質問主意書

第176回国会(臨時会)

質問主意書


質問第二〇五号

北朝鮮による韓国砲撃事件と今後の外交対策に関する質問主意書

右の質問主意書を国会法第七十四条によって提出する。

  平成二十二年十二月三日

小熊 慎司   


       参議院議長 西岡 武夫 殿



   北朝鮮による韓国砲撃事件と今後の外交対策に関する質問主意書

 北朝鮮による韓国砲撃事件と今後の外交対策について、以下を質問する。
 北朝鮮が韓国の延坪島を砲撃、民間人を含む多数の死傷者が出た事件について、十一月二十五日の予算委員会で菅内閣総理大臣は北朝鮮への今後の対応について、「常に瀬戸際の行動を取ることで何らかの見返りを得たが、約束は守ってこなかった。厳しい姿勢で臨まざるを得ない」と答弁した。しかし、政権交代後、政務三役による政治主導を謳いながら、北朝鮮による拉致や核開発に対して何ら外交上有効な対策を講ずることがなかった政府が、東アジアの国際安全保障にかかわる現実を的確に認識し、適切かつ明確なビジョンを持って外交を進めているかについて、国民は強く不安を感じていると言わざるを得ない。よって以下を質問する。

一 菅総理大臣が答弁した北朝鮮が「約束を守ってこなかった」こととは、具体的にどのような事実を指すのか。

二 北朝鮮の瀬戸際外交に対し、

1 政府はこれまでどのような方針で臨んだのか。
2 その方針の下で、具体的にどのような対策を講じたのか。
3 民主党政権に代わってから、政府の方針は変わったのか。
4 民主党政権に代わってから、政府の方針に変わった部分があるのであれば、どのように変わったのか、個別具体的に明示されたい。また、それにより、どのような成果があったのか、具体的に示されたい。
5 民主党政権に代わってからの、政府の方針の変更、方針転換がなかったのであれば、政府として従来の方針に従い、どのような措置をとったのか、個別具体的に明示されたい。また、それにより、どのような成果があったのか、具体的に示されたい。
6 民主党政権に代わってからの、政府の対応は、それ以前と比較して、より妥当なものであったのか。また、その理由も示されたい。

三 菅総理大臣が答弁した「厳しい姿勢で臨まざるを得ない」との方針を踏まえ、政府は具体的にどのような外交上及び国内的な対策を講じることとしているのか。

四 政府は、普天間基地問題での迷走等の対米外交の混乱、尖閣諸島沖での漁船衝突事件における対中関係を優先した処理等が、北朝鮮に対して誤った情勢認識を与え、今回の砲撃事件に影響した可能性は全くないと考えるか。

五 今回の砲撃は、これまでの国連による経済制裁と六カ国協議の効力がなかったことを示すものとも言える。こうした中、東アジアの平和と安定のために我が国がどのような政治的役割を担っていくのか。政府の基本方針と、それを踏まえた当面の対策について、個別具体的に示されたい。

  右質問する。