質問主意書

第175回国会(臨時会)

質問主意書


質問第三二号

国歌『君が代』の歌詞の表記と所謂『五十音図』の「ゐ」と「ゑ」に関する質問主意書

右の質問主意書を国会法第七十四条によって提出する。

  平成二十二年八月六日

山谷 えり子   


       参議院議長 西岡 武夫 殿



   国歌『君が代』の歌詞の表記と所謂『五十音図』の「ゐ」と「ゑ」に関する質問主意書

一 国歌「君が代」の歌詞について

1 政府において法律を起案する場合には「現代仮名遣い」を用いているが、これは昭和六十一年七月一日内閣告示『現代仮名遣い』「前書き2」の「この仮名遣いは、法令、公用文書、新聞、雑誌、放送など、一般の社会生活において、現代の国語を書き表すための仮名遣いのよりどころを示すものである。」を適用したものか。他に適用される法令等(「申合せ」等も含む)があれば示されたい。
2 内閣告示『現代仮名遣い』「前書き4」の「この仮名遣いは、主として現代文のうち口語体のものに適用する。原文の仮名遣いによる必要のあるもの、固有名詞などでこれによりがたいものは除く。」と「前書き8」の「歴史的仮名遣いが、我が国の歴史や文化に深いかかわりをもつものとして、尊重されるべきことは言うまでもない。」を適用すれば、法律を起案、或は修正する場合に「現代仮名遣い」が適用されない場合、つまり所謂「歴史的仮名遣い」を適用することは可能か。所謂「歴史的仮名遣い」を適用することが不可能な場合は理由も添えて根拠法令等を示されたい。
3 議員において法律を起案、或は修正する場合に、内閣告示『現代仮名遣い』の「前書き4」及び「前書き8」の趣旨に鑑み、これを適用したいとして所謂「歴史的仮名遣い」を用いようとした場合、政府がこれを拒否することは可能か。可能である場合は理由も添えて根拠法令等を示されたい。
4 『国旗及び国歌に関する法律』(平成十一年八月十三日法律第百二十七号)の別記第二は国歌『君が代』の歌詞を、
 君が代は 千代に八千代に さざれ石の いわおとなりて こけのむすまで
としている。この歌詞は同法別記第二の「二 楽曲」欄に「古歌」とあるように和歌に由来するが、これは「現代文のうち口語体のもの」か。「現代文のうち口語体のもの」とも言い切れない場合、或は「原文の仮名遣いによる必要のあるもの」と議員が判断した場合、この別記第二の「一 歌詞」を内閣告示『現代仮名遣い』の「前書き4」及び「前書き8」の趣旨に鑑み、これを適用したいとして所謂「歴史的仮名遣い」、具体的には歌詞中の「いわお」を「いはほ」に修正することは可能か。不可能な場合は改めて理由も添えて根拠法令等を示されたい。

二 所謂『五十音図』の「ゐ」と「ゑ」について

1 小学校及び中学校の教科用図書における仮名遣いについては、義務教育諸学校教科用図書検定基準(平成二十一年文部科学省告示第三十三号)において、「現代口語文においては、『現代仮名遣い』(昭和六十一年内閣告示第一号)を用いること。ただし、近代詩歌などの原典をそのまま載せる必要がある場合には、この限りでないこと。」、「文語文においては、原則として歴史的仮名遣いを用いるものとし、必要に応じて、適切な配慮をすること。」とされており、小学校及び中学校の国語教育においては、歴史的仮名遣いを用いた題材が掲載された教科用図書を使用して指導が行われているとの現状の中で、小学校学習指導要領(平成二十年文部科学省告示第二十七号)において歴史的仮名遣い自体の指導、例えば「ゐ」や「ゑ」の学習について触れていないのは何故か。
2 「ゐ」と「ゑ」については、義務教育諸学校教科用図書検定基準で「必要に応じて、適切な配慮をすること。」との措置に止めることなく、『学習指導要領解説』等で、「歴史的仮名遣いの『ゐ』『ゑ』については、五十音図に記載するなど、児童の学習負担に配慮しつつ仮名の体系的指導に留意すること。」などと規定することは、『学習指導要領』の趣旨に反するか否か。趣旨に反する場合は理由を示されたい。
 また、趣旨に反しない場合は次回の『学習指導要領』改訂時に同趣旨の規定を加えることは検討に値するか。検討に値しない場合は理由を示されたい。
3 「歴史的仮名遣いの『ゐ』『ゑ』については、五十音図に記載するなど、児童の学習負担に配慮しつつ仮名の体系的指導に留意すること。」との規定を、次回の『学習指導要領』改訂時の『学習指導要領解説』に加えることが検討に値する場合、『学習指導要領』の次回改訂迄の時限的措置として、平成二十五年度にも実施が予定されるという次回の教科用図書検定の中に反映させることは可能か。不可能な場合は理由も添えて根拠法令等を示されたい。

  右質問する。