質問主意書

第173回国会(臨時会)

質問主意書


質問第七四号

八ッ場ダムに係る地裁判決等に関する質問主意書

右の質問主意書を国会法第七十四条によって提出する。

  平成二十一年十一月三十日

加藤 修一   


       参議院議長 江田 五月 殿



   八ッ場ダムに係る地裁判決等に関する質問主意書

一 八ッ場ダムの治水効果について

 平成二十一年六月二十六日の前橋地方裁判所の八ッ場ダムに係る公金支出差止等請求住民訴訟の判決要旨によれば、「八ッ場ダムは、カスリーン台風と同程度(全く同じ台風という趣旨ではない。)の規模の降雨が、利根川上流域、特に吾妻川流域にあった場合に、吾妻川で唯一の洪水調整機能を有するダムとして、群馬県を含め利根川流域で生じる水害の発生を防止するためにその必要性を肯定することができるから、利根川水系河川整備基本方針及び八ッ場ダムの建設に関する基本計画に基づく適法な事業であると認められる」としているが、これに対して、政府は、八ッ場ダムの治水効果についてどのように考えているのか。政府・民主党が平成二十一年八月十七日に上田清司埼玉県知事に送付した回答文書において政府・民主党が主張していたように、カスリーン台風レベルの台風が襲来した場合には、八ッ場ダムの治水効果がゼロであると見なしてよいのか。カスリーン台風レベルの、レベルの意味が重要である。雨の降り方、降雨の流域分布等までが全く同一といえるほどの台風を前提としている場合においては、治水効果はゼロに近いかも知れないが、その様な台風はそれこそゼロに近いといえる。政府の見解を明らかにされたい。

二 八ッ場ダム建設中止の場合の既建設施設の維持管理について

 付け替え県道の吾妻川第二橋梁の橋脚部など、ダムの湖水に沈むことが前提となっている公共工事であると考えるが、湖水に沈まない場合、維持管理費や耐用年数はどのように変わる可能性があるか、政府の見解を明らかにされたい。

三 既存施設の維持管理者と必要な経費について

 現在の国道、県道、鉄道など湖水に沈まないことが前提となると、その維持管理は誰の負担で行うことになるのか。また、そのために必要な経費はどのくらいと思われるか、政府の見解を明らかにされたい。

四 八ッ場ダム建設中止の場合の撤去施設について

 八ッ場ダムの建設中止に伴い、撤去が必要となる施設はあるか。完成してしまった本体排水路はどのように管理していくのか。もし、撤去が必要となると、どのくらいの経費が見込まれるか、政府の見解を明らかにされたい。

五 水源地域整備事業費及び財団法人利根川・荒川水源対策基金の事業費の取扱いについて

 水源地対策特別措置法第十二条第一項に基づく水源地域整備事業費及び財団法人利根川・荒川水源対策基金の事業費について、これまでの経費及び今後の予定経費について、総額及びそれぞれの負担者ごとの負担額について示されたい。また、これらの経費は、ダム本体事業ではなく、生活関連事業と考えるが、ダム建設が中止された場合に、どのような取扱いとなるのか、政府の見解を明らかにされたい。

六 八ッ場ダム建設中止の場合の具体的なビジョンの提示について

 前原国土交通大臣は、地元の住民、あるいは、関係地方公共団体と話合いをしていくとしているが、政府・民主党の公約を実現するために中止するとするならば、八ッ場ダムの事業予定地を今後どのようにしていくのかについて具体的なビジョンが速やかに示されなければ、地元住民及び地方自治体は到底納得できず建設中止反対を継続せざるを得ない。政府の見解を明らかにされたい。

  右質問する。