質問主意書

第176回国会(臨時会)

答弁書


答弁書第四三号

内閣参質一七六第四三号
  平成二十二年十月二十六日
内閣総理大臣 菅 直人   


       参議院議長 西岡 武夫 殿

参議院議員山谷えり子君提出尖閣諸島に関する質問に対し、別紙答弁書を送付する。



   参議院議員山谷えり子君提出尖閣諸島に関する質問に対する答弁書

一について

 平成二十二年十月十四日付けで、衆議院議長から、「本年九月七日の尖閣諸島沖での我が国巡視船と中国漁船との衝突事案の映像記録」の提出要求が行われたところであり、検察当局及び海上保安庁において、当該要求及び現在の捜査の状況等を踏まえて、その提出につき適切な判断がなされると考える。

二及び三について

 平成二十二年九月七日午前十時十五分頃、中国漁船が海上保安庁の巡視船「よなくに」に衝突する事案が発生し、当該漁船は衝突後も逃走を続け、同日午前十時五十六分頃、停船命令を実施しつつ当該漁船を追跡中の同庁の巡視船「みずき」に衝突した。当該漁船はその後も逃走を続け、同日午後零時五十六分頃、巡視船「みずき」が当該漁船を停船させた。
 なお、お尋ねの「衝突時の中国漁船の航海速度」については、個別具体の事件の捜査に関する事柄であることから、答弁を差し控えたい。

四について

 巡視船「みずき」には、右舷中央部外板の凹損及び擦過傷並びに右舷中央部から船尾にかけて設置してある手すり数本の曲損が生じたが、その損害額は、現在までのところ確定していない。
 当該損害についての賠償請求については、現在までのところ行ってはいないが、関係省庁において協議しつつ、適切に対応することとしている。

五及び六について

 被疑者を釈放するとの方針は、検察当局が、我が国国内法と証拠に基づいて適切に判断し、決定した上、発表したものと承知している。

七について

 政府としては、避難港の整備については、周辺海域の気象・海象条件、周辺航行船舶の避難対応の需要、船舶における安全確保策等を総合的に勘案し、慎重に検討することが必要と考えている。

八について

 防衛省においては、現在、尖閣諸島に自衛隊の施設を整備することは検討していない。他方で、多くの島嶼が存在しているという地理的特性を有する我が国において、島嶼部の防衛は極めて重要であると認識しており、南西諸島における防衛態勢の整備については、我が国を取り巻く安全保障環境等を十分に踏まえて検討していく必要があると考えている。

九について

 お尋ねの「領海侵犯」が何を指すのか必ずしも明らかでないが、平成二十二年において、尖閣諸島周辺の我が国領海内において違法操業している外国漁船に対して退去警告を行い、領海外に退去させた件数は、九月末現在で四百四十三件であり、海上保安庁においては、従来から尖閣諸島付近海域において、大型巡視船を常時配備し、情勢に応じて体制を強化するなど、適切に警備を行っている。
 なお、事情聴取の内容に関しては、個別具体の事件の捜査に関する事柄であることから、答弁を差し控えたい。

十について

 御指摘の灯台は、現在、海上保安庁が所有しており、おおむね年に一回程度、同庁の職員が保守点検を実施している。当該保守点検に要する費用(職員の人件費等を除く。)は、年間一万円程度である。

十一について

 お尋ねの「調査」が何を指すのか必ずしも明らかでないが、直近十年間において、お尋ねの「島内の飲料水の有無などをはじめとした、居住に際しての条件整備の状況」について、政府が尖閣諸島を調査したことはない。

十二について

 現在、総務省が賃借している魚釣島、北小島及び南小島については、平成十四年四月一日から尖閣諸島の平穏かつ安定的な維持及び管理を目的として国が賃借しているものであり、引き続き賃借を継続することを考えている。

十三について

 尖閣諸島については、現時点において、排他的経済水域及び大陸棚の保全及び利用の促進のための低潮線の保全及び拠点施設の整備等に関する法律(平成二十二年法律第四十一号)第二条第三項に規定する特定離島として今後定めることは、想定していない。

十四について

 御指摘の点に関しては、在中国日本国大使館から中国外交部に対し、累次にわたり事実関係についての申入れを行うとともに、同大使館から複数の報道機関に対し記事の訂正を求めている。