質問主意書

第173回国会(臨時会)

答弁書


答弁書第五六号

内閣参質一七三第五六号
  平成二十一年十二月四日
内閣総理大臣 鳩山 由紀夫   


       参議院議長 江田 五月 殿

参議院議員紙智子君提出住民が住み続けられる夕張市再生計画策定に関する質問に対し、別紙答弁書を送付する。



   参議院議員紙智子君提出住民が住み続けられる夕張市再生計画策定に関する質問に対する答弁書

一の1について

 夕張市においては、後年度に必要と見込まれる事業を勘案した収支試算を行うなど、地方公共団体の財政の健全化に関する法律(平成十九年法律第九十四号。以下「健全化法」という。)第八条第一項に規定する財政再生計画(以下単に「財政再生計画」という。)の策定に向けた検討が行われていると承知している。
 現時点では、同市が策定する財政再生計画の具体的な内容がいまだ明らかでないが、今後、その策定過程において、具体的な相談があれば、北海道の意見も踏まえ、適切に対応してまいりたい。

一の2について

 お尋ねについては、今後、夕張市から具体的な要請があれば、北海道の意見も踏まえ、適切に対応してまいりたい。

二の1について

 御指摘の夜間救急体制の確保については、地域の実情に応じて体制を確保することが重要であると認識している。

二の2について

 旧夕張市立総合病院において実施していた人工透析については、夕張市における検討の結果、採算の確保が難しく廃止されたものと承知しているが、同市が住民からの要望等により必要と判断すれば、財政再生計画の策定過程において検討されるものと考えている。
 また、御指摘の「市民の命や健康に直結する医療体制の整備」に係る住民への説明については、同市において適切に判断されるべきものと考えている。

二の3について

 夕張市は、夕張市立診療所の開設者として、同診療所において提供する医療について、正確かつ適切に情報を提供するよう努めなければならないと認識している。

二の4について

 夕張市の除雪体制については、市道の除雪基準の見直しも含め、同市における財政再生計画の策定過程において、住民からの要望等も踏まえて検討されるものと考えており、今後、同市から具体的な相談があれば、北海道の意見も踏まえ、適切に対応してまいりたい。

三について

 夕張市が平成十九年に策定した、健全化法附則第三条の規定による廃止前の地方財政再建促進特別措置法(昭和三十年法律第百九十五号。以下「旧再建法」という。)第二十二条第二項の規定によりその例によることとされた旧再建法第二条第一項に規定する財政再建計画において、保育料の三年間据置き等の子育てに係る事業は、厳しい財政状況の中で、特に配慮されたものの一つであると承知している。
 御指摘の「子育て世代が定住しやすい対策」についても、同市における財政再生計画の策定過程において、具体的な相談があれば、北海道の意見も踏まえ、適切に対応してまいりたい。

四の1並びに3の(1)及び(2)について

 学校の統廃合について、文部科学省としては、集団の中で教育を行うことの効果や、通学距離及び通学時間の児童生徒の心身に与える影響、児童生徒の安全、地域住民の理解等を総合的に勘案することが重要であり、設置者である地方公共団体において、地域の実情に応じ、適切に判断されるべきものと考えている。
 また、住民への説明については、夕張市において適切に判断されるべきものと考えている。
 なお、現時点において、お尋ねの法案を提出する予定はない。

四の2の(1)について

 「平成二十年度地方教育費調査(平成十九会計年度)中間報告」(以下「教育費調査」という。)によれば、公立小学校の教育費総額に占める人件費、教育活動費、管理費、補助活動費、土地費・建築費・設備・備品費、図書購入費、債務償還費の割合は、それぞれ七十四・七パーセント、二・三パーセント、四・八パーセント、三・一パーセント、八・八パーセント、〇・二パーセント、五・九パーセントと算出される。また、これらの費目における国庫補助金、都道府県支出金及び市町村支出金の教育費総額の財源(地方債及び寄付金を除く。)に対する割合は、人件費がそれぞれ二十一・七パーセント、六十八・二パーセント、十・〇パーセント、教育活動費がそれぞれ〇・四パーセント、十三・〇パーセント、八十六・六パーセント、管理費がそれぞれ〇・六パーセント、〇・八パーセント、九十八・七パーセント、補助活動費がそれぞれ〇・六パーセント、〇・五パーセント、九十九・〇パーセント、土地費・建築費・設備・備品費がそれぞれ三十・七パーセント、一・六パーセント、六十七・七パーセント、図書購入費がそれぞれ〇・〇パーセント、〇・三パーセント、九十九・七パーセント、債務償還費がそれぞれ〇・〇パーセント、一・〇パーセント、九十九・〇パーセントと算出される。なお、数値は小数点第二位以下を四捨五入したものである。

四の2の(2)について

 お尋ねの「小学校一校当たりの市負担額」の意味するところが必ずしも明らかではないが、「教育費調査」によれば、公立小学校の教育費総額の財源のうち市町村支出金は一兆七千百五十億六千九百十五万八千円、公立中学校のそれは九千四百四十五億二千六百三十七万六千円であり、「平成十九年度学校基本調査報告書」の公立小学校数二万二千四百二十校と公立中学校数一万百五十校で除すると、公立小学校については約七千六百四十九万七千円、公立中学校については約九千三百五万七千円と算出される。

四の2の(3)について

 市町村(特別区を含む。四の2の(3)についてにおいて同じ。)立の小学校及び中学校の施設の耐震化のための改築事業及び補強事業については、設置者である市町村が事業主体となっており、市町村に対し、国は、義務教育諸学校等の施設費の国庫負担等に関する法律(昭和三十三年法律第八十一号)等に基づき、原則として、その経費の三分の一の割合により算定された額の交付金を交付することとなっているが、地震防災対策特別措置法(平成七年法律第百十一号)により、同法第二条の規定に基づく地震防災緊急事業五箇年計画に基づいて実施される改築事業及び補強事業については、事業の対象となる施設の耐震性能等に応じ、改築事業についてはその経費の二分の一、補強事業についてはその経費の三分の二又は二分の一の割合により算定された額の交付金を交付することとしている。また、過疎地域自立促進特別措置法(平成十二年法律第十五号)第二条の規定に基づく過疎地域において行う改築事業についてはその経費の十分の五・五の割合により算定された額の交付金を交付することとしている等、それぞれの地域の特性に応じた補助制度に基づき、算定割合の特例を設けているところである。
 なお、市町村立の小学校及び中学校の施設の耐震化のための改築事業及び補強事業については、都道府県の負担は、国の制度上は求められていない。

四の3の(3)について

 国においては、学校の統廃合等に関して市町村がスクールバスを購入するために必要な経費の一部について補助を行うほか、市町村が実施するスクールバスの維持運営に要する経費について普通交付税による措置を講じているところである。
 また、住民への説明については、夕張市において適切に判断されるべきものと考えている。

五について

 御指摘の職員増員、給与のカット率縮減も含め、夕張市が策定する財政再生計画の具体的な内容がいまだ明らかでないが、他の地方公共団体の効率的な行財政運営や住民の理解の状況等を踏まえつつ、行政執行体制の確保に支障が生じることがないよう、北海道の意見も踏まえ、適切に助言してまいりたい。

六について

 銀行の貸付とその貸付先の財務状況の悪化等との因果関係については一概に論じることはできず、また、両者間の責任の所在等の考え方については、基本的には当事者同士の問題であると認識している。