質問主意書

第175回国会(臨時会)

質問主意書


質問第一一号

日インド原子力協定に関する質問主意書

右の質問主意書を国会法第七十四条によって提出する。

  平成二十二年八月二日

浜田 昌良   


       参議院議長 西岡 武夫 殿



   日インド原子力協定に関する質問主意書

 菅内閣は本年六月二十八日、日インド原子力協定の締結交渉を開始した。核不拡散条約(以下「NPT」という。)に加入していないインドに原子力の技術協力等を行うことは、NPT体制の形骸化を招き、かつ我が国がそのことに加担することは、鳩山前総理大臣が「核なき世界」についての「被爆国としての道義的責任」を国連で明言したことを始めとする民主党政権の核軍縮外交のなし崩し的後退ではないかと国民は疑念を抱いている。そこで以下を質問する。

一 本年六月十日付けの朝日新聞では、日本メーカーと資本、技術提携している米、仏企業がインドで原子力発電所を建設する際、日本の技術や機器を用いられないと懸念しているため、米、仏両国が日本政府に対し、インドとの原子力協定締結を非公式に求めていると報道されているが、その事実関係如何。また、同記事では、我が国の企業である三菱重工業と提携している仏アレバ社の首脳が本年四月に経済産業省及び資源エネルギー庁を訪問したと報道されているが、その事実関係如何。その訪問の際、誰と誰が面会し、どのようなやり取りがあったのか、併せて具体的に明らかにされたい。

二 岡田外務大臣は原子力協定締結交渉の開始を発表した本年六月二十五日の記者会見で、インドが原子力供給国グループによるインド例外化の決定の際に行った約束に関し、「インドの約束を着実に行動に移していることを確認した上で、今回の決定になったわけであります」と語ったが、インドはどのような行動をとってきたのか。平成二十年九月の原子力供給国グループによるインド例外化の決定の際にインドが行った七項目の約束のそれぞれについて具体的に明らかにされたい。

三 インドや同国に原子力に関する技術協力をしようとしている米、仏両国にとって日本の技術が不可欠であるのであれば、これらの国々と外交交渉を行って、インドを核不拡散体制にさらに組み込むための追加的約束を、日インド原子力協定の条件とすべきであると考えるが、菅内閣の見解を明らかにされたい。そのような条件を付けなければ、「NPT体制のダブルスタンダード化」として北朝鮮やイランに核開発の「口実」を与えかねず、我が国自身がNPTのさらなる形骸化に加担したとして国内外からの批判が予想されるが、これに対してどのように説明するのか、併せて明らかにされたい。

四 原子力政策大綱(平成十七年十月十一日閣議決定)によれば、原子力協力は「国内外の理解を得ることが前提」とされているが、菅内閣は、「唯一の戦争被爆国」の日本がNPT枠外のインドと原子力協定を締結することについて現時点で国内外の理解が得られていると判断するのか。判断する具体的根拠とともに明らかにされたい。

  右質問する。