質問主意書

第176回国会(臨時会)

質問主意書


質問第九一号

尖閣諸島の領有に関する質問主意書

右の質問主意書を国会法第七十四条によって提出する。

  平成二十二年十一月十日

有村 治子   


       参議院議長 西岡 武夫 殿



   尖閣諸島の領有に関する質問主意書

 尖閣諸島の領有に関して、以下のとおり質問する。

一 尖閣諸島のうち民間人が所有する四島(魚釣島・北小島・南小島・久場島)(以下単に「四島」という。)について、政府が賃借するに至った経緯、及び現在までに政府が支出した、年毎の賃借料について示されたい。また、四島の国有地化に関して、これまで所有者から政府に対して買い上げの打診があったかどうかと、四島の国有地化に対する政府の見解について明らかにされたい。

二 従来、政府は、四島を所有する「民間人の意向」を踏まえ、原則として日本国民に尖閣諸島への上陸を認めてこなかった。所有者が当該意向を示したとされる交渉の具体的内容を含めて、日本国民の尖閣諸島への上陸を禁止するに至った経緯、及び尖閣諸島への上陸についての今後の方針を示されたい。また、尖閣諸島のうち国有地である大正島への日本国民の上陸について、政府の見解を示されたい。

三 尖閣諸島の実効支配を強化するため、政府の今後の中長期における具体的な方策について示されたい。

四 平成二十二年九月七日に発生した尖閣諸島周辺領海内における我が国海上保安庁巡視船と中国漁船との接触及び当該漁船の船長逮捕について、自由民主党は我が国の主権に関わる重大な事案だと認識している。政府はこの事案を公務執行妨害として処理したが、我が国の主権に関わる問題であるという認識を有していないのか。

五 四に記した事案の一部始終を海上保安庁が撮影したビデオ映像について、各種世論調査においては公開を求める国民の割合が六割~八割に達している。菅総理大臣は本年十月一日の参議院本会議において、「主体的な外交の展開」を主張し、我が国の平和と繁栄の確保のためには「国民一人一人が自分の問題としてとらえ、国民全体で考える主体的で能動的な外交を展開していかなくてはなりません」と所信を表明している。日本国民が有する「知る権利」にかんがみ、国民一人一人が本事案を自らの問題としてとらえるため、また、国内世論はもとより国際社会に向けて我が国海上保安庁の対応の正当性を明らかにするためにも、当該ビデオ映像の公開は主権者・納税者たる国民に対する当然の説明責任と考えるが、政府の見解を示されたい。さらに、政府は、「今後の日中関係」に配慮してビデオ映像を公開していないとの報道もなされているが、菅総理大臣は、国家の主権を堅持し、我が国固有の領土を護り、国民の安全確保に尽くす日本政府の最高責任者・国権の最高機関の議会人として、これらに勝る国益のためにビデオを公開しないと主張するのであれば、その国益の内容について明示されたい。

六 本年十月二十九日の衆議院文部科学委員会において、高木義明文部科学大臣は、尖閣諸島が我が国固有の領土であることを教科書に明記する旨、答弁した。いかにしてこの点を教科書記述に反映させていくのか、今後の展望と具体的な日程について示されたい。また、教科書には、国連アジア極東経済委員会が尖閣諸島周辺海域における埋蔵天然資源の存在を指摘する(昭和四十三年・海底資源調査報告書)まで、中国が尖閣諸島の領有権を主張してこなかった歴史的事実も掲載すべきであると考えるが、このことについての賛否を含めて、政府の見解を示されたい。

  右質問する。