質問主意書

第173回国会(臨時会)

質問主意書


質問第七号

平成二十一年度第一次補正予算の執行停止等に関する質問主意書

右の質問主意書を国会法第七十四条によって提出する。

  平成二十一年十月二十七日

草川 昭三   


       参議院議長 江田 五月 殿



   平成二十一年度第一次補正予算の執行停止等に関する質問主意書

 平成二十一年度第一次補正予算は、経済危機対策の目的の下に本年五月に成立し、公共事業の前倒し等を含め順調に執行されている。しかるに、去る九月に政権についた鳩山内閣は、明確な理念と確たる方針もなく、補正予算の執行停止等を閣議決定し、その額は約二兆九千億円にも上る。その中には、国民生活に直結する「子育て応援特別手当」等、既に市町村では、支給の手続きを進めているものもあり、地方自治体や国民に混乱を生じさせ、経費負担増を招く懸念がある。よって以下の質問をする。

一 平成二十一年度第一次補正予算の執行について、平成二十一年十月十六日、「別紙の事業につき、掲げられた額を目途に、執行停止又は予定している法人等に対する交付辞退若しくは自主返納の要請等を行うこと」とする旨の閣議決定を行っている。三百五十六事業について見直しを行うとのことであるが、どのような考え方、どういう方針で事業の選別がなされたのかを明示されたい。なお、同決定の作成はどこが行ったのか。行政刷新担当相が作成したのか。国家戦略担当相が携わったのか。予算編成の実務を担当する財務省内ではいつ、どのような決裁過程を経たのか。それぞれ明示されたい。

二 同閣議決定において、「見直しの結果を平成二十一年度第二次補正予算又は平成二十二年度予算に反映する」とあるが、第一次補正予算の編成目的は「経済の下支えに必要な施策や将来の成長力を高める」ことであり、経済危機対策として必要不可欠な事業を計上している。そうした事業の一部を執行停止する理由は何か。経済の下支えは不要との認識か。その場合は追加経済対策としての第二次補正予算を編成する必要はないと判断しているのか。

三 総額約二兆九千億円を目途に、執行停止又は交付辞退若しくは自主返納の要請を行うとあるが、歳出を減額するならば、その分の歳入は同時に減額措置を講じるべきではないか。歳入見込額は、税外収入約三兆一千億円、建設公債約七兆三千三百億円、特例国債約三兆四千八百億円だが、それぞれどれだけ減額する考えか。減額しない場合はその理由を、減額する場合はその減額幅の根拠を示されたい。

四 第一次補正予算の歳入に計上されている建設公債のうち、今般、執行停止、交付辞退、自主返納を決めた分にあてる予定だった公債額を事業別に明示されたい。執行停止、交付辞退、自主返納の分の建設公債は使途となる事業がない場合は発行できないと思われるが、政府の見解を示されたい。

五 政府は、約二兆九千億円の歳出削減に伴い、来年の通常国会に提出を予定している第二次補正予算の歳入に財投特会受入金を計上せず、ほとんどを公債発行でまかなう方針と報道されているが、事実か(平成二十一年十月二十二日付毎日新聞掲載)。事実ならその理由は何か、併せて答えられたい。

六 民主党の方針は、「財政健全化のために、国・地方の基礎的財政収支の黒字化を図り、債務残高GDP(国内総生産)比を着実に引き下げます」(民主党政策集INDEX2009より)とされる。先の報道が事実ならば、第二次補正予算の歳入には、公債ではなく財投特会受入金を優先的に当てるべきと考えるが、どうか。

七 第一次補正予算に計上されている「子育て応援特別手当」約千百億円は、執行停止事業とされた。市町村では、手当の支給準備のため、関係経費を支弁したり手当支給事業費を市の補正予算に計上し議決されているところもある。こうした市町村の事態に対して、政府はどう対応するのか。

八 補正予算として国会の議決を受けたものが、内閣の判断で独断的に執行停止等の措置が講じられることは遺憾である。制度上は可能としても、本臨時国会の衆参本会議においてその趣旨・金額等を報告すべきだと考えるが、政府の対応を示されたい。

  右質問する。