質問主意書

第176回国会(臨時会)

質問主意書


質問第一一九号

朝鮮学校に関する質問主意書

右の質問主意書を国会法第七十四条によって提出する。

  平成二十二年十一月二十二日

義家 弘介   


       参議院議長 西岡 武夫 殿



   朝鮮学校に関する質問主意書

 公安調査庁は、「内外情勢の回顧と展望(平成二十二年一月)」のなかで、「朝鮮人学校の思想教育について」と題し、以下のように記述している。「朝鮮総聯は、朝鮮人学校での民族教育を「愛族愛国運動」の生命線と位置付けており、学年に応じた授業や課外活動を通して、北朝鮮・朝鮮総聯に貢献し得る人材の育成に取り組んでいる。」「朝鮮人学校では、一律に朝鮮総聯傘下事業体「学友書房」が作成した教科書を用いた朝鮮語での授業を行っている。例えば、高級部生徒用教科書「現代朝鮮歴史」では、北朝鮮の発展ぶりや金正日総書記の「先軍政治」の実績を称賛しているほか、朝鮮総聯の活動成果などを詳しく紹介している。」「朝鮮総聯は、このほか、教職員や初級部四年生以上の生徒をそれぞれ朝鮮総聯の傘下団体である在日本朝鮮人教職員同盟(教職同)や在日本朝鮮青年同盟(朝青)に所属させ、折に触れ金総書記の「偉大性」を紹介する課外活動を行うなどの思想教育を行っている。」
 また、平成二十二年九月八日の衆議院文部科学委員会及び同年十月二十一日、十一月十一日の参議院文教科学委員会でも、公安調査庁次長が、朝鮮学校の思想教育及び朝鮮総連との関係についての質問に対して、答弁している。計三回の答弁は、ほぼ同様の内容であり、直近の十一月十一日の参議院文教科学委員会における公安調査庁次長の答弁は、以下のとおりである。「お答え申し上げます。朝鮮総連と朝鮮人学校との関係についてでございますけれども、朝鮮総連は朝鮮高級学校などの朝鮮人学校での民族教育を愛族愛国運動の生命線と位置付けております。北朝鮮、朝鮮総連に貢献し得る人材の育成に取り組んでいるものと承知しておりまして、その影響は朝鮮人学校の教育内容、人事、財政に及んでおります。教育内容につきましては、朝鮮人学校では朝鮮総連の傘下事業体であります学友書房が作成した教科書を使用いたしまして、北朝鮮の発展ぶりでございますとか金正日総書記の実績を称賛する思想教育を行っております。」
 そこで、次の事項について質問する。

一 政府の正式な機関である公安調査庁による「内外情勢の回顧と展望(平成二十二年一月)」における記述が、政府の朝鮮学校に対する現在の公式見解であると考えるが、どうか。

二 十一月十一日の参議院文教科学委員会において公安調査庁次長は、「朝鮮総連(中略)の影響は朝鮮人学校の教育内容、人事、財政に及んでおります」と答弁した。これは「内外情勢の回顧と展望(平成二十二年一月)」では記述されていない事実である。この事実も政府の公式見解であると考えるが、どうか。

三 一あるいは二が政府の公式見解ではないとの答弁の場合、朝鮮学校の思想教育及び朝鮮総連との関係について、政府の公式見解を示されたい。

  右質問する。