質問主意書

第174回国会(常会)

質問主意書


質問第八四号

大麻種子の流通規制に関する質問主意書

右の質問主意書を国会法第七十四条によって提出する。

  平成二十二年六月三日

糸数 慶子   


       参議院議長 江田 五月 殿



   大麻種子の流通規制に関する質問主意書

 現在、違法薬物の中でも特に大麻事犯の検挙者数の増加が目立っている。大麻事犯の検挙者数は、一九九九年の千百二十四人に比べて、二〇〇九年には二千九百二十人と十年間で三倍近くに膨れ上がっており、ここ数年上昇を続けているのが現状である。また、少年及び二十歳代の若年層が検挙者数の約六割を占めている。関西大学、関西学院大学、同志社大学、立命館大学の四大学によって設けられた薬物乱用防止連絡会が二〇〇九年度の新入生に対して行った薬物に関する意識調査のアンケートによると、学生の三割以上が大麻を入手可能であると答えたという。この結果は、大麻が身近なものとなりつつあることを示している。この背景として、インターネットなどで大麻種子が容易に手に入ることが指摘されている。インターネットで検索をすれば、様々な大麻種子が手頃な値段で売られており、育て方も容易に調べることができるようになっている。
 こうした実態を踏まえ、大麻種子の流通を規制すべきと考える。
 そこで、以下質問する。

一 一生のうちで何らかの違法薬物を経験する人の割合は、米国では四十六%であり、欧州でも二十%を超える国が多い。しかし、日本は二・九%と低い水準である。そのため、日本では薬物に対する危機感が低く、違法薬物対策、特に若い世代への対策の遅れの一因となっているのではないかと危惧するが、政府の見解を明らかにされたい。

二 政府はこれまでの質問主意書に対する答弁書や国会答弁において、「大麻種子の流通は現行法律でも十分規制できている」と繰り返している。過去五年間における不正栽培目的の大麻種子の提供罪、不正栽培の幇助、不正栽培の予備行為それぞれの検挙者数を示した上で、大麻種子の販売者あるいは購入者に対する規制の状況を明らかにされたい。また、現行法律による規制の実効性について、政府の見解を明らかにされたい。

三 最近の大麻事犯の検挙者数増加と大麻種子の流通との関係について、どのように認識しているか。大麻種子の流通の規制を行っても大麻事犯の検挙者数は減らないという認識なのか。政府の見解を明らかにされたい。

四 これまでの政府答弁では、大麻種子の流通を規制しない理由を、「大麻種子は七味唐辛子や鳥のえさなどに使われており、種子に有害な成分が含まれていないから」と説明している。実際、七味唐辛子や鳥のえさなどに使われる大麻種子には加熱処理が施されており、発芽の心配はないので規制する必要はないという認識も一理あると考える。しかし、この答弁は、加熱処理が施されていない、発芽の可能性のある大麻種子には当てはまらず、規制しない理由としては不十分である。発芽の可能性のある大麻種子の流通だけでも規制すべきであると考えるが、政府の見解を明らかにされたい。

  右質問する。