質問主意書

第174回国会(常会)

質問主意書


質問第一号

米国の核態勢見直しに対する我が国の対応に関する質問主意書

右の質問主意書を国会法第七十四条によって提出する。

  平成二十二年一月十八日

浜田 昌良   


       参議院議長 江田 五月 殿



   米国の核態勢見直しに対する我が国の対応に関する質問主意書

 米国オバマ政権による初めての核態勢見直し(Nuclear Posture Review)が本年三月にも行われる見込みであり、「核のない世界」を目指すとしたオバマ大統領がどのような見直しを行うか世界の注目が集まっている。しかしながら、米国の戦略態勢に関する議会諮問委員会のシュレジンジャー副委員長が、冷戦後もなお米国が強大な核抑止力を維持すべきだとする論拠の一つとして日本政府当局による「懸念」を挙げていると報道されており(平成二十一年十一月六日付け朝日新聞掲載)、核廃絶を願う日本国民の多くはそのような日本政府の意見表明に疑念を抱いている。
 そこで、以下のとおり質問する。

一 昨年五月の米国の戦略態勢に関する議会諮問委員会の最終報告書には、米国の拡大抑止の信頼性が弱まると同盟国が核武装するおそれがあるとし、具体的には潜水艦発射の核弾頭型陸地攻撃巡航ミサイル「トマホーク」の二〇一三年退役に関してアジアのある同盟国が懸念していることが委員会の活動で明確となったと記述(同報告書二十六ページ)されるとともに、同報告書の協議先リストに在米日本大使館公使秋葉剛男、同石井正文、一等書記官飯島秀俊及び同金井正彰の四名の記載がある。これら四名が同委員会に対してどのような意見表明又は情報提供を行ったのか、その詳細を明確にされたい。また、そのような意見表明又は情報提供を行うに際し、当時の外務省の政務三役及び与党に対しどのような了解を得て行ったのか明確にされたい。

二 オバマ大統領が昨年十一月に来日した際に発表された「核兵器のない世界」に向けた日米共同ステートメントには「米国政府は、国家安全保障政策における核兵器の役割を低減させることをコミットし、日本国政府及び米国政府は、他の核兵器保有国に対し、同様の措置をとるよう要請する。」とある。この「核兵器の役割を低減させる」とは、日米安全保障体制において具体的にどのように実現していくべきものと鳩山内閣としては考えているのか、明確にされたい。

三 核不拡散及び核軍縮に関する国際委員会は昨年十二月に「二〇一二年までに核兵器の存在する目的を核兵器による攻撃を抑止することに限定すること(所謂、唯一目的論)」等を内容とする報告書を公表した。鳩山内閣としてはこの「唯一目的論」を支持し得るのか明確にされたい。

四 今次、米国の核態勢見直しが結論付けされる前において、日本の安全保障が確保されれば米国の核抑止は第三国からの核攻撃に限定する旨が同見直しにおいて明確にされても日本として異存がない旨を日本政府として表明することは、国際社会に「唯一目的論」の支持を広げ、世界の核廃絶を推進する上での日本が果たし得る大きな貢献であると考えるが、鳩山内閣の見解を明らかにされたい。

  右質問する。