質問主意書

第174回国会(常会)

答弁書


答弁書第八九号

内閣参質一七四第八九号
  平成二十二年六月十八日
内閣総理大臣 菅 直人   


       参議院議長 江田 五月 殿

参議院議員大江康弘君提出韓国海軍哨戒艦「天安」沈没事件に関する質問に対し、別紙答弁書を送付する。



   参議院議員大江康弘君提出韓国海軍哨戒艦「天安」沈没事件に関する質問に対する答弁書

一について

 本件事件に対する政府の方針に変更はない。

二について

 本件事件に関する韓国政府による調査の結果については、本年五月十九日に行われた日韓首脳電話会談において李明博大統領から鳩山由紀夫内閣総理大臣(当時)に対して直接説明があったことを含めて、沈没の原因が北朝鮮製魚雷による外部水中爆発であったとの判断に至った根拠について、引き揚げられた艦船を我が国政府関係者が視察する機会も得つつ、韓国側から十分に説明を受けたものである。当該調査は各国の専門家が参加し、物的証拠を提示して、科学的かつ客観的に行われたものであると受け止めている。これらを踏まえ、外務省及び防衛省の専門家も交えて検討した結果、調査の結果については韓国政府として合理的な判断をしたものと受け止め、同月二十日の「総理大臣コメント」において政府として韓国を支持することを表明したものである。

三及び四について

 政府は、各種の緊急事態への対応について、国民の生命及び財産を保護する等の観点から、所要の検討を行ってきているが、それら検討の具体的な内容等については、緊急事態における我が国の対応振りにかかわるものであり、事柄の性質上、お答えを差し控えたい。
 いずれにせよ、政府としては、今後も、緊急事態に、適切、かつ、迅速に対応がとれるよう、万全の態勢をとってまいりたい。

五について

 政府としては、地域の平和と安定のため、韓国及び米国を始めとする関係各国と引き続き緊密に連携しながら対応していく考えであり、具体的な対応の在り方については、これらの関係各国との今後の外交上のやり取りに支障を来すおそれがあることから、お答えを差し控えたい。

六について

 防衛省・自衛隊は、平素から我が国周辺海域において警戒監視を行うとともに、各種の事態に即応し、海上防衛等を行い得るよう必要な態勢を維持しているところである。また、現在、対潜水艦作戦を行う体制として、護衛艦五十二隻、潜水艦十六隻、固定翼哨戒機八十機、回転翼哨戒機七十九機等を配備している。
 なお、我が国周辺における北朝鮮の潜水艦の行動を含む軍事的動向については、政府として重大な関心を持って情報収集・分析に努めているところである。

七について

 海上自衛隊は、常日頃から我が国の防衛及び警備のために必要な態勢をとっているところである。また、防衛省・自衛隊としては、韓国政府による調査結果の公表を受けて本年五月二十日に北澤俊美防衛大臣が行った指示に基づき、自衛隊の態勢について改めて点検するとともに、引き続き情報収集活動に努め、かつ、警戒監視活動に万全を期しているところである。

八について

 海上自衛隊は、米国及び韓国の海軍と共同で、御指摘の「日本海における北朝鮮の潜水艦侵犯を想定した対潜水艦作戦又は同じ想定の下で行われる演習」を実施した実績はなく、また、その実施については、個別具体的にその可否を判断することが必要であり、現時点で米国及び韓国の海軍と共同で実施する予定はない。