質問主意書

第176回国会(臨時会)

質問主意書


質問第五四号

永住外国人への地方参政権付与に関する質問主意書

右の質問主意書を国会法第七十四条によって提出する。

  平成二十二年十月二十一日

上野 通子   


       参議院議長 西岡 武夫 殿



   永住外国人への地方参政権付与に関する質問主意書

 永住外国人への地方参政権付与に関して、以下のとおり質問する。

一 「外国人に参政権を付与することは憲法違反であると考えるが、憲法第十五条第一項及び第九十三条第二項の規定の政府解釈を示されたい」と質した山谷えり子参議院議員の質問主意書(第一七四回国会質問第七七号)に対し、政府は鳩山由紀夫首相(当時)の下で、答弁書(内閣参質一七四第七七号)を閣議決定している。同答弁書では、最高裁判所平成七年二月二十八日判決を引用し、「憲法一五条一項にいう公務員を選定罷免する権利の保障が我が国に在留する外国人に対しても及ぶものと解すべきか否かについて考えると、憲法の右規定は、国民主権の原理に基づき、公務員の終局的任免権が国民に存することを表明したものにほかならないところ、主権が「日本国民」に存するものとする憲法前文及び一条の規定に照らせば、憲法の国民主権の原理における国民とは、日本国民すなわち我が国の国籍を有する者を意味することは明らかである。そうとすれば、公務員を選定罷免する権利を保障した憲法一五条一項の規定は、権利の性質上日本国民のみをその対象とし、右規定による権利の保障は、我が国に在留する外国人には及ばないものと解するのが相当である。そして、地方自治について定める憲法第八章は、九三条二項において、地方公共団体の長、その議会の議員及び法律の定めるその他の吏員は、その地方公共団体の住民が直接これを選挙するものと規定しているのであるが、前記の国民主権の原理及びこれに基づく憲法一五条一項の規定の趣旨に鑑み、地方公共団体が我が国の統治機構の不可欠の要素を成すものであることをも併せ考えると、憲法九三条二項にいう「住民」とは、地方公共団体の区域内に住所を有する日本国民を意味するものと解するのが相当であり、右規定は、我が国に在留する外国人に対して、地方公共団体の長、その議会の議員等の選挙の権利を保障したものということはできない」と判示されているとしたうえで、「政府も同様に考えているところである」としている。菅直人首相率いる現内閣も、前記最高裁判決について同様に考えるのか。

二 在日韓国人二世の方々が日本での選挙権を求めた裁判で、前記最高裁判決は第二段落のいわゆる傍論部分において、立法で一定の永住外国人に地方参政権を付与することは憲法上禁止しないと判示している。この点について、政府も同様に考えているのか。それとも、違う見解を有しているのか。

三 民主党は「政策集インデックス二〇〇九」において、「民主党は結党時の「基本政策」に「定住外国人の地方参政権などを早期に実現する」と掲げており、この方針は今後とも引き続き維持していきます」と明記している。この方針は、一の政府答弁と矛盾していると考えるが、政府の見解を明らかにされたい。

  右質問する。