質問主意書

第174回国会(常会)

質問主意書


質問第八七号

学校等における部活動中の事故を防ぐために講じる指導者等の研修に関する質問主意書

右の質問主意書を国会法第七十四条によって提出する。

  平成二十二年六月四日

川田 龍平   


       参議院議長 江田 五月 殿



   学校等における部活動中の事故を防ぐために講じる指導者等の研修に関する質問主意書

 「学校の管理下の死亡・障害事例と事故防止の留意点(平成二〇年版)」(独立行政法人日本スポーツ振興センター)によれば、いわゆる運動部の部活動中の事故は中学校で五七件、高等学校で九六件と報告されている。このうち死亡事例は中学校で六例、高等学校で一〇例となっており、看過できるものではない。同報告書においても指摘されているとおり、指導者による安全管理は当然のことであるが、生徒の個別の状況に応じた事故・災害について予測・回避できるような指導が求められるところである。
 しかしながら、こうした学校管理下にある部活動等における事故件数は減少する傾向はみられず、概ね横ばいの状態が続いているときく。当然に、文部科学省は教職員への安全管理及び危機管理を徹底する観点から、都道府県教育委員会に対し周知していると認識しているが、正規の学校職員以外でも部活動等にて実地に生徒指導に従事する外部指導員に対しても十分な安全教育等の基準があってしかるべきと考える。これに関しては、都道府県などが独自にマニュアルを作成している例などもあるときく。そこで、学校における安全管理及び危機管理の観点から、政府としての部活動等における事故防止対応策について、以下質問する。

一 学校管理下の部活動における死亡・障害事例の件数について、過去五年間の推移を明らかにされたい。

二 学校管理下の部活動等における事故防止の観点から、教職員に対して実施されている安全管理教育及び生徒の個別の状況に応じた事故・災害を予測・回避するための具体的な施策について明らかにされたい。

三 二のような施策が実施されながらも依然として事故事例の減少がみられない状況について、政府の見解を示されたい。

四 部活動等を実地に指導する外部指導員に対する安全管理教育については、国としての統一基準がなく、自治体や学校ごとの自主基準に任せているのが現状である。現職教員としての豊富な経験を有し、併せて安全管理についても十分な教育を受けた外部指導員が熱心に生徒指導に当たっている一方で、基礎的な保健知識も有することなく非科学的な経験論にて生徒指導に当たる外部指導員が多いのも事実である。部活動等において外部指導員が果たす役割は少なくとも生徒の視点からは教職員と同等であり、また、部活動という合目的集団にあって指導力を発揮する外部指導員の指示はときには教職員の指示よりはるかに重要なものと解されることもあると考えられる。このような観点から考えるに、学校教育における外部指導員については、その法的身分にかかわらず、その使用者たる学校が少なくとも教職員と同じような安全管理教育及び危険予測研修などを実施し、生徒の安全を講ずるべきと考える。そこで、外部指導員の質的な向上と安全な部活動を担保するための具体的な施策があるのかどうか、政府の見解を示されたい。

  右質問する。