質問主意書

第176回国会(臨時会)

質問主意書


質問第一四五号

第三次男女共同参画基本計画(案)に関する質問主意書

右の質問主意書を国会法第七十四条によって提出する。

  平成二十二年十一月三十日

山谷 えり子   


       参議院議長 西岡 武夫 殿



   第三次男女共同参画基本計画(案)に関する質問主意書

 本年十一月二十二日、男女共同参画会議において第三次男女共同参画基本計画(案)(以下「本案」という。)が発表された。政府は平成二十二年度中に第三次男女共同参画基本計画を閣議決定する方向で進んでいるが、本案について、以下のとおり質問する。

一 本案では、「この資料は、内閣府が作成した案であり、今後も調整を進めていくものである」と、表紙に注記されている。このような記載が政府計画案になされること自体が異例ではないか。本案は政治主導を掲げる現内閣が、男女共同参画会議議員による議論の総括としてまとめあげたものではないのか。また、本案が内閣府の作成した案であるのならば、議員による議論のまとめはどこにあるのか示されたい。

二 本案三頁に「ジェンダー予算の在り方」と記載されているが、これは何を意味するのか。本年十月十九日に提出した質問主意書に対する答弁書(内閣参質一七六第四七号。以下「答弁書」という。)では、「各国の具体的な実施事例の調査を行うこと等を想定して」との答弁があった。具体的な取組、具体的な実施事例を具体的に示されたい。

三 本案十六頁に「再婚の増加等に伴う家族の在り方の多様化、少子化など時代の変化等に応じ、家族法制の在り方等について広く課題の検討を行う」と、新たに加わったが、これらは何を意味するのか。また、再婚の増加による家族法制の見直しとは何か。さらに、少子化による家族法制の見直しとは何か。それぞれ示されたい。

四 本案十九頁に「家事、育児、介護、ボランティア活動などの無償労働の把握」と記載されているが、これらを単なる無償労働と考えるのか、政府の見解を示されたい。また、答弁書では、本件につき「その担い手や時間等を把握し、目に見える形で表すこと等を目的」と答弁しているが、担い手や時間を目に見える形で表すことによってどんな成果が得られるのか。

五 心をこめた料理や、心をこめた育児を政府としてどう評価するのか。

六 本案二十五頁に「性感染症についても、その予防方法を含めた教育を推進する」と記載されている。この予防方法とは、以前各地の中学校で行われていたコンドーム教育を徹底するということか。

七 本案三十六頁に「M字カーブ問題」として、M字カーブを問題、つまり悪いことのように記しているが、平成二十二年版厚生労働白書では、「一歳までは子育てに専念(育児休業を含む)したい」と考える人が八十八・一%、平成二十年全国家庭動向調査では、「子どもが三歳くらいまでは母親は仕事を持たずに育児に専念した方がよい」と考える二十代、三十代の女性が約八割、四十代から六十九才では約九割いる。この多くの女性達の気持ちをどう考えるか。

八 子育てに専念したい女性を支援することを政治のつとめと考えないのか。在宅勤務や短時間勤務、育児休業取得の支援をもっとすべきではないか。

九 三つ子の魂百までと言われる愛着の形成には、家庭育児が大切なことが最近の脳科学でもわかりはじめているが、どう考えるか。

十 本案六十一頁に「性的指向を理由とする差別や偏見の解消を目指して、啓発活動や相談、調査救済活動に取り組む」と記載されているが、具体的にどのようなことを行うのか。また、本年七月二十三日の「基本的な考え方」にはなかった本文章をあえて付け加えた理由を示されたい。

十一 本案六十一頁に「性的指向(異性愛、同性愛、両性愛)」と記載されているが、答弁書では、「「性的指向」の内容を明確にする観点から、その態様の一つとして記述したものであり、「異性愛を理由として困難な状況に置かれている場合」を具体的に想定して記述したものではない」と答弁しているにもかかわらず、異性愛を性的指向と表現したのは何故か。

十二 本案八十二頁に「人工妊娠中絶・生殖補助医療に関する法制度等の在り方について、多様な国民の意見を踏まえ、検討が行われる必要があり」と記載されているが、国内法に反して中絶する自由を認めないという現行法をあえて変更する方向へ検討を進めるのは何故か。

十三 「リプロダクティブ・ヘルス/ライツ」(本案七十七頁)は中絶の権利を含むものとして、第二次男女共同参画基本計画には記されていない。「ライツ」をあえて書き記した理由を示されたい。

  右質問する。