質問主意書

第176回国会(臨時会)

質問主意書


質問第二〇〇号

外資による森林取引の増加と法整備に関する質問主意書

右の質問主意書を国会法第七十四条によって提出する。

  平成二十二年十二月三日

小熊 慎司   


       参議院議長 西岡 武夫 殿



   外資による森林取引の増加と法整備に関する質問主意書

 外資による森林取引の増加と法整備について、以下質問する。
 現在、世界の水需要は逼迫の極みにあり、世界の投機マネーは、天然資源になだれ込んでいる。我が国でも水源を有する森林を外国資本が取得する事例が増えており、平成二十二年八月、北海道の倶知安町で森林が中国人に購入されていたことが判明した。地方では農家の担い手不足から土地と森林の手入れが難しく、また地方の疲弊により相続税が払えずに土地を手放す地権者が増えており、中国人への売却が急速に伸びつつあることについて質問する。

一 日本の土地の地権者は地下も権利を有し、当該土地に付属する水資源の権利も有している。水資源の獲得を目的に中国人をはじめとした外国人地権者が増えた場合、水資源が外国人にわたることにならないか。また、その理由も示されたい。

二 我が国の水源地の土地所有権が外国人にわたった場合、どのような支障を生じる可能性があると認識しているか、具体的かつ網羅的に列挙されたい。

三 我が国の土地所有権及び土地利用規制に関する法体系は、水源地の土地所有権が大々的に外国人の手にわたった場合でも一切支障を生じないものと考えているのか。その具体的理由とともに、示されたい。

四 こうした問題についての政府としての現状把握にも問題があることが指摘されている。このうち、林野庁と国交省の地権者のデータが一致していない問題について、今後、いつまでにどのような対策を講ずる方針であるか、具体的に示されたい。

五 北海道では香港資本など外資による森林取得が相次ぎ、道の調査では道内で八百二十ヘクタールの森林を外資が所有している。現在は森林などの土地売買は一ヘクタール未満なら届け出の必要がなく実態がつかめないのが現状である。これに対し、北海道の知事は十一月二十九日の道議会で森林や沼地の土地取引に事前届け出を求める独自の条例を制定する考えを表明し、二〇一一年度中の条例制定を目指すとしている。国土の安全保障と水資源保持の観点から、国としても同様の法整備が急務であるが、政府としての問題解決策はあるのか、具体的に示されたい。

  右質問する。