質問主意書

第176回国会(臨時会)

質問主意書


質問第一三号

民主党政権による企業再生支援機構の不十分な活用状況に関する質問主意書

右の質問主意書を国会法第七十四条によって提出する。

  平成二十二年十月四日

浜田 昌良   


       参議院議長 西岡 武夫 殿



   民主党政権による企業再生支援機構の不十分な活用状況に関する質問主意書

 地域における総合的な経済力の向上を通じて地域経済の再建を図るため、平成二十一年十月に国の認可法人として株式会社企業再生支援機構(以下「機構」という。)が設立された。
 機構は、有用な経営資源を有しながら過大な債務を負っている中堅事業者、中小企業者その他の事業者の事業再生を支援することを目的に、設立から五年間で業務を完了するよう努める時限的な組織であり、原則として設立から二年以内に支援決定を行い、各案件についてそれぞれ支援決定から三年以内の支援完了を目指すこととしている。
 機構に対しては政府から百億円、金融機関から百一億円の出資がなされており、さらに現在の機構の事業資金は、市中から上限三兆円の政府保証付きの借入れにより調達することとなっている。政府保証については、平成二十一年度の上限一兆六千億円に比べほぼ倍増しており、全国規摸で中小企業者等の事業再生支援を行うにあたり、十分な資金を確保できたと言える。
 しかし、現在までに機構が支援決定を行った案件は、平成二十二年一月の株式会社日本航空、同年三月の株式会社ウィルコム及びセノー株式会社、同年七月の医療法人養生院、同年八月の医療法人社団全人会、同年九月の株式会社宮津製作所及び株式会社富士テクニカの七件、計三千五百四億円、つまり上限三兆円の政府保証のたった十二%の出資にとどまっている。
 また、機構が最初に支援を決定した案件である株式会社日本航空については、従業員数が四万人強、事業収益が約一兆九千億円の大企業であることから、株式会社企業再生支援機構法(以下「機構法」という。)が想定しなかった案件であり、今までの機構の出資及び債権買取りのほとんどすべて(それぞれ九十九・九%、九十九・二%)が、当該企業の救済に振り向けられている運用は、民主党政権の「御都合主義」そのものとの批判もある。
 そこで以下のとおり質問する。

一 株式会社日本航空のような大企業が機構を活用することについて、政府は国会における機構法案審査の中で、どのような説明を行ってきたのか明らかにされたい。

二 現在の厳しい財政状況の中で、機構の市中からの資金調達については、政府保証が前年度と比べほぼ倍増となっており、手厚い予算措置が講じられていると言える。しかし、これまでに機構が支援決定を行った案件は株式会社日本航空を除けば六件、計四億円の出資にとどまっている。円高・デフレが続く中、中堅事業者、中小企業者の再生のために全く活用されていないに等しい状況を政府はどう反省しているのか。

三 機構法案を審査した参議院経済産業委員会における附帯決議(平成二十一年六月十八日)には、機構が中小企業の積極的な再生支援に努めるよう、政府は適切な措置を講ずべきという趣旨の一項が盛り込まれているが、附帯決議の趣旨を尊重すべき政府は今後、機構が積極的な再生支援に努めるため、どのような措置を講じようと考えているのか、政府の見解如何。

  右質問する。