務を行っていないことから、「ファミリー企業」に該当しないと考えているためであると聞いている。

一の2の①について

 お尋ねについては、日本郵政から、民間企業としての日本郵政が、グループ会社とすることが業務上必要と判断した会社については子会社化するという方針の下、御指摘の五法人(以下単に「五法人」という。)を子会社化することと決めたものと聞いている。

一の2の②について

 お尋ねについては、日本郵政及び五法人から、任意の協力を得て、「日本郵政グループとの取引額、役職員数、役職員のうち官僚OB又は日本郵政OBの人数並びに同役職員の官庁又は日本郵政における最終ポスト及び年収」を改めて聴取したところ、その内容は次の(1)から(3)のとおりとのことである。
(1) 法人の名称、日本郵政グループ各社との取引額(平成二十一年度)、役職員数及び役職員のうちOBの人数
 株式会社ウェルネス総合サービス 約十三億九千万円 百五十八人 一人
 株式会社ピーエヌシー 約十二億七千万円 百三十二人 五人
 日本情報通信開発株式会社 約一億千万円 二百九人 十人
 株式会社日搬 約十億五千万円 百六十人 七人
 株式会社ゆーテック 約二億八千万円 六十四人 一人
(2) 法人の役員の官庁又は日本郵政グループ各社における最終ポスト及び年収
 株式会社ウェルネス総合サービス ラフレさいたま館長 約六百五十万円
 日本情報通信開発株式会社 高知中央郵便局長 無回答、大臣官房人事部長 無回答、東海郵政監察局長 無回答
 株式会社日搬 旭川中央郵便局長 無回答、近畿郵政監察局総務監察官 無回答、関東郵政監察局長 無回答
 株式会社ゆーテック 中央郵政研修所長 無回答
 株式会社ピーエヌシーについては、職員と合わせて五人のOBがいるとのみ回答があった。
(3) 法人の職員の官庁又は日本郵政グループ各社における最終ポスト及び年収
 株式会社日搬 静岡監察室長 無回答、本郷郵便局総務課長 無回答、日本橋郵便局長 無回答、岐阜中央郵便局長 無回答
 株式会社ピーエヌシーについては、役員と合わせて五人のOBがいる、日本情報通信開発株式会社については、職員に七人のOBがいるとのみ回答があった。

一の3について

 お尋ねの七十一法人については、最終報告が発表された時点から解散等により広報発表の時点で六十四法人となっているが、日本郵政によると、当該六十四法人のうちOBがいない四十六法人を除く十八法人について、それらの法人が広報発表において「どのような分類となり、現在どのような状態になっているのか」をお示しすると、次のとおりとのことである。
 青森郵便自動車株式会社 OBの退任をお願いする(以下「退任依頼」という。) 鋭意OBの退任をお願いしているところ(以下「依頼中」という。)
 八幡自動車株式会社 退任依頼 依頼中
 南福島郵便輸送株式会社 退任依頼 依頼中
 群馬郵便逓送株式会社 退任依頼 依頼中
 新潟郵便輸送株式会社 退任依頼 依頼中
 上越郵便輸送株式会社 退任依頼 依頼中
 南信郵便逓送株式会社 退任依頼 依頼中
 東海輸送株式会社 退任依頼 依頼中
 関西郵便逓送株式会社 退任依頼 依頼中
 奈良郵便輸送株式会社 退任依頼 依頼中
 阪和郵便輸送株式会社 退任依頼 依頼中
 神姫逓送株式会社 退任依頼 依頼中
 宮崎郵便逓送株式会社 退任依頼 依頼中
 沖縄郵便逓送株式会社 退任依頼 依頼中
 沖縄ポスタルサービス株式会社 退任依頼 依頼中
 上野郵便逓送株式会社 退任依頼 依頼中
 有限会社ピー・エム・エー 退任依頼 依頼中
 株式会社マサキ急便 一般競争入札とする 既に一般競争入札によって取引している

二の1について

 お尋ねについては、日本郵政から、日本郵政グループ各社の正社員の労働条件と同じであり、例えば、日本郵政の正社員の労働条件をお示しすると、次の(1)から(8)のとおりとなると聞いている。
(1) 給与・諸手当
 初任給の上限を十八万二千九百円とした上で、職務の前歴等に基づいて個別に基本給を設定し、扶養手当、通勤手当、住居手当、超過勤務手当等を支給する。
(2) 昇給
 評価結果に基づき、年一回行う。
(3) 賞与
 年二回行う。
(4) 勤務地
 一般職が配置される全国の事業所とする。
(5) 勤務時間
 勤務種類により始業時刻及び終業時刻は一定ではなく、また、勤務場所により変形労働時間制の場合があるが、原則一日八時間、一週間四十時間とする。
(6) 休日休暇
 勤務種類により休日及び休暇は一定ではないが、原則週休二日制とし、年次有給休暇、特別休暇、病気休暇、育児休業、介護休業等を付与する。
(7) 福利厚生
 日本郵政共済組合及び雇用保険に加入し、一定の条件の下で社宅を貸与する。
(8) 研修等
 集合研修、自己啓発等を実施する。

二の2について

 お尋ねについては、日本郵政グループ各社は、六十歳未満の非正規社員で、勤続三年以上(月給制契約社員にあっては勤続二年以上)、かつ、週所定労働時間が三十時間以上であるものが応募できるものとして、平成二十二年六月十五日に応募を開始し、同月二十八日に応募を締め切って、同年八月七日及び八日に一次審査として筆記試験を実施し、同年九月中頃に一次審査の合否を通知して、同月二十五日から二十九日まで一次審査通過者に対して最終審査として面接を実施し、同年十一月上旬頃に最終審査の合否の通知をした上で、同年十二月一日に最終審査の合格者を正社員として採用する予定であると承知しているが、正社員としての採用予定者数については、日本郵政から未定であると聞いている。

二の3について

 日本郵政から、日本郵政には五十六人、郵便事業株式会社には二万八千六百十七人、郵便局株式会社には四千四百四十六人、株式会社ゆうちょ銀行には七百三十六人、株式会社かんぽ生命保険には二百七十九人が応募し、日本郵政において二十四人、郵便事業株式会社において一万千百四十一人、郵便局株式会社において千九百二十三人、株式会社ゆうちょ銀行において二百五十六人、株式会社かんぽ生命保険において百二十人が一次審査に合格したところと聞いている。

二の4及び5について

 日本郵政から、正社員としての採用予定者数が未定であることから「正社員化による平成二十二年度人件費増加想定額」は不明であり、そのため、「日本郵政グループ各社の平成二十二年度予算措置」及び「今年度末各社決算見通しにおける当該人件費増加分」は計上していないと聞いている。

二の6について

 お尋ねについては、日本郵政から、その経営判断により、非正規社員の雇用の安定及び労働条件の向上を図り、もって労働力の質及び生産性の向上に資するために実施しているものと聞いている。

三について

 今国会に提出している郵政改革法案において、日本郵政が郵便事業株式会社及び郵便局株式会社の業務並びに権利及び義務を合併により承継することとしているのは、郵政民営化法(平成十七年法律第九十七号)第一条に規定する郵政民営化により、同法第五条第二項の規定に基づき、郵政事業の実施主体が日本郵政、郵便事業株式会社、郵便局株式会社等に分割され各社の業務が法律に規定されたこと等の結果、郵政事業の経営基盤が脆弱となり、郵政事業の役務を郵便局で一体的に利用することが困難となっている事態に対処するため、郵便局において郵便業務と郵便窓口業務を一体的に行えるようにするほか、合併後の日本郵政が銀行窓口業務と保険窓口業務を行うものとすることにより、いわゆる金融業務を含めた郵政事業に係る基本的な役務が郵便局で一体的に利用できるようにすることを目的とするものである。