質問主意書

第175回国会(臨時会)

質問主意書


質問第八号

菅内閣による「天下り規制骨抜き」に関する質問主意書

右の質問主意書を国会法第七十四条によって提出する。

  平成二十二年七月三十日

浜田 昌良   


       参議院議長 西岡 武夫 殿



   菅内閣による「天下り規制骨抜き」に関する質問主意書

 菅内閣は本年六月二十二日、国家公務員の「退職管理基本方針」を閣議決定し、「「官を開く」との基本認識の下、中高年期の職員が公務部門で培ってきた専門的な知識・経験を民間等の他分野で活用するとともに、他分野での勤務を経験することにより公務員のコスト意識・現場感覚を高める観点から、任命権者が、官民の人事交流等の拡充を図るためにとるべき措置」の指針が定められた。これによれば、指定職俸給表の適用を受けるべき職員(いわゆる審議官以上の幹部クラス)を「官民交流」を名目に民間企業に現職出向させるという新たな天下りシステムが盛り込まれている。さらに、独立行政法人等の役員公募については、「各大臣等の任命権の下、職員が役員出向する場合」は例外扱いする旨が明記されており、退職前公務員の「お手盛り出向」及び退職金算定期間の延長に伴う公務員退職金費用の肥大が懸念される。
 さらに、同日付で総務大臣が決定した「人事管理運営方針」によれば、「民間との間の人事交流については、(中略)企業・府省間の交流希望情報の交換等を行う」とある。これは天下り規制を骨抜きにする規定である。自公政権時に役所が天下りを斡旋することは全面禁止された。しかし、この規定により、役所から企業に対して退職間際の幹部公務員の「現役出向」の打診が可能となり、退職後に引き続き雇用されることを禁止しなければ、天下りの「青田刈り」となることが懸念される。
 このような、菅内閣の「天下り規制骨抜き」に対し、国民は疑念を抱いている。そこで以下を質問する。

一 本年一月一日から八月二日までの間に行われた、指定職俸給表の適用を受ける職員の民間への人事交流の実績を、対前年及び対前々年との対比とともに省庁別に明らかにされたい。

二 本年一月一日から八月二日までの間に行われた、職員の独立行政法人等(特殊法人、認可法人、特別の法律により設立される民間法人等の法人、公益法人及び大学法人を含む。以下同じ。)への役員出向(大学法人への出向については教員としての出向を含む。以下同じ。)の実績を、対前年及び対前々年との対比とともに省庁別に明らかにされたい。

三 職員の独立行政法人等への役員出向の拡大による公務員退職金費用の肥大を回避するため、当該出向期間を退職金算定期間から除外する必要があると考えるが、菅内閣の見解を明らかにされたい。

四 民主党は「天下り根絶」を標榜していたのではないのか。菅内閣はなぜこのような「天下り規制骨抜き」を実施したのか。その理由を明らかにされたい。

五 公明党は国家公務員法改正案として、退職前の職務に関連した企業等への再就職の一定期間の禁止といういわゆる「事前規制」を提案している。前記のような官民交流を活発化させるに当たり、事前規制の復活が必要と考えるが、菅内閣の見解を明らかにされたい。

  右質問する。