質問主意書

第174回国会(常会)

答弁書


答弁書第一一二号

内閣参質一七四第一一二号
  平成二十二年六月二十九日
内閣総理大臣 菅 直人   


       参議院議長 江田 五月 殿

参議院議員紙智子君提出矢臼別演習場における米海兵隊実弾砲撃訓練に関する質問に対し、別紙答弁書を送付する。



   参議院議員紙智子君提出矢臼別演習場における米海兵隊実弾砲撃訓練に関する質問に対する答弁書

一について

 平成八年十二月二日に発表された「沖縄に関する特別行動委員会」の最終報告(以下「SACO最終報告」という。)を踏まえ沖縄県から本土に移転して行われている「県道一〇四号線越え実弾砲兵射撃訓練」に当たる訓練(以下「実弾射撃移転訓練」という。)については、平成八年八月二十九日に開催された、日本国とアメリカ合衆国との間の相互協力及び安全保障条約第六条に基づく施設及び区域並びに日本国における合衆国軍隊の地位に関する協定(昭和三十五年条約第七号)第二十五条1の規定に基づき設置された合同委員会(以下「日米合同委員会」という。)において合意された内容に基づき、実施しているところである。
 実弾射撃移転訓練の一部として行われている夜間射撃訓練については、「県道一〇四号線越え実弾砲兵射撃訓練」の一部として行われていた夜間射撃訓練と同様のものであり、日本国とアメリカ合衆国との間の相互協力及び安全保障条約(昭和三十五年条約第六号)の目的を達成するため、必要な訓練であると認識しているが、地元地方公共団体等からの要請を踏まえ、米軍に対して、夜間射撃訓練を必要最小限とするよう機会をとらえて要請するなどしてきたところである。

二の1、3及び6について

 平成二十二年五月から六月までの間に矢臼別演習場で行われた実弾射撃移転訓練(以下「今回の実弾射撃訓練」という。)に伴い発生した野火の発生場所及び焼失面積については、次のとおりである。
 平成二十二年五月二十九日に発生した野火 弾着区域内、約六ヘクタール
 平成二十二年五月三十一日に発生した野火 弾着区域内、約六ヘクタール
 平成二十二年六月五日の昼間に発生した野火 弾着区域内、約一・四ヘクタール
 平成二十二年六月五日の深夜に発生した野火 弾着区域外、約一ヘクタール
 平成二十二年六月八日に発生した野火 弾着区域外、約四十ヘクタール
 これらの野火に対しては、訓練部隊が編成した消火隊が対処したほか、米軍からの要請を受け、陸上自衛隊も消火に協力したが、実際に消火に要した時間については承知していない。また、これらの野火の発生原因については、現時点で、具体的な原因を特定できていないが、米軍においては、平成二十二年五月二十九日、同月三十一日及び同年六月五日の昼間に発生した野火を受けて、弾着区域内の目標設定区域を限定する措置を採るとともに、同日の深夜に発生した野火を受けて、照明弾の使用に際し、低高度でパラシュートが開くよう措置を採ったと承知している。
 また、平成二十二年六月七日十五時三十分頃の陸上自衛隊のヘリコプターによる散水活動は、演習場内で煙を確認した米軍からの要請を受け、野火の予防措置として行ったものである。
 なお、弾着区域外での着弾は確認されていない。

二の2について

 北海道防衛局現地対策本部においては、平成二十二年五月二十九日に発生した野火について、同日十三時十五分頃に米軍からの消火要請を受け、同日十三時三十分頃に別海町役場に情報提供を行ったところである。

二の4について

 御指摘のウェスター中佐の発言については承知していない。

二の5について

 政府としては、従来から、実弾射撃移転訓練に関し、安全対策には万全を期すよう米軍に申し入れるとともに、地元からの申入れの内容等を米軍に伝えているところであり、今回の実弾射撃訓練に伴う野火の発生を受け、更なる安全対策の徹底を申し入れたところである。

三の1について

 お尋ねについては、実弾射撃移転訓練に際し、米軍から、セキュリティ確保の観点及び米軍の運用により日程変更もあり得るとの理由から、部隊の展開・撤収に係る詳細な日程等は事前に公表しないよう要請があったことから、公表は差し控えているところである。

三の2について

 お尋ねの地元説明会は、米軍と調整の上、あらかじめ、開催日及び開催時間を関係地方公共団体等にお知らせし、さらに、質疑応答時間の関係で、すべての質問にお答えできないことがある旨を申し添えた上で実施したものであり、限られた時間の中で適切に対応したものと認識している。

三の3について

 今回の実弾射撃訓練に関して、北海道防衛局現地対策本部は、地元の方々の質問などについては、可能な範囲で情報を適宜提供しており、今後とも適切に対応してまいりたい。

四について

 お尋ねの検疫・防疫体制については、平成八年十二月二日に開催された日米合同委員会において承認された人、動物及び植物の検疫に関する合意に基づき適切に実施している。
 また、北海道に確認したところ、北海道を訪問する者に対する口蹄疫に関する対策としては、畜産農場へは必要がない限り立ち入らないこと及び各施設で行われている消毒への協力を要請しているが、道内の移動に関する制限はとられていないことから、今回の実弾射撃訓練の訓練部隊の釧路市への外出が問題であるとの御指摘は当たらないと考える。

五について

 実弾射撃移転訓練については、様々な御意見があることは承知しているが、政府としては、沖縄県の負担軽減を図るという考えからSACO最終報告に基づき、実弾射撃移転訓練を実施しているところである。

六について

 普天間飛行場の移設問題については、様々な御意見があることは承知しているが、平成二十二年五月二十八日の日米安全保障協議委員会の共同発表において、日米両政府は、二国間及び単独の訓練を含め、米軍の活動の沖縄県外への移転を拡充することとしており、政府としては、沖縄県に集中している基地負担を軽減し、同盟の責任を我が国全体で受け止めるとともに、日米同盟を更に深化させるため、「平成二十二年五月二十八日に日米安全保障協議委員会において承認された事項に関する当面の政府の取組について」(平成二十二年五月二十八日閣議決定)において、沖縄県を始めとする関係地方公共団体等の理解を得るべく一層の努力を行うこととしたところである。