質問主意書

第175回国会(臨時会)

質問主意書


質問第一五号

内閣総理大臣による靖国神社参拝といわゆる「A級戦犯」に対する菅総理大臣の認識に関する質問主意書

右の質問主意書を国会法第七十四条によって提出する。

  平成二十二年八月三日

山谷 えり子   


       参議院議長 西岡 武夫 殿



   内閣総理大臣による靖国神社参拝といわゆる「A級戦犯」に対する菅総理大臣の認識に関する質問主意書

 菅総理大臣は本年六月十五日の参議院本会議で、自由民主党の佐藤正久議員の質問に対し「靖国神社は、A級戦犯が合祀されているといった問題などから、総理や閣僚が公式参拝することには問題があると考えておりまして、総理在任中に参拝するつもりはありません」と答弁した。
 そこで、以下のとおり質問する。

一 日本は、昭和二十七年四月二十八日サンフランシスコ平和条約の発効により独立を認められ、同年五月一日には法務総裁が、東京裁判での戦犯は「平和条約発効と共に撤回されたものとする」という主権回復した国家としての通達を出した。また、四千万とも言われる多くの国民の赦免署名が集まり、昭和二十八年八月三日「戦争犯罪による受刑者の赦免に関する決議」が衆議院本会議において全会一致で可決され、その後、遺族援護法や恩給法の改正案も与野党の賛成で可決された。国際的にはサンフランシスコ平和条約第十一条の約諾に基づき、関係十一か国の同意を得て、昭和三十一年いわゆる「A級戦犯」は赦免された。
 これらの事実が示すとおり、国内法上も国際条約上も日本において「戦犯」はおらず、先の答弁のような理由で靖国神社参拝を否定する菅総理大臣の姿勢は、法の正義と秩序に反する重大な問題ではないかと考えるが、総理の考えを示されたい。

二 日本が法治国家であり国際条約を遵守する国であるなら、本会議場で総理大臣として、今や法的に存在しない「A級戦犯」なる発言をすることは、正しい姿勢ではない。立法府とサンフランシスコ平和条約の約諾に基づく関係諸国政府の同意を無視する菅総理大臣の発言の意図を明らかにされたい。

  右質問する。