質問主意書

第176回国会(臨時会)

質問主意書


質問第一二三号

朝鮮学校への高校授業料無償化適用に関する質問主意書

右の質問主意書を国会法第七十四条によって提出する。

  平成二十二年十一月二十六日

山谷 えり子   


       参議院議長 西岡 武夫 殿



   朝鮮学校への高校授業料無償化適用に関する質問主意書

 平成二十二年十一月二十四日、文部科学省は、北朝鮮による韓国延坪島砲撃を理由として、朝鮮学校への高校授業料無償化適用手続きを当面停止する方針を決定した。
 朝鮮学校への高校授業料無償化適用については、拉致問題未解決の現状や、わが国の教育基本法の理念から大きく外れた思想教育や反日教育が行われている実態があるにもかかわらず、教育内容を不問とし、また、朝鮮学校と朝鮮総連との関係について、本年十一月十七日の参議院予算委員会で公安調査庁長官が「朝鮮総連は、朝鮮高級学校などの朝鮮人学校での民族教育を愛族愛国運動の生命線と位置付け、北朝鮮、朝鮮総連に貢献し得る人材の育成に励んでいるというところでございます。そして、朝鮮総連の影響は、朝鮮人学校の教育内容、人事、財政に及んでいると、このように承知しております。」、「朝鮮人学校におきます教科書を見てみますと、朝鮮総連の傘下事業体であります学友書房が作成した教科書を用いて、北朝鮮の発展ぶりあるいは金正日総書記の実績を称賛する内容が含まれていると、このように承知いたしております」と答弁しているにもかかわらず、政府の強硬な方針で進められてきた事項である。
 今回の砲撃事件を機に、一転して、手続き停止とした理由につき、高木文部科学大臣は「平和の根底を揺るがす問題」と述べている。
 そこで、次のとおり質問する。

一 北朝鮮による日本人拉致事件は、許し難いわが国の主権侵害、また、国民の生命を脅かす人権問題であると考えるが、現内閣においては「平和の根底を揺るがす問題」にはあたらないということなのか。政府の見解を示されたい。

二 北朝鮮は、平成十八年に日本海にむけミサイルを発射し、同年十月には核実験をするなど、これまでも世界平和・協調とはかけ離れた国である。日本政府が、今回の砲撃事件を発端として初めて「世界の平和を脅かす行為」と非難し、手続き停止を決定したことについては、対応や判断の遅れがあったと指摘せざるを得ない。この点についてどのように考えるか。

三 なぜ、即刻「中止」という判断ではなく、手続き「停止」なのか。

四 今後、どのような状況変化があった場合、手続き「停止」決定を撤回するのか。

五 本年十一月二十五日、参議院予算委員会において菅総理大臣は、手続き停止の撤回について「今後の推移を見守りながら」としか答弁していない。基準を示せない、すべて場当たりの政治を恥と思わないのか。

  右質問する。