質問主意書

第174回国会(常会)

答弁書


答弁書第六〇号

内閣参質一七四第六〇号
  平成二十二年四月三十日
内閣総理大臣 鳩山 由紀夫   


       参議院議長 江田 五月 殿

参議院議員川田龍平君提出日本原燃(株)六ヶ所再処理工場の高レベル放射性廃液の安全管理に関する質問に対し、別紙答弁書を送付する。



   参議院議員川田龍平君提出日本原燃(株)六ヶ所再処理工場の高レベル放射性廃液の安全管理に関する質問に対する答弁書

一について

 現時点においては、日本原燃株式会社(以下「日本原燃」という。)から御指摘の文書以外の報告がなされるとは認識していない。

二について

 先の答弁書(平成二十一年十一月二十日内閣参質一七三第二六号)一の6についてで述べたとおり、お尋ねの事前公表の要否については、日本原燃が判断すべきものと考えている。

三について

 日本原燃の再処理事業所再処理施設(以下「六ヶ所再処理施設」という。)に設置されている高レベル放射性液体廃棄物(以下「高レベル廃液」という。)に係る貯槽は、容量約百二十立方メートルの高レベル濃縮廃液貯槽が二基、容量約二十五立方メートルの高レベル濃縮廃液一時貯槽が二基、容量約七十立方メートルの不溶解残渣廃液貯槽が二基、容量約五立方メートルの不溶解残渣廃液一時貯槽が二基、容量約百二十立方メートルのアルカリ濃縮廃液貯槽が一基、容量約百二十立方メートルの高レベル廃液共用貯槽が一基であると承知している。また、お尋ねの貯蔵が可能な期間については、貯槽の運用状況等によって異なるため、一概にお答えすることは困難である。なお、貯槽を含め、放射性物質を内蔵する系統及び機器については、取り扱う放射性物質及び化学薬品、圧力、温度等各種の条件を考慮して腐食しにくい材料を使用する等、適切な腐食対策等を講じた設計となっている。

四について

 科学技術庁(当時。以下同じ。)は、六ヶ所再処理施設の事業の指定に係る安全審査を、再処理施設安全審査指針(昭和六十一年二月二十日原子力安全委員会決定)等を踏まえて行っており、その結果は、「日本原燃株式会社六ヶ所再処理・廃棄物事業所における再処理の事業の指定申請に係る安全性について」(平成四年十二月科学技術庁。以下「安全審査書」という。)として公表されている。安全審査書の「4.2.8評価」において、科学技術庁は、高レベル廃液貯蔵設備の配管からセルへの高レベル廃液の漏えいに係る評価を含めて、日本原燃が行った評価を妥当なものと判断している。
 また、原子力安全委員会は、安全審査書等について審議を行っており、その結果は、「日本原燃株式会社六ヶ所再処理・廃棄物事業所における再処理の事業の指定について(答申)」(平成四年十二月十日原子力安全委員会。以下「答申書」という。)として公表されている。答申書において、原子力安全委員会は、科学技術庁が行った右の判断を妥当なものと判断している。なお、これについて記載されているのは、答申書の「5.2運転時の異常な過渡変化を超える事象の解析」である。

五について

 発電用原子炉施設に関する耐震設計審査指針(平成十八年九月十九日原子力安全委員会決定)等に照らした六ヶ所再処理施設の耐震安全性については、日本原燃から提出された耐震安全性評価結果報告書等に基づき、総合資源エネルギー調査会原子力安全・保安部会耐震・構造設計小委員会での議論を踏まえつつ、原子力安全・保安院において厳格に確認を行い、その結果について、現在、原子力安全委員会耐震安全性評価特別委員会等において確認しているところである。
 また、昨年発生した六ヶ所再処理施設の高レベル廃液ガラス固化建屋固化セル内での高レベル廃液の漏えいについては、総合資源エネルギー調査会原子力安全・保安部会核燃料サイクル安全小委員会六ヶ所再処理施設総点検に関する検討会、同小委員会再処理ワーキンググループ等において、その原因究明、再発防止策等について審議を行っている。
 さらに、六ヶ所再処理施設の試験運転に当たって原子力安全・保安院が行う安全規制活動の妥当性については、原子力安全委員会が設置した再処理施設安全調査プロジェクトチームにおいて審議を行っている。
 これらの審議会等における審議の状況については、原子力安全・保安院及び原子力安全委員会のホームページで議事概要を公表するなどして、透明性の確保に努めている。
 政府としては、これらの審議会等において引き続き専門家による厳格な審議を行うとともに、保安検査の実施等を通じ、六ヶ所再処理施設における安全確保の実施状況について厳格に確認してまいりたい。

六について

 政府が、核燃料サイクル開発機構(当時)が開発した技術を、外部専門家により技術の成立性が実証されたものと認識している根拠は、核燃料サイクル開発機構研究開発課題評価委員会(廃棄物処理処分課題評価委員会)が取りまとめた「平成十五年度研究開発課題評価(中間評価)報告書 評価課題「ガラス固化技術開発施設における高レベル放射性廃液のガラス固化処理技術開発」(JNC TN1440 2004―002)(平成十六年七月)」である。廃棄物処理処分課題評価委員会は、石榑顯吉埼玉工業大学先端科学研究所長・教授(当時)を委員長として、関連分野の専門家、社会科学の専門家等の委員十二名で構成されたものである。なお、当該報告書については、独立行政法人日本原子力研究開発機構のホームページで公表している。