質問主意書

第176回国会(臨時会)

答弁書


答弁書第一五号

内閣参質一七六第一五号
  平成二十二年十月十九日
内閣総理大臣 菅 直人   


       参議院議長 西岡 武夫 殿

参議院議員山田俊男君提出過剰米対策に関する質問に対し、別紙答弁書を送付する。



   参議院議員山田俊男君提出過剰米対策に関する質問に対する答弁書

一について

 米戸別所得補償モデル事業(以下「モデル事業」という。)においては、水稲生産における標準的な生産費用の額と標準的な販売収入の額との差額を補償する定額部分の措置に加え、平成二十二年産米の販売価格が標準的な販売価格を下回った場合にその差額を補償する変動部分の措置を講ずることとしている。したがって、仮に米穀の価格が下落した場合であっても、モデル事業に参加している農家の所得は補償される。

二について

 集荷円滑化対策とモデル事業は、農家の経営安定という目的は共通するものの、前者が米穀の価格の維持という手法を採るのに対し、後者は農家への直接的な所得補償という手法を採るものであり、両者は政策手段として並存して行われるものではないことから、平成二十二年度においては、集荷円滑化対策は実施しないこととしたところである。なお、集荷円滑化対策は全国、都道府県及び地域の十月十五日現在の作況指数がいずれも百一以上の場合に発動することとされているところ、平成二十二年九月十五日現在では全国の平成二十二年産水稲の作況指数が九十九となっており、仮に平成二十二年度において同対策を実施することとしていた場合であっても、同対策を発動する要件を満たすような状況とはなっていない。

三について

 主要食糧の需給及び価格の安定に関する法律(平成六年法律第百十三号。以下「食糧法」という。)第八条第一項に規定する米穀安定供給確保支援機構(以下「機構」という。)は、食糧法第十七条の規定により、平成十六年度及び平成十七年度に政府から各年度七十五億円の無利子の資金の貸付けを受けているが、この資金は、集荷円滑化対策の制度発足当初には、機構において同対策を実施するための資金原資が十分でなかったことから、その原資とするために貸し付けられたものである。その後、農家から支払われた拠出金により、機構において集荷円滑化対策のための原資が確保され、また、主要食糧の需給及び価格の安定に関する法律施行令(平成七年政令第九十八号)第五条に規定する償還期間の五年間が到来したため、平成十六年度の貸付金は平成二十一年八月に、平成十七年度の貸付金は平成二十二年九月に、それぞれ機構から国庫に償還されたところである。

四及び五について

 機構は、平成十六年度及び平成十七年度において農家から支払われた拠出金により、集荷円滑化対策のための基金を造成しており、現在も機構が当該基金を保有している。今後の集荷円滑化対策の取扱いについては、平成二十二年度に同対策を実施しないこととした中で、戸別所得補償制度の本格実施に向けた制度設計との整合性を図りながら、検討することとしている。なお、当該基金の取扱いについても、その造成時に租税特別措置法(昭和三十二年法律第二十六号)第二十八条及び第六十六条の十一の特例を受けているという経緯も踏まえ、併せ検討してまいりたい。