質問主意書

第176回国会(臨時会)

質問主意書


質問第一八七号

公的臍帯血バンクの存続に関する質問主意書

右の質問主意書を国会法第七十四条によって提出する。

  平成二十二年十二月三日

谷合 正明   


       参議院議長 西岡 武夫 殿



   公的臍帯血バンクの存続に関する質問主意書

 公的臍帯血バンクは国からの補助金と医療保険によって臍帯血の保存供給を行っており、全国に十一か所存在する。一九九八年四月に臍帯血移植の保険適用、一九九九年八月に公的バンクの中核組織「日本さい帯血バンクネットワーク」の設立、二〇〇〇年には検査費の一部に保険適用が実現し、骨髄移植と同様に臨床現場にとって必要不可欠な治療法として定着してきた。
 しかし、全国の公的臍帯血バンクの財政事情は逼迫している。臍帯血を採取してから患者に供給するまでには、一本あたり約二百万円とされているが、バンクに入る診療報酬は管理料として十七万四千円だけである。収入の大半を占める国からの補助金を合わせても損失が生じるため、臍帯血の保存本数に比例して赤字が増える状況である。
 そこで今後の公的臍帯血バンクの存続に関して、以下のとおり質問する。

一 公的臍帯血バンクによる臍帯血移植の累計実績、そのうち成人への移植件数、造血幹細胞移植全体に占める臍帯血移植の割合について明らかにされたい。

二 臍帯血移植及び公的臍帯血バンクが移植医療に果たしてきた役割について、政府としてどのように評価しているか。

三 公的臍帯血バンクにおける臍帯血の公開保存数及び成人移植が可能な細胞数の多い臍帯血の公開保存数を示されたい。また、今後、小児中心の保存計画から、成人に見合うように保存計画を策定し、細胞数の多い臍帯血を増やしていくべきと考えるが、厚生労働省として、今後、望ましい臍帯血全体の保存数や細胞数の多い臍帯血の保存数について、どのような見解をもっているか。

四 現在、臍帯血の採取可能な医療機関はいくつあるのか。十一の公的バンクごとに提携している医療機関の数を明らかにされたい。また、今後、臍帯血を必要数確保していくために十分な数と言えるのか、見解を示されたい。足りないとすれば、政府として採取可能医療機関の増加に向けて、どのように支援していく考えか。

五 公的臍帯血バンクの運営は、補助金だけでなく母体組織の負担によっても支えられており、臍帯血の保存を増やせば増やすほど赤字が拡大し、公的バンクの財政状況を厳しくさせている。財政面を理由に臍帯血の供給が止まった場合、患者の方々に甚大な影響を与えるものと危惧する。政府は全国の公的臍帯血バンクの財政状況について、どう把握し、どう認識しているか。また、厳しいという認識であれば、公的臍帯血バンクの自立的な運営のために、政府としてどのような方策を取ろうとするのか、明らかにされたい。

六 平成二十二年度の診療報酬改定に際し、骨髄移植や末梢血管細胞移植が大幅に増点され、移植と採取の合計が八万四千八百点と同額になるよう増点された。しかし、臍帯血移植の保険点数は四万四千三百点に据え置かれたままになっているが、据え置かれた理由について明らかにされたい。また、安定的な医療としていくために、骨髄移植や末梢血管細胞移植と同様に点数の引き上げが必要と考えるが、政府の見解を明らかにされたい。

七 公的臍帯血バンクでは臍帯血一本あたり二百万円程度のコストがかかると言われているが、バンクに入る収入は十七万四千円の管理料のみであり、残りを補助金や運営母体の持ち出しに依存している。将来の自立的な運営を可能にするためには、補助金による支援から、コストに見合う臍帯血本体の保険点数化が必要だと考えるが、政府の見解を明らかにされたい。

八 臓器移植には臓器移植法があるが、臍帯血移植を含め造血細胞移植については根拠法がない。臍帯血の保存管理は特別なものであり、かつ安全管理にも十分に配慮していかなければならない。したがって国の責任のあり方も含めた造血細胞移植法の制定が必要と考えるが、政府の見解を明らかにされたい。

  右質問する。