質問主意書

第174回国会(常会)

質問主意書


質問第六四号

国有林保全事業の環境省への移管に関する質問主意書

右の質問主意書を国会法第七十四条によって提出する。

  平成二十二年四月二十七日

川田 龍平   


       参議院議長 江田 五月 殿



   国有林保全事業の環境省への移管に関する質問主意書

 民主党は民主党政策集「インデックス二〇〇九」において、国有林野事業の在り方について、「農林水産行政と環境行政を一体的に推進する観点から、国有林野事業特別会計を廃止し、その組織・事業の全てを一般会計で取り扱う等」抜本的な改革を行うとした。また、林野庁は平成一〇年、国有林野を「国民の森林」とする基本方針の下に国有林野事業の抜本的改革に着手するとした。併せて、国有林野の管理経営の方針を「林産物の供給」から「公益的機能の維持増進」へと転換し、国民の要請に応え得る効率的な管理経営を進めていくこととした。
 一方、鳩山内閣は二〇二〇年までに一九九〇年比二五パーセントの温室効果ガス排出量削減を掲げている。二五パーセント削減に向けては、国内での削減対策のみではその実現は困難であることから、国民共通の財産である森林の二酸化炭素吸収源としての重要性は一層高まっており、森林を長期的に保全・管理していくことが必要となっている。このように地球温暖化防止の観点から、国有林保全事業の所管を林野庁から環境省に移すという抜本的改革が求められる。
 よって、以下の事項について質問する。

一 環境省は今日の環境問題の解決策として、現代社会の在り方を持続可能なものに変革するべく、「森林・緑地・河川・湖沼の保全」を挙げている。また、林野庁は国有林野の管理経営の基本方針を国土の保全などの「公益的機能重視」としており、「地球規模で森林を持続的に利用管理する」ことを重要視している。さらに、京都議定書目標達成計画においては、森林吸収源対策として森林整備なども明記されているところである。よって、森林に関して環境省・林野庁共に同様の目的を共有していると考えるが、これに対する政府の認識を明らかにされたい。

二 環境省は環境保全を目的に含む施策については、他の府省と共同して行うとしている。よって、環境省・林野庁の双方が同様の目的を達成するためには、環境省・林野庁が互いに協力し合うべきであると考えるが、現在如何なる連携関係が存在し、どのような取り組みが行われているか具体的に示されたい。

三 地球温暖化対策に加えて、生物多様性保全に向けた取り組みも重要である。本年は国際生物多様性年であり、今秋には名古屋において生物多様性条約第一〇回締約国会議(COP一〇)が開催される。日本の国土の三分の二を占める森林は多種多様な動植物の生息地であり、森林の持続的な保全が求められている。このように生物多様性保全の観点からも、国有林保全事業を環境省へ移管すべきである。また、環境省において、環境省・林野庁の双方の目的を包括して事業を実施することで、より効果的な目的達成が見込まれることからも、国有林保全事業を環境省の所管に移すべきと考えるが、政府の認識を明らかにされたい。

  右質問する。