質問主意書

第175回国会(臨時会)

答弁書


答弁書第一号

内閣参質一七五第一号
  平成二十二年八月十日
内閣総理大臣 菅 直人   


       参議院議長 西岡 武夫 殿

参議院議員川田龍平君提出特定健康診査・特定保健指導制度の積極的な活用と医療費適正化計画の策定に関する質問に対し、別紙答弁書を送付する。



   参議院議員川田龍平君提出特定健康診査・特定保健指導制度の積極的な活用と医療費適正化計画の策定に関する質問に対する答弁書

一について

 お尋ねの医療費の適正化とは、生活習慣病対策による国民の健康の保持及び医療の効率的な提供の推進により、医療費の伸びの適正化を図ることを意味するものである。
 また、特定健康診査及び特定保健指導(以下「特定健康診査等」という。)については、これまでに蓄積された科学的知見に基づき策定された基準に基づき実施しているものであるが、御指摘のデータ解析の結果も含め、今後の科学的知見の蓄積を踏まえ、必要に応じ、その見直しについて検討を行ってまいりたい。

二について

 特定健康診査等については、生活習慣病を予防することを目的として、より効果的な医療費の適正化に資するよう、特定健康診査の結果に基づき受診者の階層化を行った上で、生活習慣病の発症リスクが高く、生活習慣の改善による生活習慣病の予防効果が期待できる者を選定して特定保健指導を実施しているところである。

三について

 特定健康診査等の導入による医療費への影響については、平成二十五年度から実施される医療費適正化計画の作成に係る分析を行う中で併せてその分析を行うこととしており、現時点においては把握していない。
 御指摘の「OECD Health Data」について、我が国が経済協力開発機構に対し提出しているデータは、二千七年のものが最新のものであり、二千八年四月より開始された特定健康診査等の費用に係るデータについては提出していないため、お尋ねの推計方法についてお答えすることは困難である。
 また、厚生労働省としては、保険者及び後期高齢者医療広域連合(以下「保険者等」という。)は、高齢者の医療の確保に関する法律(昭和五十七年法律第八十号)第十六条第二項の規定に基づき、厚生労働大臣に対し、医療費適正化計画の作成等に必要な情報を提供しなければならないこととされているところ、患者情報が匿名化された特定健康診査等の結果及び平成二十一年四月以降の電子レセプトに係る情報について、保険者等から提供を受けることにより、必要なデータの収集を行っているところである。

四について

 特定健康診査の受診率の保険者間の差異については、様々な要因が影響していると考えられるが、御指摘の点もその要因の一つであると考えられる。
 厚生労働省としては、市町村の国民健康保険の被保険者の特定健康診査の受診率向上を図るため、市町村に対し、特定健康診査と市町村が行うがん検診等他の検診を同時に実施するよう都道府県を通じて助言しているほか、特定健康診査を受診しやすいようその実施日時を工夫するなどの対策を行う市町村に対し、助成を行っているところである。

五について

 御指摘の「保健指導を専門とする企業」の意味するところが必ずしも明らかでないが、「特定健康審査・特定保健指導の円滑な実施に向けた手引き」に基づき社会保険診療報酬支払基金に届出を行っている特定保健指導実施機関は、平成二十二年六月末時点で二万三千百七十である。
 特定保健指導実施機関は、特定健康診査及び特定保健指導の実施に関する基準第十七条の規定に基づき厚生労働大臣が定める特定健康診査及び特定保健指導の実施に係る施設、運営、記録の保存等に関する基準(平成二十年厚生労働省告示第百四十二号)において、その運営についての重要事項を記した規程を幅広く周知することとされているところ、保険者が当該規程を参考とするなどして特定保健指導の実施を委託する機関を選定することが可能であり、このような仕組みを通じて、特定保健指導実施機関による保健指導の品質管理が行われているものと考える。

六について

 特定保健指導は、特定健康診査及び特定保健指導の実施に関する基準(平成十九年厚生労働省令第百五十七号)において、医師、保健師、管理栄養士又は食生活の改善指導若しくは運動指導に関する専門的知識及び技術を有すると認められる者として厚生労働大臣が定めるものが行うこととされており、必要に応じ、様々な職種が複合的に関与して、適切な特定保健指導が行われているものと考える。