質問主意書

第174回国会(常会)

答弁書


答弁書第九四号

内閣参質一七四第九四号
  平成二十二年六月二十二日
内閣総理大臣 菅 直人   


       参議院議長 江田 五月 殿

参議院議員川田龍平君提出医療政策における「医療用医薬品」から「一般用医薬品(第一類医薬品)」への積極的な転用に関する質問に対し、別紙答弁書を送付する。



   参議院議員川田龍平君提出医療政策における「医療用医薬品」から「一般用医薬品(第一類医薬品)」への積極的な転用に関する質問に対する答弁書

一について

 お尋ねの理由としては、スイッチOTC(一般消費者が自らの判断に基づいて薬局等で購入する医薬品(以下「一般用医薬品」という。)であって、医師の処方する医療用医薬品に限って使用されていた有効成分を初めて含有することとなるもの)としての承認に伴う開発リスクと販売予測とのバランスを考慮した結果として、当該承認に係る申請があまり多くないこと等があるものと考える。

二について

 お尋ねの具体的な基準としては、「一般用医薬品承認審査合理化等検討会」が平成十四年十一月八日にまとめた中間報告書において示した「スイッチ成分の選択の要件」があり、具体的には、①医療用としての使用実績があり、再審査又は再評価が終了しており、副作用の発生状況、海外での使用状況、再審査又は再評価結果等からみて一般用医薬品として適切であること、②医師の指導監督なしで使用しても、重篤な状態になるおそれのないもの、③習慣性、依存性、耽溺性がないこと、④麻薬、覚せい剤、覚せい剤原料、毒薬、劇薬でないこと、⑤薬物相互作用により重篤な副作用が発生しないこと、⑥国民の選択の幅の拡大が期待できるものという点が掲げられている。

三について

 「スイッチ成分の選択の要件」については、平成十四年に策定されたものであるが、薬学部の修業年限延長についての本格的な検討も同年に開始されたものであり、御指摘の薬学部の修業年限延長がもたらす薬剤師の専門性の充実が、「スイッチ成分の選択の要件」の策定に直接反映されているわけではない。

四について

 政府としては、薬事法(昭和三十五年法律第百四十五号)第三十六条の三第一項第一号に規定する第一類医薬品の適切な選択と適正な使用を促進することは、自分自身の健康に責任を持ち、軽度な身体の不調は自分で手当てするといういわゆるセルフメディケーションの推進を図り、国民が自らの健康を守るという観点から重要であり、薬局及び店舗において、第一類医薬品が適切に販売又は授与されるよう、医薬品に関する高度な専門的知識を持つ薬剤師が活用されることが適当であると考えている。このため、第一類医薬品については、その副作用等により日常生活に支障を来す程度の健康被害が生ずるおそれがある医薬品のうち、その使用に関し特に注意が必要なものであることを踏まえ、薬事法第三十六条の五の規定に基づき、薬剤師に販売又は授与させなければならないこととしている。また、第一類医薬品に係る販売又は授与に対応できる体制の確保を図るため、薬局並びに店舗販売業及び配置販売業の業務を行う体制を定める省令(昭和三十九年厚生省令第三号)第二条第一項第六号の規定に基づき、店舗販売業のうち、第一類医薬品を取扱う店舗販売業に対しては、第一類医薬品を販売又は授与する営業時間の一週間の総和が一般用医薬品を販売又は授与する営業時間の一週間の総和の二分の一以上でなければならないこととしている。