質問主意書

第176回国会(臨時会)

答弁書


答弁書第四六号

内閣参質一七六第四六号
  平成二十二年十月二十九日

内閣総理大臣臨時代理           
国務大臣 仙谷 由人   


       参議院議長 西岡 武夫 殿

参議院議員加藤修一君提出ヒートアイランド対策の具体策に関する質問に対し、別紙答弁書を送付する。



   参議院議員加藤修一君提出ヒートアイランド対策の具体策に関する質問に対する答弁書

一について

 御指摘の「透水性道路」が何を指すのかが必ずしも明らかではないが、道路事業においては、これまで保水性舗装、遮熱性舗装等について、その温度低減効果を確認し、施工実績を積み重ねてきているところである。
 また、事業所又は一般家庭における壁面や屋上の緑化及び、雨水を一時的に貯留し、又は地下に浸透させる機能を有する施設の設置を促進するため、社会資本整備総合交付金による地方公共団体を通じた支援等を行っているところである。
 さらに、水循環・物質循環、生態系、大気・気象等に配慮した都市の実現を目指すに当たっての都市計画手法の活用方法についての基本的な考え方を、平成十五年十一月十日に国土交通省が策定した「政策課題対応型都市計画運用指針」において示しているところである。
 政府としては、引き続きこれらの取組を推進してまいりたいと考えている。

二について

 政府としては、雨水を一時的に貯留し、又は地下に浸透させる機能を有する施設の設置等により雨水の流出を抑制することは、浸水被害の軽減を図るための重要な方策の一つであるとともに健全な水循環系の構築や非常時の用水確保等に資する場合もあることから、こうした取組に対して社会資本整備総合交付金による地方公共団体を通じた支援等を行っているところであり、引き続きこれらの取組を推進してまいりたいと考えている。
 また、御指摘の「雨水利用促進法(仮)」の具体的内容が明らかではないが、貯留した雨水の利用については、水資源全体を考慮しつつ地域の実情に応じた適正な利用の在り方について検討することが必要であると考えている。

三について

 一についてでお答えした取組のほか、生け垣、街路樹等の整備、公共施設等の壁面や屋上の緑化及び市民参加による緑地づくり活動について、社会資本整備総合交付金等により、地方公共団体に対し又は地方公共団体を通じて支援を行っているところである。また、河川が本来有している生物の生息・生育・繁殖環境及び多様な河川景観を保全又は創出するための「多自然川づくり」についても、ヒートアイランド対策に資する取組として推進しているところである。
 建築物等に関しては、平成十六年七月十六日に国土交通省が策定した「ヒートアイランド現象緩和のための建築設計ガイドライン」において、建築物の外装計画に当たり暑熱環境の緩和や隣地等への熱放散の抑制等について配慮すべき事項を示しているところである。
 また、「ヒートアイランド対策大綱」(平成十六年三月三十日ヒートアイランド対策関係府省連絡会議決定)については、地球温暖化対策等の進捗状況等も踏まえつつ、具体的施策の整理を含め同大綱を見直すこととしている。さらに、ヒートアイランド対策に資する取組を含む地球温暖化対策等を先駆的に実施する「環境モデル都市」を平成二十年度に選定しているところである。
 政府としては引き続きこのような取組を推進してまいりたいと考えている。

四について

 水を活用したヒートアイランド現象の緩和策については、下水再生水等を利用して打ち水を行う取組を推進しているほか、保水性舗装の温度低減効果を確認し、施工実績を積み重ねてきているところであり、政府としては、引き続きこれらの取組を推進してまいりたいと考えている。

五について

 お尋ねの趣旨が必ずしも明らかではないが、都市の再生については、「都市再生基本方針」(平成十四年七月十九日閣議決定)において、「都市再生施策の重点分野」の具体的な施策例として「地球温暖化対策・ヒートアイランド対策」を、また、「都市再生緊急整備地域の整備にあたっての配慮等」として「都市の環境の保全・改善」を位置付けている。構造改革特区制度については、地域が自発性を持って構造改革を進めることを支援するものであり、地域における低炭素社会づくり等に関する取組についても適切に対応してまいりたいと考えている。
 また、御指摘の「CASBEE―HI」を含むCASBEE(建築環境総合性能評価システム)について、公開セミナーやCASBEE等地方公共団体連絡会議を通じて、設計者等への周知徹底や地方公共団体における活用の促進を図っているほか、ヒートアイランド対策の効果についての評価手法の検討や気象データの収集を行っているところであり、政府としては、引き続きこのような取組を促進してまいりたいと考えている。

六について

 都市の気象図等の作成を通じて都市の気象の実態を把握することは、ヒートアイランド現象の緩和等に配慮した都市計画を検討する上で有効な手段の一つと考えており、環境省において、その手法の一つとなる「都市環境気候図」の作成方法について公表しているところである。都市計画の策定に当たり、このような都市の気象図等を作成することについては、都市計画決定権者である地方公共団体において、個々の都市の状況に応じて判断されるものであると考えている。