質問主意書

第176回国会(臨時会)

質問主意書


質問第四三号

尖閣諸島に関する質問主意書

右の質問主意書を国会法第七十四条によって提出する。

  平成二十二年十月十八日

山谷 えり子   


       参議院議長 西岡 武夫 殿



   尖閣諸島に関する質問主意書

 平成二十二年九月七日午前に尖閣諸島の久場島沖の日本領海内において、違法操業をしていた中国漁船が、停船を命じた第十一管区海上保安本部の巡視船に故意に衝突し、海上保安官の職務を妨害するという事態が発生した(以下「本事案」という。)。
 四方を海に囲まれた海洋国家である日本にとって、領土領海の保全は、国民、国益を守るために重要なつとめであると考える。
 そこで以下のとおり質問する。

一 海上保安庁が本事案の状況を撮影したビデオテープがいまだ公開されないことについて、政府の見解を示されたい。

二 本事案発生の際、巡視船が中国漁船を追尾した時間はどのくらいか。

三 本事案では、中国漁船は何回、巡視船に衝突したのか。また、その初回衝突時の中国漁船の航海速度はどのくらいであったか。

四 衝突された巡視船「みずき」の破損個所と損傷の程度などを具体的に示されたい。また、巡視船の修理にはいくらかかるのか。さらに、中国への修理費用請求についてはその後、どのような交渉を行っているのか。

五 法務省は、中国漁船が巡視船に故意に衝突したことは、証拠上明白であると説明しているにもかかわらず、①巡視船の損傷は直ちに航行に支障を生じる程度のものではない、②巡視船の乗組員が負傷するなどの被害の発生はない、③計画性等は認められない、④被疑者には我が国における前科等なし、⑤我が国国民への影響や今後の日中関係といった理由から、中国漁船の船長は処分保留の上、釈放となった。本来は、我が国国内法に基づき厳正に対処すべきところを、処分保留で釈放するということは、主権国家、法治国家として断じて許されるべきことではないと考えるが、政府の見解を示されたい。

六 政治主導を掲げている現政権下でおきた本事案であるにもかかわらず、船長釈放に至った経緯についてはいまだ政府から十分な説明はなく、また、船長釈放にかかる政治責任と説明責任をも検察当局に負わせようとしていることについて、政府の考えを示されたい。

七 本事案後も中国漁船が我が国領海内に何度も侵入しており、沖縄県の漁業者が安心して操業できないという極めて憂慮すべき事態となっている。沖縄県の漁業者は、安全のために尖閣諸島に避難港を作ってほしいと言っている。この要請に応えるべきと考えるが、政府の見解を示されたい。

八 尖閣諸島に自衛隊基地建設を検討すべきではないか。尖閣諸島の有効支配の強化について、政府の見解を示されたい。

九 本年八月以降、中国漁船が大挙して尖閣諸島に到来しているが、本事案発生日の九月七日以前に尖閣諸島沖での領海侵犯は何件あったか。また、海上保安庁の警備は、それらの領海侵犯に対応できたのか。さらに、海上保安庁によるこれまでの事情聴取の結果から、中国漁船が大挙して尖閣諸島沖に押し寄せたことについて、中国当局の関与があったと考えるか。

十 尖閣諸島の魚釣島にある灯台は日本青年社が建てたものだが、その所有権等の権利関係はどのようになっているか。また、同灯台のメンテナンス(ランプ交換や補修)をどの程度行い、それにかかる費用はどの程度なのか、明らかにされたい。

十一 最近、政府が尖閣諸島を調査したのはいつ頃か。また、島内の飲料水の有無などをはじめとした、居住に際しての条件整備の状況について示されたい。

十二 現在、総務省が尖閣諸島の地主に、毎年二千万円程度を地上使用料として支払っていると聞くが、今後、尖閣諸島の土地を政府として買い求める用意はあるのか。

十三 現在「特定離島」には、南鳥島、沖ノ鳥島の二島が指定されているが、今後、尖閣諸島についても特定離島に指定する考えはあるか。

十四 中国では、国内のメディアで、日本の海上保安庁の巡視船が中国漁船に衝突してきたと報じている。事実と真っ向から反するこの報道に対し、日本政府はどう抗議しているのか。

  右質問する。