質問主意書

第176回国会(臨時会)

質問主意書


質問第一四二号

有人及び無人ヘリコプターによる農薬等の空中散布に関する質問主意書

右の質問主意書を国会法第七十四条によって提出する。

  平成二十二年十一月三十日

加藤 修一   


       参議院議長 西岡 武夫 殿



   有人及び無人ヘリコプターによる農薬等の空中散布に関する質問主意書

 二十一の関係企業団体が加盟する(社)農林水産航空協会の会員が、有人及び無人ヘリコプターによる農薬等の空中散布を行っている。
 今や農業従事者の高齢化に伴い、農薬の空中散布は全国的に行われており、有人及び無人ヘリコプターによる空中散布が増えているのが現状である。
 ところで、有人ヘリコプターによる空中散布については平成十三年の「次官通知」及び平成十五年の「省令」、平成十六年の「ガイドライン」がある。
 一方、無人ヘリコプターによる空中散布に当たっては、(社)農林水産航空協会がラジコン操縦者の講習と免許の交付、空中散布等に際しての遵守事項の徹底を図っていると聞くが、その運用に関しては、平成三年四月二十二日付の農蚕園芸局長通知「無人ヘリコプター利用技術指導指針」(最終改正:平成二十年七月十五日)があるのみである。
 また、安全性を担保するための規制監督をする「業法」は、有人及び無人ヘリコプターともに存在していないのが現状で、被害に対する対応や遵守規定違反行為の規制ができない。
 そこで、以下質問する。

一 有人及び無人ヘリコプターによる空中散布の際の事故等の報告について

 聞くところによれば、平成二十二年八月一日に、茨城県において、無人ヘリコプターが電柱ワイヤーに接触し、工場の屋根に墜落して火災が発生したという。
 農林水産省は、有人及び無人ヘリコプターによる農薬散布等に伴う、農薬の「人への暴露」を含む事故の報告をどのように収集し、過去五年間で何件報告されているのか、明らかにされたい。
 また、事故による有人ヘリコプター操縦者及びラジコン操縦者の免許の取り消し事例は過去何件あるのか、示されたい。

二 農薬の空中散布に対する安全策の強化と遵守事項の徹底について

 「無人ヘリコプター利用技術指導指針」では、空中散布を実施するに当たって遵守する事項として、「人」及び「空中散布対象以外の農作物」への安全性の確保が謳われているが、農薬散布後、隣接する畑などに害虫が逃げ込むため、農産物が全滅したなどの事例があると聞く。
 そこで、安全性の確保と隣接農地への被害を防止し、さらに、隣接農地における農産物などの残留農薬基準(ポジティブリスト)に対応するため、農薬の空中散布の際の「ガイドライン」の策定などの対策を講ずるとともに、遵守事項の徹底を図るべきと考えるが、政府の見解を示されたい。

三 安全性を担保するための法制化について

 有人及び無人ヘリコプターによる空中散布に使用する農薬の濃度は、地上散布の農薬の十倍から百倍であると聞く。
 農薬の空中散布後に小児等の患者が増えるという話を群馬県の小児科医から聞いたが、農薬等の化学物質による小児や高齢者への影響が懸念されている現在、農林水産省は、農薬の「人への暴露」を含む暴露事故の報告を収集するとともに、「人」及び「空中散布対象以外の農作物や家畜動物など」への安全性を担保するため、「業法」などの法制化に早急に取り組むべきと考えるが、政府の見解を示されたい。

四 (社)農林水産航空協会の組織について

 関係省庁と公益法人の緊張関係が求められる昨今、(社)農林水産航空協会の役員における関係省庁出身者の有無について示されたい。

  右質問する。