質問主意書

第173回国会(臨時会)

答弁書


答弁書第一七号

内閣参質一七三第一七号
  平成二十一年十一月十七日
内閣総理大臣 鳩山 由紀夫   


       参議院議長 江田 五月 殿

参議院議員浜田昌良君提出自傷行為の防止に関する質問に対し、別紙答弁書を送付する。



   参議院議員浜田昌良君提出自傷行為の防止に関する質問に対する答弁書

一について

 お尋ねについては、これまで御指摘のような考慮が現場において必ずしもされていなかったわけではないと認識しているが、各地域における医療資源が限られていること、御指摘のような自傷行為を行った者についても身体の傷病が重症である疑いがある場合は身体の傷病に係る医療機能が充実した医療機関への搬送を優先すべきこと等から、身体の傷病と精神の疾病の両方の治療を行うことができる医療機関へ搬送することを原則とすることは困難であると考えている。

二について

 御指摘の診療報酬の設定により、御指摘のような状況がどのように改善されたかについては、当該診療報酬が平成二十年度に設定されたばかりであることから、現時点においては、把握していない。
 今後、当該診療報酬の改定の効果を見るとともに、身体の傷病と精神の疾病の治療を併せて行うことができるよう一般救急と精神科救急の連携を進めることにより改善を図っていく考えであり、御指摘のような配置も含め、検討してまいりたい。

三について

 御指摘のような連携については、これまで個々の医療機関の判断により行われてきたところであるが、より積極的な連携を図るため、救急スタッフがかかわるべき業務として精神保健福祉センター、保健所及び関連の相談窓口等を紹介すること、看護師がかかわるべき業務として地域の関係者との連携を密にしておくこと等を推奨することとしたところである。

四について

 お尋ねについては、救急業務に関する講習、救急救命士養成課程、日常の訓練等において、自傷行為を行った者の精神症状に応じた観察、聴取、接触等の救急搬送時において必要な対応について、教育訓練を実施しているところである。

五について

 お尋ねの教育としては、学習指導要領に基づき、児童生徒に対し、道徳の時間等において、生命の尊さを理解しかけがえのない自他の生命を尊重すること、体育又は保健体育の教科において、心の健康を保つには欲求やストレスに適切に対処する必要があること等について指導をすることとしている。
 また、お尋ねの対応としては、児童生徒については、軽度の自傷行為であっても必ず精神科医による診察を受けるよう指導すること及び自傷行為を行った児童生徒の担当医から学校での対応に関する適切な助言を得ておくことについて、都道府県教育委員会等を通じて指導を行っているところである。学生については、独立行政法人日本学生支援機構において、学生相談体制の整備を図りつつ適切な対応が図られるよう、各大学の学生担当教職員等に対する研修会を開催している。
 これらのことは、その繰り返しを予防するためにも有効であると考えている。

六について

 お尋ねの実態調査については、医療機関等の関係機関や自傷行為を行った者の協力を得ることが可能かどうか検討した上で、実施の可否について判断したいと考えている。

七について

 御指摘の取組としては、医療従事者、保健師、行政機関職員等を対象として、関係機関の連携の在り方や自傷行為を行った者等への対応等に関する研修等を実施しているところであり、現段階において「自殺総合対策大綱」(平成十九年六月八日閣議決定)を改正することは考えていない。