質問主意書

第173回国会(臨時会)

答弁書


答弁書第九八号

内閣参質一七三第九八号
  平成二十一年十二月十一日
内閣総理大臣 鳩山 由紀夫   


       参議院議長 江田 五月 殿

参議院議員山田俊男君提出戸別所得補償制度のコメについてのモデル事業の実施等に関する質問に対し、別紙答弁書を送付する。



   参議院議員山田俊男君提出戸別所得補償制度のコメについてのモデル事業の実施等に関する質問に対する答弁書

一について

 現在策定作業を行っている新たな食料・農業・農村基本計画において、これからの担い手像を含め、将来の日本農業のビジョンを示すこととしており、戸別所得補償制度についても、同計画を踏まえて、我が国農業の再生につながるよう、制度設計を行っていくこととしている。

二について

 農林水産省において平成二十二年度予算概算要求を行っている水田利活用自給力向上事業においては、食料自給率向上に向けて重点的に取り組む必要のある麦や大豆等の作物について、主食用米並みの所得が確保できる水準の全国統一の助成単価を設定することを検討している。一方で、各地域において各々の特色を生かして生産が行われている作物について、地域が助成対象作物や助成単価を地域の実情に応じて設定できる仕組みを設けることを検討している。

三について

 生産数量目標の配分に当たっては、従来のような生産調整未達成地域に不利な配分を行う等の調整措置は原則廃止することとしているが、地域の関係する農業者にとって、できるだけ納得が得られる配分が行われるような取組が重要と考えている。

四について

 農林水産省において平成二十二年度予算概算要求を行っている米戸別所得補償モデル事業(以下「モデル事業」という。)においては、米の生産数量目標に即した生産を行った販売農家に対して生産に要する費用と販売価格との差を補てんする措置を講ずることを検討している。モデル事業の下では、過剰米が生じた場合には、その販売分は、当該販売農家の利益となるものであり、当該販売農家において、様々な用途に適切に販売を行うことが重要であると考えている。

五について

 モデル事業において、お尋ねのとおりの方向で検討している。

六について

 平成二十二年産米については、モデル事業と水田・畑作経営所得安定対策のうち収入減少影響緩和対策との間で、補てん内容に重複する部分が生じる場合には、二重に支払が行われないよう措置する必要があると考えている。また、平成二十三年度以降の水田・畑作経営所得安定対策の取扱いについては、戸別所得補償制度の本格実施に向けた制度設計の中で検討していくこととしている。

七について

 財務省において、予算編成過程における戸別所得補償制度についての論点整理として、供給能力が過剰である米をモデル事業の対象とするのか、対象となる地域や農家を限定して実施することはできないのか等の問題提起を行っているところである。一方、内閣官房国家戦略室においては、マニフェストの主要事項等を実施するための意見聴取を行っているところである。
 農林水産省としては、水田を対象として、モデル事業と米以外の主要な農作物の増産を図る水田利活用自給力向上事業を一体的に実施することにより、食料自給率の向上を図ることが重要であると認識している。
 今後、政府として、予算編成過程において適切な対応を行っていくこととしている。

八について

 戸別所得補償制度については、現在、米・麦・大豆など、恒常的に販売価格が生産費を下回っている品目を対象とすることを基本として検討しているところである。畜産物、野菜、果樹等の取扱いや、漁業及び林業への対策については、今後、モデル事業及び水田利活用自給力向上事業の実施状況等を見極めつつ、生産費等のデータの充実等を図りながら、検討を進めていくこととしている。

九について

 農業者、森林所有者、漁業者等の協同組織である農業協同組合、森林組合及び漁業協同組合は、農林漁業生産力の増進及びこれらの者の経済的社会的地位の向上等に向けて主体的な役割を果たすべきものと考える。