質問主意書

第176回国会(臨時会)

質問主意書


質問第一〇一号

民主党菅政権の人口関係国際機関等への拠出についての言行不一致に関する質問主意書

右の質問主意書を国会法第七十四条によって提出する。

  平成二十二年十一月十一日

島尻 安伊子   


       参議院議長 西岡 武夫 殿



   民主党菅政権の人口関係国際機関等への拠出についての言行不一致に関する質問主意書

 本年九月に国連本部で開催されたMDGs国連首脳会合において菅総理大臣は、「日本は、保健関連MDGsの達成に貢献するため、保健分野において二〇一一年から五年間で五〇億ドルを支援します。」、「私は、MDGsの中でも、現在、特に進捗が遅れている、母子保健を含む保健と、基礎教育を始めとした教育に関し、具体的な「約束」を表明します。この両分野に対する「菅コミットメント」です。」と世界に向けて公言した。
 しかし現実はどうかというと、人口関係国際機関等(国際連合人口基金(UNFPA)及び国際家族計画連盟(IPPF))に対する我が国の本年度拠出額は、前年度比マイナス二三・二一%と大幅な削減が行われた。これは、同じように任意拠出金であるその他の国連機関等に対する拠出額の総計が前年度比八%程度の削減にとどまっている中で、突出した削減率となっている。
 人口関係国際機関等の他に、人間の安全保障基金(HSF)、CGIAR、国際赤十字社に対する拠出額も、軒並み前年度比二〇%以上削減されている。このうち、農業の研究機関であるCGIARを除き、民主党政権が重視しているはずの「人の命や健康」に直接かかわる分野であるが、その拠出額は、大幅に削減されている。
 さらに平成二三年度予算に関しても、外務省の概算要求によると、人口関係国際機関等に対する拠出額は前年度比二・七%の削減となっており、昨年度からの削減を通算すると、平成二三年度予算概算要求額は平成二一年度予算比で二五%強の急激な削減となっている。
 人口分野の最大のNGOであるIPPFだけを見ても、昨年度及び本年度の削減によって二〇〇〇年比で約一〇〇〇万件の家族計画を含む人口関連のプログラムが実施できなくなると推計される等、日本からの人口分野への拠出額の削減は、将来への負債を作り出すことになり、世界に非常に大きな影響を与えている。
 先日来日したIPPFのジル・グリア事務局長もこれらに対し、大変強い懸念を示された。
 そこで、以下のとおり質問する。

一 民主党政権において標榜されている政治主導の中で、人道分野である人口関係国際機関等への拠出が大幅削減されることになった経緯及びその政治的理由如何。

二 人口関係国際機関等への拠出の大幅削減は、「菅コミットメント」の内容と大きく矛盾し、日本は公約を守らない国、言行不一致の国であるとの印象を国際社会に与えてしまうことになる。政府の見解を問う。

三 人口問題への対処は、地球規模での環境問題や気候変動への根本的な対処の一つであり、人類が生存していくために必要な環境の負荷を下げ、持続可能な開発を実現するために最も基礎となるものである。これらの観点から、日本が国際的な影響力を持っている人口分野で引き続き指導的な役割を果たし続けるためにも、人口関係国際機関等への拠出を拡大すべきであると考えるが、政府の見解を問う。

  右質問する。