質問主意書

第173回国会(臨時会)

答弁書


答弁書第五八号

内閣参質一七三第五八号
  平成二十一年十二月四日
内閣総理大臣 鳩山 由紀夫   


       参議院議長 江田 五月 殿

参議院議員浜田昌良君提出矯正施設における薬物依存症者の支援体制の拡充に関する質問に対し、別紙答弁書を送付する。



   参議院議員浜田昌良君提出矯正施設における薬物依存症者の支援体制の拡充に関する質問に対する答弁書

一について

 平成十八年から平成二十年までに覚せい剤取締法(昭和二十六年法律第二百五十二号)違反及び麻薬及び向精神薬取締法(昭和二十八年法律第十四号)違反の罪により新たに刑事施設に入所した受刑者は、一万九千四百六十五人であるが、そのうち、実際に薬物依存離脱指導プログラムを受けた人員については統計がないので、お尋ねの「薬物事犯受刑者に占める比率」についてお答えすることは困難である。
 なお、入所時期を問わず、平成十八年五月から平成二十年末までに刑事施設において薬物依存離脱指導プログラムを受講した受刑者の合計人員は、一万六百十五人である。
 薬物依存離脱指導プログラムを受講させることが必要な受刑者については、今後とも同プログラムが受講できるよう努めてまいりたい。

二について

 御指摘の「薬物依存症者の民間支援団体」とは、今後とも連携の強化を図ってまいりたい。
 また、薬物依存離脱指導プログラムの受講者を拡大するための方策については、お尋ねの方策も含めて、引き続き検討してまいりたい。

三について

 御指摘の通達に基づく特別調整は、おおむね六十五歳以上であり、又は身体障害、知的障害若しくは精神障害があると認められること等の要件を満たす者を対象としており、お尋ねの薬物依存症者がこれらの要件を満たす場合には、特別調整の対象として適切に選定し、その再犯を防ぐという観点も踏まえ、矯正施設からの釈放後に福祉サービス等を受けられるよう特別調整を行うこととしている。

四について

 平成二十一年四月十七日から同年八月三十一日までの間、保護観察所において特別調整を行った者は三十七名であり、そのうち、矯正施設に収容中に執行された刑に係る犯罪事実に覚せい剤等の規制薬物の自己使用の罪が含まれる者は零名である。

五について

 地域生活定着支援センターが設置されていない都道府県においても、矯正施設に収容中の者でその釈放後直ちに福祉サービスによる支援等が必要と認められるものについては、保護観察所において、更生保護法(平成十九年法律第八十八号)第八十二条に規定する生活環境の調整を行い、官公署、病院、公共の衛生福祉に関する機関等に必要な援助及び協力を求めるなど、これらとの連携及び調整に努めており、また、矯正施設においても、釈放に当たって、保護観察所と連携し、必要な助言・指導の実施に努めている。

六について

 御指摘の地域生活定着支援センターの運営費に対する国の補助金については、今後とも、必要な予算の確保に努めてまいりたい。

七について

 保護観察所においては、仮釈放者のうち薬物に対する依存の認められる者について、特別調整の対象とされたか否かにかかわらず、必要かつ相当と認める場合には、薬物依存症のある者の社会復帰を支援する民間の団体等とも連携し、保護観察を実施しているところであり、今後とも、これらの者との連携の確保に努めてまいりたい。