質問主意書

第176回国会(臨時会)

答弁書


答弁書第四九号

内閣参質一七六第四九号
  平成二十二年十月二十九日

内閣総理大臣臨時代理           
国務大臣 仙谷 由人   


       参議院議長 西岡 武夫 殿

参議院議員加藤修一君提出ヒートアイランドにおける「嫌熱」から「活熱」・「利熱」への施策の転換に関する質問に対し、別紙答弁書を送付する。



   参議院議員加藤修一君提出ヒートアイランドにおける「嫌熱」から「活熱」・「利熱」への施策の転換に関する質問に対する答弁書

一について

 廃熱等の未利用熱の有効活用については、政府としても、熱エネルギーの有効利用による省エネルギーの観点から重要と考えている。
 お尋ねの「熱エネルギー利活用状況のチェック改善制度の創設」については、エネルギーの使用の合理化に関する法律(昭和五十四年法律第四十九号)第五条第一項の規定に基づき定められた工場等におけるエネルギーの使用の合理化に関する事業者の判断の基準(平成二十一年経済産業省告示第六十六号。以下「判断基準」という。)において、事業者に廃熱の回収利用等を求めるとともに、同法第十五条第一項の規定に基づき、一定のエネルギーを使用する事業者に、廃熱の回収利用の状況等について定期の報告を求めている。
 お尋ねの「中小企業における排熱・廃熱対策の推進」については、中小企業における省エネ技術・設備の導入可能性に関する診断事業等により推進している。
 お尋ねの「カスケード利用(多段階的利用)の促進」及び「LEDの普及・拡大」については、判断基準において、事業者に対して、廃熱等の未利用エネルギーの多段階的利用等や、白熱電球に比して廃熱が少ないLED照明の採用の検討を求めている。
 お尋ねの「蓄熱技術の開発」については、独立行政法人新エネルギー・産業技術総合開発機構(以下「NEDO」という。)において、次世代の高効率なヒートポンプの研究開発の一環として、蓄熱技術の開発も行っている。

二について

 熱電発電については、その発電効率を向上させるため、NEDOにおいて、廃熱等から生じる温度差を利用した発電システムに用いる熱電発電モジュールの研究開発を行ったところであり、当該開発に参画した事業者の一部は、既に熱電発電モジュールを実用化させている。

三について

 政府としては、国内エネルギー消費に占める割合が大きい冷暖房、給湯等向けのエネルギーに、再生可能エネルギー源から得られる熱を活用していくことが必要と考えている。そのため、再生可能エネルギー源から得られる熱を活用した設備の普及拡大に向けて助成措置を講じているほか、熱利用設備の価格が割高であること、安価で正確な熱量の計量方法が存在しないこと等の課題の解決に向けた調査を実施している。

四の1について

 国等における温室効果ガス等の排出の削減に配慮した契約の推進に関する法律(平成十九年法律第五十六号。以下「環境配慮契約法」という。)第五条第一項の規定に基づき定められた「国及び独立行政法人等における温室効果ガス等の排出の削減に配慮した契約の推進に関する基本方針」(平成二十二年二月五日閣議決定。以下「基本方針」という。)においては、国及び独立行政法人等は、ESCO事業(環境配慮契約法第五条第二項第三号に規定する省エネルギー改修事業をいう。以下同じ。)導入のフィージビリティ・スタディを実施し、ESCO事業を可能な限り幅広く導入するものとされている。
 また、環境配慮契約法第十一条においては、地方公共団体及び地方独立行政法人(以下「地方公共団体等」という。)は、温室効果ガス等の排出の削減に配慮した契約の推進に関する方針を作成するよう努め、当該方針を作成したときは、これに基づき温室効果ガス等の排出の削減に配慮した契約の推進を図るために必要な措置を講ずるよう努めるものとされている。政府としては、同条の規定に基づきESCO事業の導入に向けた地方公共団体等の取組が進むよう、今後とも、情報提供等必要な支援を行ってまいりたい。

四の2について

 NEDOにおいては、廃熱等の未利用熱を有効活用するため、次世代の高効率なヒートポンプの研究開発に取り組んでいる。こうした技術も活用し、工場等からの大量の廃熱等を利用する仕組みを構築することは、省エネルギーや熱の有効活用の観点から重要であると考えている。

四の3について

 オフセット・クレジット(J―VER)制度及び国内クレジット制度については、カーボン・オフセットを通じた国内の温室効果ガスの排出削減及び吸収の促進や、大企業等からの資金、技術等の提供を通じた中小企業等による温室効果ガスの排出削減の推進といったそれぞれの趣旨に沿って運用している。今後とも、制度の更なる運用改善や活性化の在り方について検討しつつ、こうした仕組みの活用により省エネルギー等の取組の促進に努めてまいりたい。
 また、ESCO事業については、基本方針に基づき、国及び独立行政法人等においてESCO事業を可能な限り幅広く導入するなど、引き続きその推進に努めてまいりたい。

五について

 電気自動車は、電気を動力源として用いることから、走行中に排出ガスを排出しないなど環境性能に優れた自動車であり、また、電気自動車市場は、今後世界的に拡大が想定される分野である。このため、環境問題への対応と経済成長の実現の観点から、政府としても、電気自動車の加速的な普及の促進に努めている。
 具体的には、政府としては、量産型の電気自動車の購入に対する助成措置を講ずるとともに、電気自動車に使用される蓄電池の技術開発に対する支援、充電設備の設置に対する助成等の措置を講じている。
 一方、既存自動車を改造した電気自動車を含め、量産型ではない電気自動車については、今後の市場の評価や需要の動向等を慎重に見極めて対応していくこととしている。