第173回国会(臨時会)
答弁書第三七号 内閣参質一七三第三七号 平成二十一年十一月二十四日 内閣総理大臣 鳩山 由紀夫
参議院議長 江田 五月 殿 参議院議員末松信介君提出八ッ場ダム事業の見直し・中止に関する質問に対し、別紙答弁書を送付する。 参議院議員末松信介君提出八ッ場ダム事業の見直し・中止に関する質問に対する答弁書 一の1について 八ッ場ダムについては、本体工事を中止する考えを表明しているところであるが、特定多目的ダム法(昭和三十二年法律第三十五号)第四条第一項に規定する基本計画を廃止しようとする考えを示しているに過ぎず、今後、当該基本計画を廃止するに当たっては、同条第四項に規定する手続をとることとなるものであり、同項に違反するとの御指摘は当たらないものと考えている。 なお、平成二十一年九月二十一日に発表した「八ッ場ダム建設事業の意見交換会に関する長野原町長及び東吾妻町長からの文書(平成二十一年九月十九日付)に対する前原国土交通大臣のコメント」(以下「前原国土交通大臣のコメント」という。)では、「地元の方々、関係都県、利水者などのご理解を得るまでは、特定多目的ダム法に規定する基本計画の廃止に関する法律上の手続きを始めることはしません。」としている。 一の2について 平成二十一年九月二十三日の国土交通大臣と群馬県知事、長野原町長、東吾妻町長等との意見交換会等において、国土交通大臣から八ッ場ダムについて中止する考えに至った理由について説明しているところである。また、ダム建設予定地の住民との意見交換会の実現に向けて、引き続き調整を続けてまいりたいと考えている。 一の3について 八ッ場ダムについては、今後、治水、利水等の観点から検証を行うこととしており、利根川水系に係る河川法(昭和三十九年法律第百六十七号)第十六条の二第一項に規定する河川整備計画の策定については、当該検証の結果も踏まえて検討を進めてまいりたい。また、利根川水系河川整備基本方針の見直しの必要性については、当該検証の結果を踏まえて検討してまいりたい。 一の4から6までについて できるだけダムに頼らない治水への政策転換の端緒として、着手から長期間が経過し多額の事業費を執行してきたにもかかわらずいまだ完成していない八ッ場ダムについて本体工事を中止する考えを表明したものであるが、前原国土交通大臣のコメントにおいても「じっくりと話し合いをする姿勢を堅持する」としているとおり、この政策転換について関係地方公共団体、地元住民等の理解を得られるよう、今後も努力してまいりたい。 また、今後、ダム事業の検証に当たっての共通的な考え方を整理するとともに、ダム建設予定地等の地元住民の生活再建対策についても関係地方公共団体、地元住民等との話し合いを行いながら、検討していくこととしている。 二の1について 御指摘の「これまで主張してきた八ッ場ダム建設中止の検証」が具体的に何を指すのか必ずしも明らかではないが、いずれにせよ、八ッ場ダムについては、今後、国土交通省において、治水、利水等の観点から検証を行うこととしている。 二の2から5までについて 一の4から6までについてで述べたとおり、できるだけダムに頼らない治水への政策転換の端緒として、着手から長期間が経過し多額の事業費を執行してきたにもかかわらずいまだ完成していない八ッ場ダムについて本体工事を中止する考えを表明したものであり、今後、治水、利水等の観点から検証を行うこととしている。 三の1及び2について ダムを建設した場合には、一般的に、ダム下流における河川の水質悪化、土砂の流れが遮断されることによる河床低下及び河口部の海浜後退等が生じる場合があること、また、これらに対応するための新たな費用が必要となる場合も懸念されることを踏まえ、できるだけダムに頼らない治水への政策転換を図ることとしており、この政策転換の端緒として、八ッ場ダムの本体工事を中止する考えを表明したものであって、治水事業等に係る投資額の抑制に資することとなると考えている。 三の3について お尋ねのような「プラン」はない。 四の1について 八ッ場ダムについては、今後、治水、利水等の観点から検証を行うこととしており、仮定の御質問についてお答えすることは差し控えたい。 四の2について お尋ねについては、今後、関係地方公共団体、地元住民等と話合いを行いながら、検討していくこととしている。 五の1及び2について お尋ねの「治水基準の見直し」が何を指すのか必ずしも明らかではないが、できるだけダムに頼らない治水への政策転換を図るため、今後、ダム事業の検証に当たっての共通的な考え方を整理し、これを踏まえて、八ッ場ダムを含めた個別のダムの検証を進めていく予定である。利根川水系に係る河川整備計画の策定については、当該検証の結果も踏まえて検討を進めてまいりたい。また、利根川水系河川整備基本方針の見直しの必要性については、当該検証の結果を踏まえて検討してまいりたい。 |