質問主意書

第174回国会(常会)

答弁書


答弁書第一一〇号

内閣参質一七四第一一〇号
  平成二十二年六月二十九日
内閣総理大臣 菅 直人   


       参議院議長 江田 五月 殿

参議院議員澤雄二君提出新型インフルエンザ対策に関する質問に対し、別紙答弁書を送付する。



   参議院議員澤雄二君提出新型インフルエンザ対策に関する質問に対する答弁書

一について

 政府としては、今後、平成二十二年六月十日に新型インフルエンザ(A/H1N1)対策総括会議が取りまとめた報告書(以下「総括会議報告書」という。)を踏まえ、新型インフルエンザ対策行動計画(以下「行動計画」という。)及び新型インフルエンザ対策ガイドライン(以下「ガイドライン」という。)の見直しの検討を行うこととしており、お尋ねの複数の選択肢の必要性及び未策定のワクチン接種に関するガイドラインの策定についても、当該検討を行う中で、検討を行ってまいりたい。

二について

 御指摘のシステムを構築することについては、その必要性について認識しており、総括会議報告書を踏まえ、今後、行動計画及びガイドラインの見直しの検討を行う中で、その具体的な在り方について検討を行ってまいりたい。

三について

 お尋ねの水際対策の評価及びH5N1等の強毒性の新型インフルエンザに対する検疫の有効性については、現在、厚生労働省において、知見を収集しているところであり、当該知見も踏まえ、今後、検討を行ってまいりたい。
 また、お尋ねの水際対策の問題点としては、病原性の高い鳥インフルエンザ(H5N1)を念頭に置いて策定された行動計画及びガイドラインにおいて、厳格な機内検疫、隔離、停留等の措置が想定されており、これに基づき、初動対応をとったが、対策の縮小等の見直しにおいて、機動的な対応ができなかったこと等があるとの指摘があり、今後、「感染力だけでなく致死率等健康へのインパクト等を総合的に勘案して複数の対策の選択肢を予め用意し、状況に応じて的確に判断し、どの対策を講じるのかを柔軟に決定するシステムとすべきである。」との総括会議報告書の提言を踏まえ、具体的な改善点について検討を行ってまいりたい。
 さらに、お尋ねの人員体制の拡充及び応援体制の在り方については、総括会議報告書における提言を踏まえ、行動計画及びガイドラインの見直しの検討を行う中で、検討を行ってまいりたい。

四について

 お尋ねの発熱相談センター及び発熱外来の設置については、「発熱相談センターと発熱外来の設置の是非、設置する場合の対象者、求める役割、機能、体制について、病原性なども考慮しながら、再度整理すべきである。」との総括会議報告書の提言を踏まえ、その必要性の検討を行ってまいりたい。
 また、お尋ねの施設整備に対する助成、医療従事者への個人防護具の提供に要する費用については、平成二十二年度予算において、約三十四億円を計上しているところである。
 さらに、お尋ねの休業補償及び健康被害への補償については、総括会議報告書における提言を踏まえ、今後、検討を行ってまいりたい。

五について

 お尋ねの十ミリリットルバイアルを導入した経緯については、できる限り多くの国民が新型インフルエンザ(A/H1N1)ワクチンを接種することができるよう、ワクチンの効率的な確保と接種の際の利便性とのバランスを図る必要があったこと、ワクチン製造業者四社のうち一社から、季節性インフルエンザワクチンの製造を中止しなければ、年内に一ミリリットルバイアルの新型インフルエンザ(A/H1N1)ワクチンを製造することができないとの申出があったこと等から、専門家の御意見を伺った上で、平成二十一年においては、ワクチン製造業者四社のうち一社は十ミリリットルバイアル、他の三社は一ミリリットルバイアルの製造を行うこととしたものである。
 また、お尋ねの評価としては、危機管理として、できる限り多くの国民がワクチンを接種することができるようにするなどの観点から、やむを得なかったものと考えている。
 さらに、お尋ねの接種スケジュールについて地方の実情に応じた弾力的運用を認める必要性及び集団的接種の実施の在り方については、総括会議報告書の提言を踏まえ、今後、検討を行ってまいりたい。

六について

 御指摘の受託医療機関におけるワクチン在庫の問題については、ワクチンの出荷の際に、ワクチンの流通に当たっての留意点として、「新型インフルエンザA(H1N1)ワクチンの第2回出荷等のお知らせについて」(平成二十一年十月十六日付け厚生労働省新型インフルエンザ対策推進本部事務連絡)において「今般の新型インフルエンザワクチンの供給においては、国がその流通を管理しており、その必要量のみが医療機関に納入され、納入されたワクチンは確実に接種していただく必要があることから、原則として返品は認められません。」と示していたところであり、国が買い戻すことは困難であるが、今後、その解決に向け、慎重に検討してまいりたい。

七について

 政府としては、平成二十二年五月十九日に開催された厚生科学審議会感染症分科会予防接種部会において、既に有効期限が切れたプレパンデミックワクチン及び平成二十二年十一月から順次有効期限が切れると見込まれるプレパンデミックワクチンについて、今後、プレパンデミックワクチンの補充をしていくべきとの意見が取りまとめられたことを踏まえ、プレパンデミックワクチンの備蓄についての検討を行うこととしている。
 また、お尋ねの財源確保策については、まずは、平成二十二年度予算に計上している新型インフルエンザワクチンの買上げのための経費を活用することとしている。
 さらに、お尋ねのプレパンデミックワクチンの事前接種の実施及び健康被害救済の在り方については、今後、必要な研究の蓄積を踏まえた上で、専門家の御意見を伺うなどして、検討を行うこととしている。