第176回国会(臨時会)
質問第六一号 法務省による東京拘置所の刑場公開に関する質問主意書 右の質問主意書を国会法第七十四条によって提出する。 平成二十二年十月二十五日 福島 みずほ
参議院議長 西岡 武夫 殿 法務省による東京拘置所の刑場公開に関する質問主意書 法務省は本年八月二十七日、東京拘置所の刑場を報道関係者に公開した。これにより、同刑場の構造等が初めて公式に明らかとなった。そこで、今回の公開により生じた疑義及び公開の対象とならなかった事項につき、以下質問する。 一 公開された刑場は、明治六年太政官布告第六十五号(以下「布告六十五号」という。)で示された絞架全図等と比較して、形状・寸法等が明らかに異なっていた。この認識は正しいか。 二 布告六十五号で示された絞架全図によれば、踏み板から地面までの高さは九尺(約二・七メートル)である。一方、公開された刑場の踏み板から下の階の床までの高さは、報道された写真を見る限り、四メートル前後あると見受けられた。公開された刑場における正確な高さは何メートルか。 三 布告六十五号によれば、絞首された者は「囚身地ヲ離ル凡一尺空ニ懸ル」と規定されている。つまり、死刑囚を地上約三十センチメートルの高さまで落下させて宙づりにする。現在の各刑場での死刑執行においても、布告六十五号と同様の運用を行っているのか。 四 現在の各刑場での死刑執行において、布告六十五号どおりの運用が行われていないとすれば、運用が変更された時期ごとに、その変更の時期及び内容並びに変更の理由を説明されたい。 五 海外においては絞首刑を執行するにあたって、死刑を執行される者の体重等に応じて絞縄の長さを調整し、同人を落下させる距離を変更している。これは、落下距離が短いと同人が意識を保ったまま窒息し、死亡までの時間が長くなる可能性があり、逆に落下距離が長いと落下の衝撃で同人の首が切断される可能性があるためと承知している。わが国の死刑執行においても同様の運用が行われているか。 六 わが国において五で示したような運用が行われているとすれば、具体的にどのように行われているか。その際、死刑囚の体重とそれに見合った落下距離を算出する表を使用しているか。使用しているならば、それはどのようなものか示されたい。また、そのような運用はいつから行われているか。何らかのきっかけがあったのであれば、それも示されたい。 七 今回の刑場公開にあたって、絞縄は公開されなかった。東京拘置所で使用される絞縄の形状は、布告六十五号で定められたものと異なる点はあるか。あるとすれば、それら異なる点について、それぞれ詳細に説明されたい。 八 今後、死刑制度に関する国民的議論を喚起していくために、柳田法務大臣のもとにどのような勉強会を設置し、どのようなメンバーで行っていくのか示されたい。また、東京拘置所以外の拘置所の刑場公開を行っていくのかなど、今後の方針あるいは具体的な計画を示されたい。 右質問する。 |