質問主意書

第174回国会(常会)

質問主意書


質問第一〇九号

地上テレビ放送の完全デジタル化に関する質問主意書

右の質問主意書を国会法第七十四条によって提出する。

  平成二十二年六月十四日

澤 雄二   


       参議院議長 江田 五月 殿



   地上テレビ放送の完全デジタル化に関する質問主意書

 地上テレビ放送においてアナログ放送を停波し、デジタル放送に完全移行する平成二十三年七月二十四日まで、残り四百日余りとなった。しかし、地上デジタル放送対応受信機の普及や都市部における共聴施設の改修は順調に進んでいるとは言えず、その対策強化が求められている。
 そこで、以下のとおり質問する。

一 全国に普及しているテレビ受信機(以下「テレビ」という。)は一億台以上と言われているが、地上デジタル放送対応受信機の普及台数をテレビ、チューナー、チューナー内蔵型録画機、ケーブルテレビ用セットトップボックス及びチューナー内蔵型パソコンの種類ごとにそれぞれ明らかにされたい。また、チューナー内蔵型録画機及びケーブルテレビ用セットトップボックス(以下「対応録画機等」という。)については、デジタル放送対応テレビに接続されているものが相当数あると思われるため、対応テレビに接続されている対応録画機等の数についても明らかにされたい。

二 生活保護世帯などNHKの受信料免除世帯に対してチューナー等の無償給付が行われているが、対象となる二百七十万世帯のうち、対策初年度である昨年度の申込み世帯数は六十三万世帯であった。よって、残り一年余りで、対象世帯すべてにチューナー等の無償給付を行うのは困難と考えるが、今後、どのように対策を促進するつもりなのか具体的方策を示されたい。

三 年金生活をされている方など、チューナー等の無償給付の対象とならない方の中にも、テレビを買うことができない方は数多くいる。経済的弱者に対する支援について、対象の拡大をすべきと考えるが、受信機器の普及支援策の拡大について政府の見解を明らかにされたい。

四 昨年十二月時点で、受信障害対策共聴施設約五万施設のうち四万施設が、集合住宅共聴施設約二百万施設のうち約六十万施設がデジタル化に未対応であり、特に南関東など都市部ではデジタル化対応が進んでいない。残り一年余りで、対象施設のデジタル化をすべて完了するのは困難と考えるが、今後、どのように対策を促進するつもりなのか具体的方策を示されたい。

五 集合住宅共聴施設に対して助成が行われているが、この助成は一世帯当たりの負担額が三万五千円を超える場合に限られており、利用が進んでいない。助成対象の拡大を図ることについて政府の見解を明らかにされたい。

六 テレビは国民生活に不可欠のメディアであり、一つの世帯で、複数のテレビを保有している世帯は多い。アナログ放送を停波し、完全デジタル化を実施するためには一億台超のテレビすべてが、デジタル対応に置き換わる必要があると考えるが、政府は、アナログ放送の停波の実施について、平成二十三年七月二十四日という期限以外に、デジタル対応テレビの普及率などの基準を設けているのか。また、相当数のテレビがデジタル対応されないまま、平成二十三年七月二十四日を迎えることが明らかになった場合に、アナログ停波の延期を行うのか、政府の方針を明らかにされたい。

七 仮にアナログ停波が延期された場合、アナログ放送を続ける放送事業者の負担は莫大になることが予想されるが、アナログ停波が延期された場合の放送事業者への支援措置について政府の見解を明らかにされたい。

八 本年度の政府予算における地上デジタル放送への完全移行に向けた所要経費は約八百七十億円であるが、アメリカでは、チューナー購入のためのクーポン配付事業だけでも二十一億五千万ドル(約二千億円)の予算を使ってデジタル化を進めた。円滑な地上デジタル放送への完全移行を実現するためには、我が国においても十分な予算を確保し、思い切った対策を進めるべきと考えるが、地上デジタル放送への完全移行に向けた対策の拡充・強化について政府の認識を示されたい。

  右質問する。