質問主意書

第173回国会(臨時会)

質問主意書


質問第四七号

化学物質に対する管理の強化に関する質問主意書

右の質問主意書を国会法第七十四条によって提出する。

  平成二十一年十一月十九日

加藤 修一   


       参議院議長 江田 五月 殿



   化学物質に対する管理の強化に関する質問主意書

 化学物質の環境リスクについては、二〇〇一年の「ストックホルム条約(POPs条約)」の採択、二〇〇二年の「持続可能な開発に関する世界サミット(WSSD)」における中長期目標に関する合意、二〇〇六年の国際化学物質管理会議(ICCM)の「国際的な化学物質管理のための戦略的アプローチ(SAICM)」の採択、及び欧州の化学物質管理新規制(REACH)などの成立によって化学物質に対する管理が世界の大きな関心事となっている。
 そこで、以下質問する。

一 「化学物質過敏症」等の発症メカニズムの解明及び治療法の確立について

 有機リン化合物等の化学物質による急性毒性や低容量連続暴露による慢性毒性が引き起こす多様な神経障害など、化学物質暴露による健康への影響が懸念されている。今後、「化学物質過敏症」等の発症メカニズムの解明及び治療法の確立に関する、基礎的な調査・研究とリスク評価分析、規制や福祉施策の研究等の検討、そしてより一層の長期的・計画的・戦略的かつ省庁横断的な統合的取り組みが重要であり、制度化や法制化等、化学物質に対する管理の強化に全省庁をあげて全力で取り組むこともまた重要であると考えるが、政府の見解を示されたい。

二 化学物質に関する環境保健の調査・研究の国際的データベース化について

 公明党は、「小児等の環境保健に関する国際シンポジウム」など各種国際会議において、「予防的取り組み方法」や疫学調査研究の着手など多くの提言を行い、実現にいたっている。
 そこで、化学物質に関する環境保健についての日本の調査・研究等の国際社会及び国際的データベースへの発信並びに相互共有の推進について、政府の見解を示されたい。

三 化学物質に関する環境保健の国内外の研究機関等との有機的な連携の強化策について

 化学物質に関する環境保健の国内外の研究機関等との有機的な連携の強化・拡充や国際的専門研究プラットフォームの形成について、政府の見解を示されたい。

四 化学物質に関する環境保健の専門家育成とサイエンスショップの整備について

 大学・研究機関等における化学物質に関する環境保健の教育・研究課程等の拡充と専門家育成、及びサイエンスショップ(科学者・専門家と市民との対話)の整備について、政府の見解を示されたい。

五 ケミレスタウンプロジェクトに対する特別支援制度等の導入について

 ケミレスタウンプロジェクト(化学物質の少ない街づくりプロジェクト)など先進的取り組みに対する特別支援制度等の導入について、政府の見解を示されたい。

六 化学物質安全基本法(仮称)の法制化について

 化学物質の生産や管理等に関する法律は、現在、化審法やPRTR法など省庁横断的に十を超えているが、理念的な基本法は無く、統合的な法制上の整理が必要である。化学物質の製造・使用に関しては、生命、生態系が持続可能であること、特に環境弱者である胎児・子どもたちに悪影響を与えないこと、また生物多様性に損失を与えない対応が求められ、ライフサイクルアセスメントやライフサイクルに渡って監視などを行うこと、特に影響を最小化することを目指してできるだけ代替的な化学物質の開発を行うこと、挙証責任の対応、また科学的見解が十分出ていないことを理由に対応をしないことなどが無いように予防的原則のあり方を定めることなどが求められており、そのような理念的なあり方を含む「化学物質安全基本法(仮称)」の法制化が必要と考えられる。政府の見解を示されたい。

  右質問する。