質問主意書

第176回国会(臨時会)

質問主意書


質問第七二号

子ども手当からの学校給食費差引きに関する質問主意書

右の質問主意書を国会法第七十四条によって提出する。

  平成二十二年十一月二日

竹谷 とし子   


       参議院議長 西岡 武夫 殿



   子ども手当からの学校給食費差引きに関する質問主意書

 今年度、子ども手当として、中学校修了までの子どもを養育する者に対し、子ども一人につき月額一万三千円が支給されている。
 この子ども手当支給の趣旨は、平成二十二年度における子ども手当の支給に関する法律(平成二十二年法律第十九号。以下「子ども手当法」という。)第一条に「次代の社会を担う子どもの健やかな育ちを支援するため」と明記されている。また、その支給が養育者に対しなされるため、受給者の責務について子ども手当法第二条は「子ども手当の支給を受けた者は、前条の支給の趣旨にかんがみ、これをその趣旨に従って用いなければならない」と定めており、子ども手当が「子どものため」に使われるべきものであることは明確である。
 一方で、近年、学校における給食費未納が大きな問題になっている。文部科学省の平成十八年の調査では、全国の小中学校の四割を超える四十三・六パーセントの学校で未納のケースが確認され、その未納総額は約二十二億三千万円にも達した。
 給食費未納は、その理由が経済的理由であれば他に解決方法もあるが、経済的には支払うことが可能であるにもかかわらず、意図的に「払わない」家庭が増大していることが状況を深刻にしている。そのため、給食費の徴収・督促を担当する教職員は、深夜休日にまで及ぶ過重な業務となり、本来の仕事に大きな支障をもたらしている。また、子どもや保護者間のモラルハザードを助長し、それが増大することや、学校給食は原則として給食費で食材が購入されていることから、未納金が増加することによって給食の質の低下も懸念されている。さらに、親に給食費を払ってもらえない子どもへの心理的影響も少なくないものと考える。
 以上のような状況を踏まえ、本年、子ども手当法の国会審議に際し、「給食費未納の場合には相殺してはどうか」、「給食費を差し引いて支給してはどうか」など様々な議論があったものと理解している。
 昨今の急激な円高、デフレのため、雇用、経済情勢が深刻化しており、給食費未納が増える可能性が指摘されている。しかし、今年度、子ども手当の支給額は従来の児童手当の支給額よりも多く、子ども手当がその趣旨に沿って使われるならば、給食費未納は解決できるはずである。
 そこで、以下のとおり質問する。

一 現在、文部科学省は、平成二十一年度における学校給食費の徴収状況に関する抽出調査を実施しているが、その結果が未だ発表されていない。各都道府県からは本年八月十三日までに文部科学省に報告されることになっており、それから既に二か月以上が経過している。まず、早急にこの調査結果を公表すべきと考えるが、公表の時期を明らかにされたい。

二 一の調査は、給食費未納問題の実態を調査した上で、必要な措置を講ずるためになされているものと理解しているが、調査の結果、給食費を差し引いて子ども手当を支給することを検討若しくは検討するよう関係機関に要請する考えがあるか、政府の見解を示されたい。

三 二のような考えがある場合、どのような調査結果が出たときに給食費の差引きを検討すべき状況と判断するか、政府の見解を示されたい。

四 教職員が子どもたちに向き合う時間をより多く確保できるようにするために、また、親に給食費を払ってもらえない子どもをなくすために、来年度から給食費を差し引いて子ども手当を支給することを可能とする、若しくは、給食費を差し引いて子ども手当を支給する制度に改めるべきと考えるが、政府の見解を示されたい。

  右質問する。