第174回国会(常会)
質問第四二号 長編ドキュメンタリー映画「ザ・コーヴ」に関する質問主意書 右の質問主意書を国会法第七十四条によって提出する。 平成二十二年三月十五日 鶴保 庸介
参議院議長 江田 五月 殿 長編ドキュメンタリー映画「ザ・コーヴ」に関する質問主意書 「捕鯨の町」として知られる和歌山県太地町で行われている鯨類追込網漁業を秘匿撮影した映画「ザ・コーヴ」(以下「本映画」という。)が、現地時間三月七日、アメリカロサンゼルスにおいて開かれた第八十二回アカデミー賞において、長編ドキュメンタリー賞を受賞した。この受賞後、地元漁協などには同漁業に対する抗議電話等が多く寄せられており、地元漁業者のみならず、地域住民に大きな戸惑いを与えるとともに風評被害に対する不安をもたらしている。このような事態を踏まえ、以下質問する。 一 本映画は、科学的根拠に基づかない虚偽の事項を事実であるかのように表現している。また、撮影を拒む漁業関係者の撮影を行ったうえに、この映像を取り入れており、肖像権を侵害している。さらに漁業関係者を「ジャパニーズマフィア」と悪人視しており、漁業関係者の名誉を著しく毀損している。このようなことから地元関係者が国内での上映中止を求めているところであるが、政府の認識とその対応如何。 二 事実誤認や作為的な内容を含む本映画により、全国各地の漁業に大きな被害が発生することが懸念される。今後、過激な環境保護を唱える海外からの不当な抗議・中傷により、我が国の零細な漁業の衰退をまねくような甚大な被害が発生した場合は、国は適切な措置を検討するべきではないか。 三 昨今、反捕鯨団体であるシーシェパードによる、我が国の調査捕鯨船団に対する暴力的な妨害行動が問題となっているが、今後本映画を契機として活動範囲が拡大し、太地町を含むイルカ漁業を行う地域においても、過激な反対抗議行動が行われることが懸念される。このような事態に備え、関係省庁による一層の対策が必要ではないか。 右質問する。 |