質問主意書

第173回国会(臨時会)

質問主意書


質問第一四号

沖縄政策の今後の推進に当たっての基本的な考え方に関する質問主意書

右の質問主意書を国会法第七十四条によって提出する。

  平成二十一年十一月九日

島尻 安伊子   


       参議院議長 江田 五月 殿



   沖縄政策の今後の推進に当たっての基本的な考え方に関する質問主意書

 今般の政権交代により、民主党をはじめとする連立政権は、政治主導を高らかにうたいあげており、そのような中で、私は、沖縄担当大臣に誰が就任するのか大変注目していた。本年九月の組閣では、沖縄問題にも造詣が深い前原衆議院議員が沖縄担当大臣に就任され、胸をなでおろすとともに、今後の沖縄政策の推進に大いなる期待を抱いている。また、大島内閣府副大臣についても、側聞するところによれば、副大臣就任後、沖縄には既に二度も訪問されるなど、真摯に沖縄政策に取り組んでおられるとのことであり、前原大臣ともども、政治主導の旗印の下、今後の沖縄政策の推進に当たって、私としてもしっかりと応援していきたいと考えている。
 他方、本年八月の総選挙後に、沖縄県選出の与党議員七名により、「うるの会」という団体が結成された。「うるの会」は、前原大臣や大島副大臣に要請を行ったり、内閣府等の職員を呼んでヒアリングなどを行っているとのことである。また、「うるの会」を構成する議員も、内閣府の職員を個別に呼んでヒアリングを行っていると聞いている。しかし、「うるの会」の要請と沖縄県知事等の要請との間には、普天間基地の移設問題などを含め大きな乖離があるようであり、沖縄県なども懸念していると聞いている。政治主導、特に、政策決定を与党ではなく政府に一元化するという流れの中で、沖縄政策の今後の推進に当たって、「うるの会」の動きには疑念を抱かざるを得ない。
 本年九月十六日の閣僚懇談会申し合わせにおいて、「政・官の在り方」が決定されたが、その中には、「「官」が「政」と接触した場合における記録の作成、保存その他の管理及びその情報の適切な公開について、別に定めるところにより実施する」ことや、「法律案の作成等、政策立案の過程において、大臣等以外の「政」から「官」への具体的な要請、働きかけがあった場合は、大臣等へ報告する」との記述が盛り込まれた。
 以上の点を踏まえて、質問する。

一 概算要求額なども含め、沖縄政策を決定するのは、前原沖縄担当大臣をはじめとする政務三役会議(以下「政務三役会議」という。)なのか、それとも「うるの会」なのか。

二 政策決定の政府一元化の中で、沖縄政策の決定はあくまでも政務三役会議であるべきと私は考えるが、そうであるとすれば、政府にとって、「うるの会」とはどのような位置づけになるのか。また、「うるの会」からの要請に対してはどのように対応するのか。

三 新聞報道によれば、今年度の概算要求の出し直しの際にも、沖縄県知事からの国庫支出金要請があったようであるが、来年度の概算要求の中で、沖縄県知事の要請と「うるの会」の要請の内容が異なっていた事項を具体的に列挙されたい。

四 政務三役会議は、三で回答した、沖縄県知事の要請と「うるの会」の要請の内容が異なっていた事項について、いかなる政治判断に考え方に基づいて、概算要求事項を決定したのか。それぞれについて具体的に回答されたい。

五 概算要求にかかわらず、今後も、新たな沖縄振興計画の策定など、各種沖縄政策の推進に際して、沖縄県知事の要請と「うるの会」の要請の内容が異なることも想定されるが、その場合には、政務三役会議は、どちらの要請を尊重して決定するのか。

六 「うるの会」がその要請事項の実現を図りたいと考えるならば、いきなり大臣や副大臣と直談判するのではなく、当該事項に関係する市町村長や沖縄県知事を先ずは説得することが必要であると考える。今後、「うるの会」から、沖縄県知事等の考えとは異なる内容の要請が来た場合、「うるの会」に対して、関係市町村長や沖縄県知事とよく調整して持ってきて欲しいとの回答をすべきと考えるが、どうか。

七 「うるの会」や、「うるの会」を構成する議員が、内閣府の職員を何度も呼びつけてヒアリングを行っているようであるが、前原沖縄担当大臣や大島副大臣は、前述の「政・官の在り方」に基づき、職員に対してヒアリングの要請があった際に、職員からその都度報告を受けているのか。

八 沖縄政策を決定するのはあくまでも政務三役会議であるという政治主導を標榜するのであれば、「うるの会」や、「うるの会」を構成する議員のヒアリングに内閣府の職員が出席したとしても、職員は、ご要望の趣旨は大臣等に伝えるという回答しかできないということになるが、それを承知で出席を了解しているのか。

九 「うるの会」や、「うるの会」を構成する議員と内閣府の職員とのやりとりは、前述の「政・官の在り方」に基づき、その記録を作成しているのか。また、その記録は求めがあれば公開するのか。

  右質問する。