質問主意書

第174回国会(常会)

質問主意書


質問第七三号

小児救急医療体制に関する質問主意書

右の質問主意書を国会法第七十四条によって提出する。

  平成二十二年五月十七日

浜田 昌良   


       参議院議長 江田 五月 殿



   小児救急医療体制に関する質問主意書

 世界保健機関の二〇〇五年の報告によれば、我が国の新生児死亡率は世界第一位の低さを誇るのに対し、一歳から四歳までの幼児死亡率は世界第二十一位と遅れをとっている。その要因として、諸外国に比べ小児救急医療の体制が十分に確保されていないことが指摘されている。厚生労働省「重篤な小児患者に対する救急医療体制の検討会」中間取りまとめ(平成二十一年七月八日。以下「中間取りまとめ」という。)によれば、小児集中治療室の整備は米国で小児人口二万人に対して一床、オーストラリアで六万人に対して一床の割合でなされているところ、我が国では小児人口約十七万人に対して一床の割合でしか整備されていない。オーストラリアと同程度の整備を目指すとすれば、現状で百八床の小児集中治療室を四百三十床に増床する必要があるとの試算もされており、小児集中治療室等の小児救急医療体制の整備は喫緊の課題であると考える。こうした問題意識の下、以下質問する。

一 消防庁が平成二十二年三月十八日に公表した「平成二十一年中の救急搬送における医療機関の受入状況等実態調査の結果」によれば、救急搬送における照会回数四回以上の事案、現場滞在時間三十分以上の事案の占める割合は、小児傷病者の区分においては改善が見られない状況にある。このため、小児傷病者の救急搬送がより円滑になされるような対策が必要と考えるが、政府の対応方針について明らかにされたい。

二 平成二十一年の改正消防法により、各都道府県に義務付けられた協議会の設置状況、傷病者の搬送及び受入れの実施基準の策定状況をそれぞれ明らかにされたい。その際、協議会の構成員に小児科医師が含まれている都道府県の数、実施基準の中で小児救急患者に係る基準を策定している都道府県の数についてもそれぞれ示されたい。

三 中間取りまとめにおいては、今後の方向性として、小児の救命救急医療を担う医療機関の整備の必要性等について提言されていたが、中間取りまとめを踏まえ、どのように小児救命救急医療体制の整備を行うのか、政府の方針を明らかにされたい。また、中間取りまとめでは、小児集中治療室の要件や「急性期」を脱した患者に対する医療提供体制については、今後の課題として積み残されている。こうした「今後の課題」に対する政府の認識を問う。

四 小児集中治療室の整備やそこで診療に従事する医師等の確保は喫緊の課題であると考えるが、政府の認識を問う。また、整備に関する数値目標について、出生一万人につき二十五~三十床という具体的な整備目標が掲げられている新生児集中治療室と同様、小児集中治療室についても数値目標を設定する必要があると考えるが、政府の見解を示されたい。

  右質問する。