質問主意書

第176回国会(臨時会)

質問主意書


質問第一〇七号

労働保険特別会計に関する事業仕分けに関する質問主意書

右の質問主意書を国会法第七十四条によって提出する。

  平成二十二年十一月十六日

山本 博司   


       参議院議長 西岡 武夫 殿



   労働保険特別会計に関する事業仕分けに関する質問主意書

 政府の行政刷新会議での事業仕分け第三弾において、労働保険特別会計が取り上げられ、ジョブカード制度普及促進事業、労災保険の社会復帰促進等事業など五事業が「廃止」とされた。雇用情勢が厳しい中で、十分な議論もなく、廃止とされた事業について、労働界や経済界などから批判の声があがっている。政府は一方で、「新成長戦略実現に向けた三段構えの経済対策」として「雇用」を基軸とした経済成長の実現を打ち出しているが、まったく戦略もなく、方向性もない、場当たり的な対策と言わざるを得ない。
 そこで、以下質問する。

一 本年六月に政府が発表した新成長戦略では二〇二〇年までに取得者を三百万人にするとの目標を掲げたジョブカードについて、事業仕分け第三弾では廃止とされた。五か月前に政権で推進すべく掲げた政策を廃止するということは、ちぐはぐで政策に一貫性がない対応と考えるが、ジョブカード制度に対する政府の方針を明らかにされたい。

二 労災保険の社会復帰促進等事業は、被災労働者の方の円滑な社会復帰の促進と被災労働者やその遺族の方の援護を図るための事業である。同事業に含まれる、義肢・車いす等の費用の支給などの社会復帰促進事業、就学等の援護費支給などの被災労働者等援護事業、アスベストやメンタルヘルス対策等の安全衛生確保等事業について、なぜ事業仕分け第三弾では廃止と結論づけたのか。理由を明らかにされたい。また、社会復帰促進等事業は、八百十八億円の事業規模であるが、特別会計を廃止し、一般会計に移管して同事業が継続できると考えているのか。政府の見解を示されたい。

三 社会復帰促進等事業の必要性についてどのような認識を持っているのか。また、廃止することでどのような影響が起こりうると考えているのか。政府の見解を示されたい。

四 「雇用調整助成金以外の必要性の低い雇用保険二事業は、特別会計の事業としては行わない」との事業仕分け第三段の結論が出たが、雇用調整助成金を除く雇用保険二事業(雇用安定事業・能力開発事業)は、平成二十二年度予算でも約四千三百九十億円が計上されている。また、平成二十三年度予算概算要求でも「厳しい経済環境下における雇用・生活安定の確保」(厚生労働省職業安定局)のための予算として、多くの事業が特別会計の中に組み込まれている。これは事業仕分け第三弾の結論と、大変矛盾していると考えるが、平成二十三年度に予定している雇用保険二事業を活用した事業数・当該事業の概算要求額はいくらなのか、明らかにされたい。

五 雇用保険二事業の必要性についてどのような認識を持っているのか。もし、一般会計の限られた予算の中で当該事業を行うとすれば、財源の確保をどのように行うつもりか。政府の見解を示されたい。

六 事業仕分け第一弾では、「フリーター等正規雇用化支援事業」、「若年者等試行雇用奨励金」など三事業については、「一般会計から特別会計に移管して実施」との結論であったが、事業仕分け第三弾では、「雇用保険二事業は特別会計の事業として行わず一般会計とするべき」と逆の判断をしていることは、まったく政策の一貫性がない結論と考えるが、政府の見解を示されたい。

七 事業仕分けの結論をどのように今後の予算に反映させるつもりか、政府の方針を示されたい。また、平成二十二年十一月十五日から行われている事業仕分け第三弾後半において、これまでの事業仕分けの結論が、平成二十三年度予算概算要求に反映されているかどうか再仕分けを行うとのことであるが、事業仕分けの結論が予算に影響を及ぼすことが可能となる法的根拠はなにか。

八 労働保険特別会計の事業を廃止するのであれば、法改正を伴う可能性もあると考えるが、改正法案の提出をいつ頃行うつもりか。

九 事業仕分け第一弾において、「若者自立塾」事業は廃止との結論が出されたが、現在この事業はどのようになっているのか。合宿型の若者自立支援は大変に有効な事業であり、国の施策として取り組むべきと考えるが、政府の見解を示されたい。

十 事業仕分けにおいて廃止とされた事業が別事業として復活していれば、透明性の確保という点から問題があると考えるが、これまでに実施した事業仕分けについて、事業仕分け第三弾後半の再仕分けによる検証の結果、もし各省庁が事業仕分けの結論に従わず別事業として復活させていた場合、当該省庁に対して何らかの処分が行われるのか。政府の見解を示されたい。

  右質問する。