質問主意書

第174回国会(常会)

答弁書


答弁書第一〇〇号

内閣参質一七四第一〇〇号
  平成二十二年六月二十二日
内閣総理大臣 菅 直人   


       参議院議長 江田 五月 殿

参議院議員川田龍平君提出特定健康診査・特定保健指導制度におけるデータ解析とその健康増進政策への応用に関する質問に対し、別紙答弁書を送付する。



   参議院議員川田龍平君提出特定健康診査・特定保健指導制度におけるデータ解析とその健康増進政策への応用に関する質問に対する答弁書

一について

 現在、厚生労働省において、平成二十年度に実施された特定健康診査及び特定保健指導の実施結果について、集計中である。また、平成二十一年度の実施結果については、現時点では、各保険者から厚生労働省に対する報告はなされていない。このため、お尋ねについてお答えすることは困難である。
 なお、厚生労働省が平成二十一年五月から六月にかけて実施した調査によると、平成二十年度の特定健康診査の実施率は、被用者保険については、被保険者本人が五十二・三パーセント、被扶養者が二十一・四パーセントとなっている。また、国民健康保険については、市町村が二十八・三パーセント、国民健康保険組合が二十九・二パーセントとなっている。

二について

 特定健康診査の対象となる生活習慣病については、高齢者の医療の確保に関する法律施行令(平成十九年政令第三百十八号)第一条に規定されており、具体的には、高血圧症、脂質異常症、糖尿病その他の生活習慣病であって、内臓脂肪の蓄積に起因するものである。

三について

 保険者は、特定健康診査及び特定保健指導の実施に関する基準(平成十九年厚生労働省令第百五十七号。以下「実施基準」という。)に基づき、特定保健指導の対象者に対し、保健指導の必要性に応じ階層化を行った上で、特定保健指導を行うこととされている。
 具体的な介入方法は、実施基準第七条及び第八条に規定されている。

四について

 お尋ねの具体的な事例としては、実施基準第八条に規定する積極的支援に係る事例がある。当該事例においては、初回の面接において、対象者が、健診結果から自らの身体状況を認識するとともに、健康な生活習慣の重要性に対する理解と関心を深め、日常生活を振り返りつつ、今後の取組の計画を保健師や管理栄養士等とともに作成している。その後、三か月以上、継続的に支援を行い、支援と支援の間には、保健師や管理栄養士等から、電話や手紙を活用した励ましを実施し、計画策定の日から六か月以上経過した後に、当該支援についての評価を行っている。グループに対する支援を行う場合には、同じ課題を持つ対象者八人を一グループとし、体験やグループ学習を取り入れることにより、客観的に自己の生活習慣を振り返り、改善すべき生活習慣を認識できるようなプログラムを実施している。例えば、食品の模型を使用し、対象者自身や参加者の食生活の実態を見て自身の課題を明らかにする取組、ウォーキングや筋力アップのための体操を学び、自らの生活に取り入れられる運動を見つけ、継続的に実践する取組、体重や検査データの変化のグラフ化から、日々の生活の状態が検査値に反映するということを体験をもって確認し、生活習慣の改善につなげていく取組などが行われている。

五について

 厚生労働省においては、平成二十年度に実施された特定健康診査及び特定保健指導の実施結果について現在集計中であり、データの蓄積状況を踏まえ、今後、平成二十五年度からの医療費適正化計画の策定に向けた所要の分析を行うこととしている。

六について

 都道府県は、医療法(昭和二十三年法律第二百五号)第三十条の四の規定に基づき策定する医療計画において、生活習慣病その他の国民の健康の保持を図るために特に広範かつ継続的な医療の提供が必要と認められる疾病の治療又は予防に係る事業について、地域の実情に応じ、医療提供施設相互間の機能の分担及び業務の連携を確保するための体制に関する事項を定めることとされている。厚生労働省としては、都道府県に対し、医療計画において、糖尿病等の疾病について、合併症や再発の予防のための治療が可能な体制等に関する事項についても定めるよう求めているところであるが、医療計画の策定等に当たり、都道府県が必要に応じ、個人情報の保護に留意しつつ、特定健康診査及び特定保健指導のデータを収集し、利用することを妨げるものではない。